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ヒノキでエコな加湿器、見た目もグッド 木升の技術、現代に昇華



  • 升の技術を盛り込んで開発したエコ加湿器「マスト」 
  • 升を使ったインテリアやアクセサリーを店頭で確認する大橋博行社長=大垣市西外側町、枡工房枡屋 

 1300年ほど前から使われてきたとされる歴史のある計量器、木升。岐阜県大垣市は全国シェア8割を誇る一大産地だが、木升市場は日本酒離れなどにより縮小傾向にある。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で各種イベントが中止されるなど、取り巻く環境は厳しさを増している。そんな中、木升メーカーの大橋量器(同市西外側町)は升を使ったインテリア用品やアクセサリーなど幅広く手掛け、市場開拓を続けている。象徴的な役割を果たしているのが、エコ加湿器「マスト」だ。

 加湿の機能を果たすのが、カンナで薄く削ったヒノキ。升を作る際に発生したもので、水と一緒に台に入れておくと削ったヒノキが水を吸い上げ、蒸発する。ヒノキの香りもして、香りと加湿の役割を兼ね備える。見た目も船をイメージし、薄く削ったヒノキを帆に、台を船体になぞらえており、インテリアとして楽しむこともできる。

 開発に着手したのは2010年。デザイナーの岡田心さんと連携して、セレクトショップでも単品で置いてもらえるような魅力ある商品を作ろうと取り組んだ。削ったヒノキは当初1枚だったが、3枚重ねたデザインにすることで、水を吸い上げる速度を1枚に比べ10倍以上にした。

 大橋博行社長(56)は、「見た目は升に見えないが、当社では升と位置づけている」と話す。実際に、台に使ったあられ組みと呼ばれる木の組み合わせ方や、底板を圧着する方法は升で用いている技術。升と同様に中に入れた水が漏れないようにした。帆に見立てている薄いヒノキも升を作る際に発生したカンナくず。升製造の技術が集まっている。

 マストのように升の概念から外れたインテリアやアクセサリーなどの商品展開は、05年から開始。本社にアンテナショップ「枡(ます)工房枡屋」を開設してから本格化した。すでに色のバリエーションも含めると100種程度まで増えている。それでも同社は全ての商品を升と位置づける。

 その理由について大橋社長は「あくまで当社の軸は升。升の魅力を知ってもらうのが最大の目的」だからだ。商品をきっかけにして升に興味を持ち、将来の升の顧客になってもらうことが狙い。マストをフラッグシップ商品としながら、升市場活性化への取り組みをこれからも続けていく。

カテゴリ: くらし・文化 経済