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美濃焼GO好評「4割引き」早期終了 需要発掘



  • 店内に掲示された美濃焼GOのポスター=21日、多治見市本町、うつわや多治見 
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 新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた地場産業を支えるため、多治見市が陶磁器購入費の最大4割を補助した販売促進事業「美濃焼GO」。約3200万円の予算を投じた一大キャンペーンは市内外から思わぬ需要を掘り起こし、当初の目算より2カ月ほど早く終了した。長く低迷する業界はコロナに追い打ちをかけられる中、公的補助をきっかけに需要喚起のヒントや美濃焼の魅力の再認識につながる手応えをつかんだ。

 割り引き期間の最終日となった21日、陶磁器店が立ち並ぶ本町オリベストリートは平日にもかかわらず、好みの器を求めて店舗をはしごする人たちの姿があった。新婚生活に向けて食器を美濃焼でそろえようと愛知県安城市から訪れた女性(24)は「少し高めの器でも手が出しやすい」と満足げな様子だった。

 美濃焼を取り扱う陶器商が集まる多治見。県の陶磁器・タイル関係製品の出荷額は最盛期の4分の1程度に減少する中、感染拡大による飲食店の営業休止や県外への移動自粛によって販売量や受注数がさらに落ち込んだ。苦戦を強いられた業界を迅速に支援するため、市は8月から美濃焼の割り引き事業を始めた。

 利用者には市内の登録店舗で美濃焼やタイルを買う際に簡単なアンケートに記入してもらい、購入費の千円につき400円(最大1200円)を市が補助した。補助額が予算に到達した時点で事業を打ち切ると決め、当初は12月終了見込みで約2千万円の予算を付けたが、予想を上回るスピードで利用件数が伸び、9月末に約1200万円を追加して延長。10月の陶磁器関連の大型イベントなどで利用は加速し全ての予算を使い切った。

◆SNS効果、県外から

 8月は市内の利用者が中心だったが、9月に入ると市外からの利用が伸びた。JR多治見駅の南側に店を構えるマルト水野陶器(同市本町)では売り上げが7月と比べて3倍以上になったという。インスタグラムで1万人ほどのフォロワーがいる名古屋市に住む女性の投稿で火が付き、名古屋近郊を中心に人が人を呼び込んだ。また、店で取り扱う20代から40代の女性をターゲットとした皿が注目を集め、カラフルな色合いや日常使いができることから、美濃焼に地味で昔っぽい印象を抱いていた客からは「イメージが変わった」との声が聞かれた。

 市によると、事業には市内に点在する小売店など82店舗が登録し、割り引き分を負担したのは約3万4千件。好評だった要因として市産業観光課の長谷川昭治課長(52)は「会員制交流サイト(SNS)を通じた口コミの効果が大きい」といい「市外から多くの人を呼び込むことができ、これまで美濃焼に触れてこなかった層にも魅力を知ってもらえた」と手応えを語る。

 事業の成功は多治見陶磁器卸商業協同組合の販促キャンペーンの影響も大きく、組合員の店をまとめた地図「宝図」とクーポンの発行は美濃焼GOとの相乗効果をもたらした。組合の斉藤保治専務理事(59)は「多治見に来ても美濃焼を買える場所が分からないとの声がある中、多くの店舗で足並みをそろえたことで店に足を運んでもらえたのでは」と分析する。

 美濃焼GOはあくまでコロナ対応の緊急措置だったが、売り方や情報発信の仕方によっては新たな需要を呼び込む余地があると再認識する機会となった。業界に差し込んだ光をいかに今後につないでいくことができるか。関係者らの新たな仕掛けに期待が高まる。

カテゴリ: 新型コロナウイルス 社会 経済