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コロナ禍で米価下落、農家に打撃 外食産業の需要低迷で



新米が並ぶ小売店。今年は例年より価格が安めだ=岐阜市下土居、おんさい広場鷺山
新米が並ぶ小売店。今年は例年より価格が安めだ=岐阜市下土居、おんさい広場鷺山

 2020年産の新米が小売店で出回っているが、今年は米の価格が下落している。消費量が年々減少している上に、新型コロナ禍で外食産業の需要が低迷し、業務用米の動きが鈍くなっているのが主な原因とされる。消費者の財布にはやさしいが、農家にとっては打撃。岐阜県内でも関係者が、米の消費を拡大し収入を確保するための取り組みを模索する。

 農林水産省によると、2020年産米の9月の相対取引価格は、全銘柄平均で60キロ当たり1万5143円となり、前年同月より676円安い。店頭価格にも反映され、岐阜市下土居のJAぎふおんさい広場鷺山では、袋入り精米がどの銘柄も10キロで昨年比200~300円ほど値下がりしている。

 JAぎふ米穀課の林秀治さんによると、2月には巣ごもり消費が増えて"特需"となった。だが、その後の外食の減少幅を補うほどではなく、全体として消費量が減っている。米の消費量の指標の一つである毎年6月末時点の民間在庫は、201万トンと例年の180万トンを上回る。来年も200万トンを超える見通しで、「ここ数年で高水準の余剰量」という。

 JAぎふ管内では、主食用米の生産量の約半分は業務用だが、コロナ禍前に取引先と複数年契約を結んでおり、価格下落がすぐに経営に影響するわけではない。とはいえ、契約更新時には下落を反映した額が提示されると予想され、林さんは「何とか価格が回復してほしい」と気をもむ。

 JAひだ管内でも、コロナ禍でインバウンドや観光客の減少により、4、5月の精米供給は前年比の5、6割程度となり、外食産業向けの米が「まったく売れない」状態にまでなった、と米穀課の中舎寿朗さんは話す。さらに、外国人観光客や宴会向けの日本酒の消費が失われ、醸造用米の需要が減少。21年産の醸造用米「ひだほまれ」は生産調整が行われる方向だ。

 県内で22年ぶりに注意報が発令された害虫トビイロウンカの被害も影響を及ぼしている。岐阜では10月15日時点の農水省作況指数が96の「やや不良」となるなど収量が減少したにもかかわらず、東北などは豊作下げ止まりの様相のため全体的な供給量は十分確保でき、価格が上がらないという。県内の農家は価格下落と収量減のダブルパンチに悩まされている。

 新米シーズンでも、コロナ禍の今年は店頭での試食キャンペーンができず、親子向けの収穫体験イベントなども中止になった。PRの場が失われ、新たな取り組みへの動きがある。

 JAぎふは、今月21日に管内12店舗で新米のドライブスルー販売を行う。6月に初めて実施し好評だったため、「ハツシモ」の新米で第2弾として企画した。管内で生産された米を倉庫から玄米で直販する「蔵出米」も予約受け付け中だ。

 「Go To イート」が10月にスタートし、外食産業に下げ止まりの動きが見られる。JAぎふは「飲食店で地元産の米が使われていると消費者に着実に伝えることも大切」、JAひだは「Go To頼みに偏らず、一般消費者の手に地元産米が直接渡るような方策を考えていきたい」と話している。

カテゴリ: くらし・文化 新型コロナウイルス 社会 経済