「紅白の矢羽根」雪国の道標 道幅伝え安全走行サポート

2020年09月23日 08:19

紅白の矢羽根が連なる国道472号。雪国特有の目印という=郡上市八幡町有穂

紅白の矢羽根が連なる国道472号。雪国特有の目印という=郡上市八幡町有穂

 広い岐阜県内。ある地域では当たり前の光景でも、別の地域では不思議な存在なのがコレ。道路上に連なる紅白の矢羽根。設置理由を道路管理者や地元の人に聞くと、雪国の暮らしが垣間見えた。

 この矢羽根を見かけたのが、郡上市明宝地区に至る道。道の駅「明宝」前を通る国道472号だった。下向きの矢羽根がポールの先に取り付けられ、一定間隔で連なっている。県内のほかの地域にもあるのかもしれないが、西濃や東濃、岐阜市周辺では見たことがない。ただ、北海道で見た覚えがあり「県内にもあったか」と驚いた。

 同国道の郡上市区間を維持管理する県郡上土木事務所によると、正式には「固定式視線誘導柱」と呼ぶそう。矢羽根は車道の端を指しており、同所職員は「除雪車の目印。積雪で道幅が分からなくなるので安全のため、目印として設置している」と説明する。一般車も走行の参考になるようで矢羽根以外にも、長いポールを立てて目印にすることもあるという。「雪の降る地域では珍しくないが雪国特有」とのことだった。

 この辺りはどのぐらい雪が降るのだろうか。明宝歴史民俗資料館(同市明宝気良)の案内人の一人、末武東さん(73)は「最近はあまり降らんけど、40~50センチの積雪は普通。日本海が割と近いもんで、多い時は1メートルぐらい積もる。腰より高いからガードレールが分からんようになる」と話す。雪には慣れたもので「30~40センチなら、ここらの車は除雪していなくても雪を押して走りますわ」とも話す。

 元林業で山と共に暮らしてきた末武さん。雪の降る山間部の苦労も語る。「屋根の雪下ろしは必ずする。雪の重さで家が壊れるで。郡上でも、石徹白辺りは2階が1階のようになる」。末武さんによると、大雨や洪水は家が高い所にあれば水に漬からないが、雪は同じ集落に同じだけ降って平等に積もる。自分の家だけでなく隣の家も下ろさないといけない状態で「どうやい、下ろすなら手伝うぞっていう、もあい(助け合い)の精神が古くから受け継がれてきた」という。

 ただ、昔と比べて最近はサラリーマン家庭がほとんど。「あいつは仕事に行っとって、なんで俺がっていう思いもあるもんで、助け合いは少なくなってるけどな」と残念そうだ。

 住民の暮らしを左右する雪。近年は少なくなり、矢羽根の「出番」も減りつつあるが、いざ大雪となれば不可欠な存在だ。平野部からスキーなどで訪れた際に注目してみてはいかが。


カテゴリ: くらし・文化 社会