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【エンジョイ!オリパラ】新体操「感動的な演技は誰にでも伝わる」 解説・大垣共立銀行OKB体操ク



 第5回は、東京五輪で団体の日本代表「フェアリー(妖精)ジャパン」の金メダル獲得が期待される新体操。各世代の代表を輩出してきた名門クラブの大垣共立銀行OKB体操クラブで、技のポイントや、高得点をたたき出す秘訣(ひけつ)を聞いた。

 新体操は、13メートル四方のフロアマット上で音楽に合わせて手具を巧みに操りながら、演技のテーマを表現する競技。「曲に合わせて自由に体を動かして踊ることが、とても楽しい。団体は、5人が手具を交換し合ったり、選手を持ち上げたりするのが見どころです」。競技歴12年の大町美羽(済美高2年)が笑顔で魅力を語ってくれた。身体の柔軟性を生かした動きや、手具と一体化するような美しい技の連続で見る者を引き込む、魅了する競技といえる。

 投げたり、取ったり、回したりする手具は「フープ」「ボール」「クラブ」「リボン」「ロープ」の五つ。このうち、東京五輪の個人では「ロープ」以外の4種目で競う。団体は1チーム5人で構成し、東京五輪は「ボール」と「フープ・クラブ」の2種目を行う。演技時間は個人は各1分15~30秒、団体は各2分15~30秒となっている。

 スピーディーに、次から次へと華麗な技が繰り広げられるのが団体だ。2018年にルールが変更され、演技に組み込まれる技の数が増えて難度はどんどん上がっている。

 複数の審判員が採点し、出来栄えのEスコアと、演技の難しさを示すDスコアで得点は構成される。Eスコアは10点満点の減点式だが、ルール変更でDスコアは上限がなくなった。難度の高い構成での勝負となり「(5人が関わる)連係技を数多く入れるのが最近の主流」とOKBクラブを運営するNPO総合体操クラブ専務理事の臼井千奈美コーチ。フェアリージャパンでは息をする間もないほどに連係技を取り入れており、その数は2秒~2秒半に1回と言われている。

 「ポイントをアップさせるために『投げ・受け』がかなり多くなっている」と臼井コーチ。手具を投げて体を回転する、1人が2個以上の手具を投げる、手以外と視野外(手具から目を離した状態)で投げ、受ける-など、動きごとに小刻みに加点要素が決められている。それらを繰り返してDスコアを積み上げていくのが鍵だ。大町は「技と技がスムーズにでき、次から次へとつながっているとすごい」と醍醐味(だいごみ)を話す。

 連続して繰り広げられる難易度の高い技の良し悪しを判断するのは難しいが、「衣装も作品の一つ」と大町。音楽に合わせた雰囲気を醸し出すために、羽やキラキラした装飾品などが付けられたこだわりの衣装は、まるで芸術作品のよう。技や連係の難度はもちろん大切だが、華やかに舞って演じる「物語」も見どころで、臼井コーチは「感動的な演技は、ルールが分からない人にも伝わる」とアピールする。

◆観戦のポイント 臼井千奈美コーチの一押し

①熟練した美しい動き

②ダイナミックな手具の投げ受け。その国独 自のオリジナルな連係技

③長さ6メートルの布製で、操作が難しいリボンの 巧みな手具さばき

④各国の民俗文化が反映されたステップ

⑤作品のテーマを決める音楽

◆記者体験記 〝妖精〟にはほど遠く リボンやフープ、扱い苦戦

 「音楽に合わせて華麗に舞ってみたい」。抱いていた期待は、手具の使い方や基本の技を教えてもらう時点で、はかなく散った。舞うことはおろか手具に遊ばれる始末で、団体日本代表「フェアリージャパン」のような"妖精"にはなれなかった。

 最初に挑戦したのは、一見するとマラカスのように見える手具「クラブ」のキャッチ。選手が約4メートル離れた位置からこちらに向かって高々と投げ、迫ってくるクラブ。何度やってもはじいてしまい、キャッチできたのは6度目。フープやリボン、ボールにも挑戦したが、選手みたいに体の一部のようには扱えなかった。さらに、団体の一員として演技の一部も体験したが、もちろん動きを合わせることはできず、悪戦苦闘する間に終わってしまった。

 肩を落とし、実際の演技を最後に見学した。巧みに手具交換しながら、しなやかで、時にエネルギッシュに躍動する選手たちを見ていると、心が晴れた。感動が増したのは、経験して難しさを知ったからこその収穫。五輪が楽しみだ。

カテゴリ: スポーツ 動画