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うどんつゆ、みそ...関東風⇔関西風「味の天下分け目の地」 岐阜県内では好み分かれ混在



  • 県内のスーパーセンターオークワでそろえた取材各社の商品。県民にも親しまれた味だ 
  • 岐阜、滋賀の県境にある関ケ原の天下分け麺処「やまびこ路」には、関東風と関西風の分岐点を示す看板が掲げられている=不破郡関ケ原町 

 南は愛知、三重県、東は長野県、北は富山県など北陸、西は関西の滋賀県と接する岐阜県。東西文化の分岐点といわれるけれど、食の好みは関東風? 関西風? 県外に本社を置く食品メーカーなどに岐阜県の印象を聞くと、県民の食の好みが浮き彫りになる一方、全国的な食の均一化で地域性が薄れつつある現状も垣間見えた。

 東西の味の違いで最も知られているのが、うどんのつゆの違いだろう。日清食品(大阪市)の即席カップ麺「どん兵衛」は、北海道を除く東日本ではかつおだしの関東風、西日本では昆布だしの関西風のスープで販売している。販売エリアは県単位で分け、岐阜県は全域が関東風だが滋賀県は関西風。実際に現地で味の違いを確かめて東西の境界を設定したという。ちなみに富山、石川、福井の北陸3県も関西風だ。

 家庭用のうどんの粉末スープ。寿がきや食品(愛知県豊明市)は、関東風と関西風の粉末スープを販売しているが、岐阜県で流通するのは関東風という。ならば関西風は太刀打ちできないのかといえば、そうでもない。関西風の粉末スープを売りにするヒガシマル醬油(しょうゆ)(兵庫県たつの市)。広報担当者は「岐阜県では関西寄りの地域で売れ行きがいい」と話す。きっちりと県境で好みが分かれるわけではないようだ。

 うどんスープ以上の違いを見せるのが、みそだ。みそは豆みそ、米みそ、麦みその大きく3種類に分かれるが、県外メーカー各社は岐阜県のみそ文化をおおよそ美濃地方は豆みそ、飛騨地方は米みその文化と見ている。「美濃は6割強が豆みそ。愛知県の売れ方と似ている。飛騨は米みそと合わせみそが圧倒的」と説明するのは、豆みそも米みそも扱うマルサンアイ(愛知県岡崎市)の担当者。

 米みそでも違いがある。長野発の信州みそと富山発の越中みそが知られるが、飛騨地方では塩みの強い辛口の信州みそより、米粒が残る甘口の越中みそが好まれるといい、越中みその日本海味噌醤油(みそしょうゆ)(富山県上市町)の担当者は「飛騨ではそれなりに出ている」と感触を示す。とはいえ、信州みそも「長野県とつながる中津川あたりで好まれている」と、信州みそを主力にするマルコメ(長野市)の担当者は言う。

 ほかにも、米菓では三幸製菓(新潟市)によると、伝統的に関東を中心とした東日本はしょうゆ味の堅焼きせんべい、西日本は砂糖などを使った甘口のソフトせんべいが好まれ、特に関西ではあられが人気。「岐阜県は関西と同じで、あられや、のり巻きが好まれる印象」と担当者。一方、餅は東が角餅(切り餅)、西が丸餅というが「岐阜県は圧倒的に切り餅」とはサトウ食品(新潟市)。小売店の視点では、オークワ(和歌山市)が「ソースが関西は濃厚ソースだが、岐阜県の店舗では『こいくち』が売れる」と教えてくれた。

 まとめると、岐阜県はやや東寄りで、地域性も際立つが、変化も生じている。現在は大手の商品ほど全国に流通しやすく、食の均一化が進む。象徴的な話題では日清食品が昨年、東日本向けの「どん兵衛きつねうどん」の"味変"を行い、関西風に近づけた。その理由を「うどんをメインとした外食チェーン店が全国的に広がった」ことで、好みが変化したと説明。

 みそでは、東海地方独特の豆みそ文化の牙城は固いが、マルコメは「就職や転勤で人の動きが全国規模になり、昔と比べて地域性が薄れている」と分析。首都圏や京阪神で高いシェアを占める同社は、岐阜県でも都市部を風穴に信州みその浸透を図る。あるメーカーの担当者はこう印象を話す。「広告展開して全国的に知られる商品は必ず店頭に並ぶ。各地で伝統的な料理の伝承ができなければ、自然と均一化していく」

 地域ごとの食の好みというのは、地場メーカーの踏ん張りがあってこそなのかもしれない。

カテゴリ: くらし・文化 グルメ 社会