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育児の合間にボルダリング 岐阜市のジム、託児室設置



 子育ての合間、壁をよじ登るお母さんたちがいる。そこは岐阜市内のボルダリングジム。毎週金曜の午前中を女性専用に開放していて、子連れでも来店できるよう保育士を配置し、託児室を備えている。男性客の多い業界にあって全国的にも珍しいサービスで、取り組みを始めたきっかけには、「出産など環境の変化があっても好きなことを続けられる、母親の居場所をつくりたかった」という男性店主の思いがあった。

 形や色がさまざまの足場を頼りに女性たちが傾斜のある壁を進み、少しずつ床との距離を広げていった。店主の高田昌彦さん(32)が今年7月、同市市橋に開いたボルダリングジム「TEITEI(テイテイ)」には週1回、「ウーマンズタイム」と銘打った時間がある。仕事帰りのサラリーマンなど利用客の9割近くが男性だが、客層の中心でない利用者にも手厚いサービスを提供するのには理由があった。

 自身も0歳児の親という高田さんは、別のボルダリングジムで8年ほど働いた末に独立した。以前の勤め先で、出産や子育てをきっかけにボルダリングに取り組むのを諦めた女性たちのことが気に掛かっていた。「ジムに通うのを続けられる状態でなくなった常連さんに対して、何も力になれないのがもどかしかった。自分で店をやる時には、お母さんたちの役にも立ちたいと思った」

 1歳7カ月の子を連れて通う羽島市正木町の英会話講師の女性(38)にとって、ジムは子育てで張り詰めた心身を週に一度、リセットする場だ。ボルダリングを始めて5年ほど。出産後、子どもが歩き始めるまでは揺りかごを持って通ったが、やがてそれも難しくなった。そんな折、高田さんのジムを見つけた。「子どもが泣いて周りに迷惑を掛けると思うと、連れて行けない場所は多い。託児付きであれば、罪悪感なく来られる」。言葉に出さないだけで、幼い子を育てる親たちにはやりたいことを我慢している人が少なくないはずだと感じている。

 ジムの保育士は1人で、現状では定員3人だが、今後はニーズに応じて受け入れ態勢を充実させたい考えだ。高田さんは「多様な人が集まる空間になればいい。ボルダリングはそのための手段。来れば誰かがいる、そんなコミュニティーの場を目指したい」と話している。

カテゴリ: 動画