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命を守るアイテム「足し算引き算」避難袋はオーダーメードで



  • 伊藤三枝子会長の持ち出し袋には折り畳み式ヘルメットや薬類、着替えなども備えられている。袋は使い古した登山用リュックで「家にあるものを活用してほしい」と語る=大垣市内 
  • 夫婦の3食分を1パックに詰め、10セットを非常食として備蓄している伊藤会長 

 今月11日で東日本大震災から10年。防災意識が高まった10年前に避難袋(非常用持ち出し袋)や非常食などを買いそろえたものの、中身を確かめず放置したままになっていないだろうか。いざ災害が起きた時、自分の使いたい物が入っていないかもしれない。改めて「私の必需品」を見つめ直してみては―。

 「命を守るアイテムは人それぞれ。市販の防災セットを買った場合、そこから自分には必要ない物を取り除き、空いたスペースに必要な物を足す作業をしてほしい」。清流の国ぎふ女性防災士会の伊藤三枝子会長(64)は"オーダーメード"の持ち出し袋づくりを呼び掛ける。ポイントは具体的に避難をイメージをすることと、やみくもに詰め込まず「足し算引き算」をしながら持ち運びしやすい"適量"を探ることだ。

 伊藤会長の持ち出し袋を見せてもらった。330ミリリットル入り飲料水2本と缶入りパンなどの「食」と、小型ラジオや保険証のコピーなどの「情報類」が柱。中でも「自分には一番の必需品かも」とするのは、携帯用トイレと消臭袋の一式。「食は我慢できてもトイレは我慢できない。避難途中、そして避難先でもトイレが使えるとは限らないので最低3回分は用意したい」

 そのほか、水のいらないシャンプーや体を拭くためのウエットティッシュ、寒さをしのぐアルミブランケットなど、かさばらないアイテムを備える。「まず避難所までたどり着くこと。着けたならば、いかに衛生的に過ごすか」を重視した中身となっている。

 さらには夜間の被災も想定。散乱した暗い家の中でも持ち出し袋までたどり着けるよう、枕元に眼鏡やライト、履き慣れた古い靴を入れた小型バッグを置いている。「補聴器や入れ歯など、身体にまつわる専用アイテムは枕元バッグに入れておくといいのでは」

 同会は1月、岐阜市内で会員による持ち出し袋の展示会をした。冬場の被災を想定したある会員は、チョコレートやあめなどの菓子類やブランケットなどを詰め込み、「極限の中でも生き延びるためには、希望と少しの甘い物と暖が取れれば数日は何とかなる」との思いを解説。青汁や歯ブラシなどを用意した会員は、避難所生活に備え「これがあれば安心というものを集めた」。住所録や現金などを重視した会員は「命をつなぐために最低限必要なもの」を意識したという。

 伊藤会長は「何日くらい避難所にいるのか、そこで自分はどう過ごすのか。重視するのは衛生か食か。具体的な状況をイメージしながら準備することが大切」と話している。

◆非常食「家族3食分」1セットに 伊藤会長は10セット用意

 電気やガス、水道の利用が制限される中で何日も自宅で過ごす場合がある。伊藤会長に、効率的な非常食の備蓄方法について話してもらった。

 夫と自分の3食分を詰めたパックを、10セット(10日分)用意している。1セットの中身は、水やお湯で戻せる「アルファ米」や、そのまま食べられる肉じゃがなど防災用のおかず類、缶入りパンなど。たくさん買って段ボール箱に詰めても、何日分持つか分からないが、これならめどが立ちやすい。

 各地の災害ボランティアに行った際、被災者から「やはり白いご飯が一番」という声を聞いたので白飯を用意した。白飯は260グラム入りを購入。自分は100グラム、夫は150グラムの目安。1日の自分の適量はどれくらいか、家族と確かめ合いながら種類を選ぶといいのでは。

 日常生活で体調が良くない時、買い物に行けない時などに1セット使うこともある。使ったらまた新たな備蓄食料を購入して賞味期限内で回していく。災害時以外では、新型コロナウイルス感染症などで一定期間隔離された場合でも、これを使うことができるのではないか。

カテゴリ: くらし・文化 社会