岐阜大に「糖鎖」研究棟 老化、認知症解析

2020年10月16日 07:59

  • 新研究棟の建設が予定されている東海国立大学機構、糖鎖生命コア研究拠点「iGCORE」 
  • 「iGCORE」で糖鎖研究に取り組む研究支援員=いずれも岐阜市柳戸、岐阜大 

 名古屋大と岐阜大を運営する東海国立大学機構が、岐阜市柳戸の岐阜大キャンパス内に新たな研究棟をつくり、老化や認知症、がん化などに密接に関わる分子「糖鎖(とうさ)」の解明を進める「ヒューマン・グライコーム・プロジェクト」を計画していることが、15日までに分かった。10年間で154億円の研究費を投じ、500人を超える国内外の研究者と連携する国際共同研究体制で行う計画。世界トップレベルの糖鎖統合研究拠点となり、難病の治療や感染の防止など、革新的医療への応用を目指す。

 岐阜大は約50年前から糖鎖研究に取り組んでおり、糖鎖の可視化や複雑な糖鎖の化学合成に世界で初めて成功するなど、国内外の糖鎖研究をけん引してきた。今春発足した同機構では、直下に▽糖鎖▽航空宇宙▽農学教育▽医療電子カルテ-の四つの研究拠点を設置。糖鎖研究は柱の一つで、研究の拠点「糖鎖生命コア研究拠点iGCORE(アイジーコア)」は、名古屋大と融合する形で岐阜大に置かれている。

 プロジェクトは、9月に文部科学省が策定した「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想(ロードマップ2020)」に盛り込まれた。長期間にわたり、国が予算を支援する大規模研究計画の実現が見込まれる。

 「グライコーム」とは、グライコ(糖鎖)とオーム(全体)が合わさった言葉で、ある生物の持つ全ての糖鎖を網羅することを指す。まずは名古屋大などとの共同研究で国内約1万4千人分の血液サンプルを採取し、今後10年間で、老化と認知症を研究対象に糖鎖を余すところなく解析。世界の基礎研究を支える糖鎖版ビッグデータを構築するほか、糖鎖情報の書き換え技術を開発し、細胞治療の応用研究につなげる。

 新たな研究棟の建設も検討されている。iGCOREは現在、連農・連獣研究科棟の3フロアを間借りしている状態。新棟は既存棟の東側に5~7階建てを想定。2021年度に着工し、23年春の完成を予定している。

 iGCORE拠点長の安藤弘宗岐阜大教授(49)は「プロジェクトで人類に貢献する知を築くとともに、世界トップクラスの研究者を招聘(しょうへい)し、次世代研究者の育成にも寄与したい」と意気込みを語り、森脇久隆副機構長(岐阜大学長)は「世界から糖鎖研究の中心地として知られるようになれば」と話した。

 【糖鎖】 ほとんど全ての生物の細胞をおおう生命情報分子。糖が鎖状に連なったもので、生命活動に必要な物質の一つ。岐阜大では昨年、糖の分子を一つ一つ立体的に結合させることで「構造が複雑化した糖鎖の化学合成」に世界で初めて成功し、難病「ギラン・バレー症候群」の発症メカニズムの解明が進展することが期待されている。免疫など細胞間の相互作用に重要な役割を持つとされるが、解明されていない機能も多い。


カテゴリ: 医療 教育 科学