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深めた兄弟絆の拳、世界へ 五輪ボクシング田中亮明16強入り



田中亮明
田中亮明

 家族の思いを乗せた拳が何度もさく裂した。26日の東京五輪ボクシング男子フライ級1回戦で、リオデジャネイロ五輪銀メダルのベネズエラの選手に完勝した男子フライ級の田中亮明(27)=中京高教=。夢に見続けた五輪のリングで金星を挙げ、試合後は「気分が良い」と屈託のない晴れやかな笑顔がはじけた。五輪延期の1年間で、攻撃型に進化したボクシングスタイルを存分に発揮。ベスト16に駒を進めた。

 2016年のリオ五輪では、最有力候補と言われながらも代表選考から落選する悔しさを味わった。そこからはい上がってつかんだ、東京五輪のリングに立つ権利。ところが、新型コロナウイルスの影響で五輪の1年延期が決まった。

 「1年間の時間ができた」。マイナスには捉えず、さらなるレベルアップを図るため練習環境を変えた。力を借りた相手は、プロボクサーの弟で、元世界3階級王者の恒成(26)。これまでは特に教えを請うことはなかったというが、一緒にグローブを交えて練習するようになった。「五輪でメダルを取るためには攻めないと駄目。弟はがんがん攻めていくスタイルなので、学ぼうと思った」

 自分の弱点を探るため恒成に試合の映像を見てもらい、「遅い右フックは使わないほうがいい」「素早いパンチを意識して」など、欠点や弱点を率直に指摘してもらった。努力型といわれる守り重視の亮明と、天才型といわれる攻撃力にたけた恒成。「一緒に練習することが増え、たくさんコミュニケーションが取れた」と兄弟の絆は深まった。さらに恒成を教えた父斉さんの指導も仰ぎ、武器の左ストレートに磨きをかけ、スタミナも高めた。

 「自分の全てを注ぎ込む集大成にする」と臨んだ東京五輪。1回戦では父と弟から学んだ攻撃的なボクシングを貫き、相手がほとんど前に出ることができないほど圧倒した。次戦は31日。「金メダルを目指してやっている。銀も銅も1回戦負けも変わらない」。このまま駆け上がるつもりだ。

カテゴリ: スポーツ