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YouTuberは天職 「登山日記」配信のかほさん「山の魅力伝えたい」



山に関する動画「かほの登山日記」を投稿するユーチューバーのかほさん=岐阜市、金華山
山に関する動画「かほの登山日記」を投稿するユーチューバーのかほさん=岐阜市、金華山

 「槍ケ岳の山頂に到着です。景色がきれいです!」。動画投稿サイト「ユーチューブ」の動画の中で登頂の喜びを高揚気味に話すのは、「かほの登山日記」を配信する20代後半の県内在住ユーチューバー、かほさんだ。大学進学を機に上京し、IT企業に勤めていたが、昨年3月に専業ユーチューバーに転身。生活拠点を古里の岐阜に戻した。今では「ユーチューバーは天職」と屈託ない笑顔を見せる。

 スマートフォンが普及して好きな情報にすぐにつながるようになった現代、ユーチューブは若者にとって身近な存在。昨年は新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が長くなり、視聴習慣がさらに根付いたと言われる。自分で動画を作り、継続的に投稿して広告収入を得るユーチューバーは、子どもの憧れの職業にもなっている。

 映像制作会社で働いていた社会人1年目、かほさんはロケで登った冬山で、雪を踏む足音や一面の雪景色に魅了され、趣味で登山を始めた。動画の投稿は一昨年10月に開始。始めた頃は1週間の再生回数が40回程度だったが、登山の過程や登山グッズの紹介など山関連の動画を発信。昨年8月の槍ケ岳の登山動画は1週間で10万2千回、現在までの視聴回数は30万回を超える。

 学研ホールディングスが昨年発表した「小学生が将来就きたい職業ランキング」では、ユーチューバーなどのネット配信者はプロサッカー選手やパティシエに並び4年連続で5位以内に入る。しかし現実には、収入が得られるほどの動画投稿者は一握りだ。

 かほさんも両親から、安定した収入が見込めないことを心配された。それでも、活躍するトップユーチューバーには同世代も多く、IT企業に勤めていた頃には、普通の高校生が会員制交流サイト(SNS)を介して一躍有名人になる様子を目の当たりにした。

 「ユーチューブの面白さは、普通の人でも表現することが仕事にできるところ。登山も動画の編集も好き。登山の醍醐味(だいごみ)、山の魅力を多くの人に見てもらいたい」

 開始から1年以上がたち、今は週4日の頻度で投稿。登録者数は12万5千人を超え、ユーチューバーとして生計を立てられるようになった。

 「Z世代」の著書で知られる若者研究家原田曜平さんは、若者がユーチューバーを職業に選ぶ理由を「Z世代をはじめ、若年層は終身雇用制や年功序列にしがみついておらず、失敗したらまた新しい仕事を探せばいいとフラットな目線で物事を考える。ユーチューバーは目に見える身近な成功例」と分析する。

 とはいえ「好きなことで生きるのは言葉以上に大変」とかほさん。15分の動画を完成させるのに丸2日は掛かるといい、専業にしてから仕事時間は1・5倍に増えた。ユーチューブの競争率は上がり、中高生はユーチューブの簡略版と言われる中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に流れている。登山ユーチューバーとしていつまで生き残れるかという不安はある。それでも「見えない未来を想像しても仕方がない。登りたい山に登って、1本でも多く動画を作ることが今の自分にできること」と前を向く。

カテゴリ: くらし・文化 エンタメ 社会