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息子に約束の「五輪1勝」フェンシング佐藤、画面越し届ける



実家で子どもたちとクリスマスを過ごす佐藤希望。「頑張れ」の一言が何よりの支えとなった=昨年12月、福井県越前市
実家で子どもたちとクリスマスを過ごす佐藤希望。「頑張れ」の一言が何よりの支えとなった=昨年12月、福井県越前市

 子どもたちのために戦う母は、誰よりも輝いていた。「五輪で戦って勝つ姿を子どもに見せたい」との強い覚悟で3大会連続となる五輪に挑んだ、フェンシング女子エペ個人の佐藤希望(35)=大垣共立銀行=。入賞一歩手前の3回戦敗退に終わり、8位入賞を果たした前回リオデジャネイロ五輪を上回ることはできなかったが、約束通り、画面越しに見守る子どもたちに「1勝」を届けた。

 リオ五輪後は次男旬ちゃん(4)の出産と子育てもあり、競技から離れていた。東京五輪を目指すために復帰するか悩んだ時期もあったが、夫の充さん(45)から「応援するから後悔せずやってほしい」と背中を押され、決断。同時に「リオの時はお兄ちゃん(長男の匠君)も3歳だったから覚えていないかも」と、自国開催の五輪で勝利する姿を届けることを誓った。

 2019年に国際大会に本格復帰して以降、海外遠征や合宿などで家族と過ごす時間は大きく減った。「寂しい思いをさせていたかもしれない」が、遠征などに出発する前、子どもたちは必ず「頑張って」と送り出してくれた。「この一言が何よりも心の支えだった」

 新型コロナウイルスによる1年延期は、プラスに働いた。戦う体力を戻すための時間が増えたことに加え、家で子どもたちと過ごす時間も多くなり、「マイナス思考になることもなかった」。匠君と一緒にランニングしたり、旬ちゃんを抱えながらトレーニングしたり。家族の存在が一層、佐藤を強くした。

 集大成として臨んだ東京五輪は、直前でまさかの無観客開催に。子どもたちに会場で勝利する姿を見せることはできなかったが、いつもの「頑張れ」のひと言に加え、匠君が「ママ目指せ金メダル」と書いたプロテクターを着て、一緒に戦い抜いた。

 3度も立った五輪の舞台。「ママが五輪で戦った姿を見て、何かを感じてもらえたら」。最高の舞台で必死に剣を握った姿は、きっと子どもたちの目にも焼き付いているだろう。佐藤は「家族に感謝している。ずっと離れていたので、やっと会えるなという気持ち」と涙声だった。

カテゴリ: スポーツ