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「先生が心配」学校内の消毒で教員負担増→住民が協力



消毒作業の準備をするおばあちゃんグループ。他のグループと交代でボランティア活動を続けている=岐阜市粟野東、岩野田北小学校
消毒作業の準備をするおばあちゃんグループ。他のグループと交代でボランティア活動を続けている=岐阜市粟野東、岩野田北小学校

 新型コロナウイルスの影響で学校は、本年度の初めから臨時休校が続き、6月にようやく授業を再開した。その間、教員らは学校と家庭を結ぶリモート学習の立ち上げに追われ、再開後はコロナ禍に戸惑う子どもたちを見守りながら、通常の授業に加えてカリキュラムの遅れの対処や密を避ける工夫を求められることになる。さらに広い校内の清掃や消毒の作業がのし掛かった。

 「先生たちが本当に心配だ。"努力不足"と精神論で片付ける人もいるが、努力だけでは乗り越えられない。子どもを育て守るにはたくさんの関わりと時間が掛かる。解決には人を増やすしかない」。岐阜市粟野東、岩野田北小学校の遠山健二校長は模索した。そうした学校に寄り添ってくれたのが地域の人々だった。

 同校は、長くコミュニティー・スクールとして、地域が学校運営に加わってきた。中心は高齢者だが、授業再開で分散型登校が始まると、すぐに動き出した。子どもが帰った後、地域のおばあちゃんグループなどが、トイレと洗面台の消毒に来る。朝の図書室では児童の母親らが、ウイルス生存の調査結果に基づいて72時間放置した山積みの返却図書を、元の場所に並べる。登校に付き添う「見守り隊」は、早速シフトを組んで対応してくれた。アルコールやマスクを届けてくれる人たちもいた。

 おかげで教員は毎朝、子どもの体調に気を配り、一人一人と向き合う時間ができつつある。放課後の清掃や消毒で割かれる時間が減り、遅れたカリキュラムを話し合い、授業を準備する時間も生まれた。何よりの支えとなる。遠山校長は「地域の皆さんは"粟野の子やでなあ"と、まず自分たちにできることを考えてくださる」と深く感謝する。次は、密接な地域協働という宝を、どう継続していくか。

 継続には、多くの住民参加が求められる。校長や教頭が先頭に立ち、教員がとりまとめるのでなく、地域と学校の事情に精通し円滑につなぐ人材が不可欠だ。活動費も膨らんでいる。難題だが、コロナ禍が終息しても、同様の事態が起きないとも限らない。地域が学校の支援を責務とし、子どもが地域の担い手となる社会は、少子化で教員数が減る学校にも、高齢化が進む地域にも活路を開く。「地域の子どもたちを何とかしてあげたいという人たちに励まされている」と諦めない遠山校長。コロナ禍は、コミュニティーの結束を強くする契機になった。

カテゴリ: 教育 新型コロナウイルス