岐阜新聞Web

  • 美濃
  • 飛騨
  • 美濃
  • 飛騨


「麒麟ロス」がきた ご当地どうなる誘客「今後も観光地に」



最後の客を見送り、閉館を惜しむ可児市の大河ドラマ館スタッフ=14日夕、同市瀬田
最後の客を見送り、閉館を惜しむ可児市の大河ドラマ館スタッフ=14日夕、同市瀬田

 岐阜市、可児市、恵那市の「麒麟(きりん)がくる」大河ドラマ館が14日にフィナーレを迎えて1週間。全国から多くの観光客を迎え入れた県内のゆかりの地では「光秀イヤー」の終了を惜しむ声が広がっている。ドラマによって地元にスポットが当たったものの「一過性のにぎわい」で終わることを心配し、「光秀」を生かした新たな誘客の動きに期待する声がある。じわりと広がる「麒麟ロス」を追った。

 可児市のドラマ館では、土、日曜日になるとピアノの生演奏が響いた。曲は「麒麟がくる」のテーマ曲。演奏を約1年間続けたスタッフ(51)=同市矢戸=は「一生忘れられない曲。ファンのように接してくれたお客さんにもう会えない」と語る。

 大河ドラマ館の近くにある明智城跡。ドラマが始まった昨年1月の1カ月間に、市が把握している数だけでも3千人以上が訪れ、その勢いは「美濃編」がクライマックスを迎える4月まで続き、この期間だけで前年1年間の来場者を大幅に上回った。

 城跡の清掃やガイドをする住民グループ「明智荘(あけちのしょう)をみつめる会」会長(69)=同市瀬田=によると、ドラマが始まるまでは、地元でも明智城と光秀の関係はあまり知られていなかったという。「ドラマによって、地元だけでなく全国の人に明智城の存在を知ってもらえた。放送開始後に客の数が大幅に増えたことを肌で感じていた」と話す。ドラマ館を訪れた客が城跡に立ち寄ることも多く「今後は客の数も減るだろう」と不安をのぞかせる。

 俳優の本木雅弘さん演じる斎藤道三が、女性ファンをとりこにした美濃編。「長良川の戦い」で、その最期が描かれた後は「道三ロス」という言葉も世間を飛び交った。金華山のお膝元、岐阜市松山町に住む女性(60)は「毎週日曜日の楽しみだった。終わってしまい寂しいけれど岐阜を全国にPRできたと思う。昨年は(ドラマ館があった)岐阜公園周辺に活気があったと感じた。今後も観光名所として盛り上がりが続いてほしい」と期待を込める。

 ドラマで描かれた、知的で誠実な「新しい光秀像」によって、光秀に注がれる視線は大きく変わった。ドラマ館は3館ともコロナ禍で長期休館を余儀なくされるなど異例の展開をたどり、見込んだ来場者数にも大きな影響が出たが、ゆかりの地の知名度アップには成功を収めている。

 光秀生誕の地の伝承が残る恵那市明智町の自営業の男性(71)は、同じ夢を見た主君の織田信長と光秀がたもとを分かつラストについて「謀反人というこれまでの描き方からがらりと印象が変わった。ゆかりの地としてはとてもすがすがしい気持ちだった」と振り返る。

 ご当地では、麒麟ロスで終わらせないよう、ドラマの余韻が残るうちに、「光秀」を生かした誘客へ手を打っていくつもりだ。岐阜市の関係者は「岐阜の魅力を再発見してもらう最高の機会になった。展示物の一部を残すことも視野に、今後につながる道筋をつくりたい」と新たな戦略に含みを持たせた。

カテゴリ: おでかけ くらし・文化 エンタメ 社会