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コロナ禍で宴会自粛、客激減→店の垣根越え宅配事業 逆風下の挑戦



自転車で配達に向かう「お遊食おせん」の三宅智子さん=岐阜市羽根町
自転車で配達に向かう「お遊食おせん」の三宅智子さん=岐阜市羽根町

 多くの居酒屋が立ち並ぶ岐阜市の玉宮地区。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下だった4、5月には多くの店が休業や短縮営業を余儀なくされ、廃業した店もある。客足は徐々に戻りつつあるが、コロナ以前とはほど遠い状況が続いている。飲食業界に経験したことがない逆風が吹き付ける中、宅配事業を始めた居酒屋、販売網を広げようと高山市から同地区に新規出店した食品卸売業者もあり、コロナ禍で新たな活路を見いだそうとしている。

 同市羽根町の居酒屋「お遊食おせん」では、2月から宴会のキャンセルが相次ぎ、売り上げが半減する月もあった。そんな中、大女将の三宅智子さん(32)は「待っているだけでは変わらない。挑戦しなければ」と、以前から構想していた宅配事業の実行を決断した。

 4月、近隣の居酒屋「喰快」「ぐっぴぃ」と宅配サービス「玉宮イーツ」をスタート。店舗から半径2キロ圏内を対象に、電話や無料通信アプリLINE(ライン)で注文を受け付け、宅配までを3店で連携して行う。宅配大手のような知名度がなく、周知が課題だが、三宅さんは「コロナが収束しても宅配は続ける。店に行かなくてもプロの味が楽しめる新たな食文化として根付かせたい」と意気込む。

 食品卸売業も大きな痛手を受けた。高山市に拠点を置く総合食品卸売業の山一商事は、主に飛騨地域の宿泊施設に食材を卸してきたが、4、5月は観光地の宿泊施設も休業し、食材の多くが行き場を失った。

 新たな販路を広げようと、先月には玉宮地区の飲食店向けの直営店を同市金宝町にオープンした。特販部長の西村俊司さん(38)は「出店費用は掛かったが、コロナ禍だからと守りにばかり入ってはいられない。玉宮は本来、人でにぎわい、活気のある街。飛騨の食材をここでPRできれば、飛騨の観光振興にもつながる」と期待する。

 1日には飲食業界を応援する政府の「Go Toイート」が始まった。県内では26日からプレミアム付き食事券が利用できるようになり、三宅さんの店では1日から予約サイトの利用を開始したが、「一時的に客足は増えるもしれないが、再び感染拡大すれば来店しなくなるのでは」と懸念しており、波及効果は未知数だ。

 玉宮地区でイベントを企画してきた音楽家リュウレックスさん(44)は「玉宮の魅力は食だけではない。みんなで盛り上げていこうという一体感が、この街の明るさにつながっている。新たな挑戦が街の復活につながれば」と語気を強めた。

カテゴリ: くらし・文化 グルメ 新型コロナウイルス