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ありのままの里山に触れる自転車旅 雪国の知恵を再発見

=8.5㎞= SATOYAMA EXPERIENCE(飛騨市)発着



  • 「飛騨の暮らしに隠された持続可能な魅力を伝えたい」と語る都築義弘さん=飛騨市古川町太江 
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 岐阜県内最北端の飛騨市を自転車で走れば、雪国の暮らしに目を奪われる。主に外国人観光客向けに自転車ツアーを提供している観光会社「美ら地球(ちゅらぼし)」(同市古川町弐之町)の助けで、里山の魅力を再発見する約8・5キロの旅に出掛けた。

 同社が提供するツアーは多言語ガイド付きで、ありのままの飛騨の暮らしを案内するスタイルが欧米の観光客に人気。ガイドの都築義弘さん(34)が、同社の事務所「SATOYAMA EXPERIENCE」発着のコースを作ってくれた。

 肌寒い朝の空気を切って目指す最初の目的地は、一見何の変哲もない田んぼだ。家庭用に伝統的な米作りをしており、稲架(はさ)掛け用の木材が小屋にしまわれている。手作業で収穫すれば、わらをさまざまな製品に活用できるのだという。

 豪雪地で暮らす工夫にも触れた。水穂神社(同町下気多)の柱を観察すると、地面に近い部分に別の材が使われていることに気付いた。雪で柱が傷んだ時、一部だけ取り替えて維持するための処置だ。くぎを使わず強度を確保するのは、高い建築技術の証しという。

 地域の暮らしに触れる旅は続く。築100年以上という古民家を外から見学。雪を防ぐために大きくせり出した屋根や、牛や馬をつないでいた場所を観察した。「がもう畜産」(同町杉崎)の牛舎の前では、都築さんから飛騨牛生産の話を聞いた。水くみ場「天王洞」(同所)の湧き水で喉を潤し、帰路に就いた。

 コースの終盤、都築さんは「もう丸1年英語を使っていないんです」と苦笑した。年間5千人以上だった海外の利用客は、新型コロナウイルス感染拡大で激減。国内の客を案内しながらツアーを続けているという。「里山の美しさは人の営みに支えられている。注目されていなかった部分を見てもらい、風景に隠された持続可能な魅力を伝えたい」と語った。

カテゴリ: おでかけ