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大繁盛のパスタ店からウナギ料理店へ 型破りな転身



「食材にこだわり、ひときわ丁寧に調理したうなぎ料理をぜひ味わってほしい」と熱く語る片野嵩幸さん=岐阜市打越、鰻英
「食材にこだわり、ひときわ丁寧に調理したうなぎ料理をぜひ味わってほしい」と熱く語る片野嵩幸さん=岐阜市打越、鰻英

◆一流店の味、値打ちに提供

 「どうです。光ってるでしょう」。南部鉄器のふたを開けると、湯気の中から純白に輝くお米が現れた。注文を受けてから炊き始めるという佐賀県産の高級熟成米「夢しずく」。岐阜市打越の鰻英(うなぎはなぶさ)店主の片野嵩幸さん(32)は「うなぎを引き立たせる上で一番大事なのがご飯」と力説する。こだわり抜いた食材と調理法、そして型破りなキャラクターで来店客を引きつけている。

 海津市出身の片野さんは常連客から「ヒデ」と呼ばれる。理由は顔、サッカー元日本代表の中田英寿さんにそっくりだ。似ているのは顔だけではない。サラリーマン時代、世界30カ国以上を旅して見識を広めたという点も中田さんに通じるものがある。

 ドバイでの旅の途中、人生の転機が訪れる。若者が高級車を乗り回す姿に大きなカルチャーショックを受けた。「自分の価値観が一気に崩れた瞬間だった」と振り返る。

 「商売人になろう」と脱サラ。なけなしの30万円を握りしめて単身イタリアに渡り、本場のパスタ作りを学んだ。28歳で岐阜市内に開業した「中田屋」は大繁盛。ところが、現在地に店を移すと、店を続けながらうなぎ屋への転向を計画。「続けていれば成功していたかもしれないけど飽き性なんです」。全国各地のすし店を巡っていた縁で、福岡市の高級すし店「一高」で修業を積んだ。

 今年2月、鰻英として再出発。「一高監修のうなぎ屋があるらしい」。噂を聞きつけた美食家やバイヤーらをうならせ、9月にはミシュランの名店など全国から約90店が参加した新宿高島屋の「美味コレクション」の1店に選ばれ、7日間でうな重669食を売り上げた。

 開店当初、メニューは5千~1万円のコース料理のみ。しかし、県外から訪れる客がほとんどだったこともあり、「地元の人にもこだわり抜いた本物を食べてもらいたい」と1900円(税別)から食べられるうな重を始めた。もちろんコース料理と同じ食材、作り方で提供。「2度目の来店はぜひコースを。『安い』と言わせる自信はある」と力を込める。

 1枚板のテーブルをカウンターに見立て、客と向かい合ってもてなすのが"英流"。使用する食材を目の前で見せながら魅力を紹介するスタイルは、ショーを見ているかのよう。「何をするにも『遊び』を大切にしている。その方が面白いでしょう」。着けていたエプロンをおもむろに外して見せ、「これ、うなぎの皮でできてるんですよ」とニヤリと笑った。

◆記者のひと言

 うなぎとろろに茶碗蒸し、蒲焼き、締めにお茶漬け。1万円のコース料理では、うなぎ丸々1匹以上を使った料理が提供される。うなぎもさることながら、ヒデ自身を掘り下げても奥が深い。成功の秘訣は「当てるまでやる」と。「もっと安くおいしいパッケージを」と前だけを見つめる。

カテゴリ: くらし・文化 グルメ