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フクヒロ覚悟の出場 広田大けが、支えた福島「最後まで楽しめた」



3月の全英オープンで優勝し、東京五輪出場を濃厚としている福島由紀(左)、広田彩花組=2020年2月、下呂市
3月の全英オープンで優勝し、東京五輪出場を濃厚としている福島由紀(左)、広田彩花組=2020年2月、下呂市

 バドミントン女子ダブルスの福島由紀、広田彩花組(丸杉Bluvic)は29日、準々決勝で中国ペアに敗れ、夢舞台での戦いが幕を閉じた。大会前に広田が右膝の前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負ったものの、「目標にしてきた舞台」と覚悟を決めて出場。「コートに立っているだけで奇跡」という状態ながら、決勝トーナメントまで駒を進めた「フクヒロ」の戦いぶりは、多くの人の心を動かした。福島は「諦めず最後まで楽しんでやれた」と目を真っ赤にしながら振り返った。

 ペアを組んだのは2013年。国際舞台で突出した成績は残していなかったが、16年リオデジャネイロ五輪の高橋礼華、松友美佐紀組の優勝が、上を目指すきっかけとなった。「自分たちにもできるんじゃないか」(広田)と、東京五輪での「金」が明確な目標に。全日本総合選手権の初制覇は17年。強豪ライバルが多い女子ダブルスで、徐々に頭角を現した。

 18年、当時所属していたチームの監督の後を追い、縁もゆかりもなかった岐阜県のチームに移籍した。「前のチームを急に抜ける形だったし、不安もあった」と福島は話すが、18年は同選手権を連覇し、世界選手権は19年まで3年連続準優勝。岐阜に拠点を移してから、実力は世界トップレベルに飛躍した。

 昨年3月には全英オープンで優勝するなど、世界ランキングも上位に定着。福島は「試合や遠征から岐阜の家に帰ってくると、自然と『帰ってきたな』という気持ちになる。岐阜は第二の古里のよう」と話す。

 また、今春に現所属チームを保有する岐阜市の鉄鋼商社・丸杉の専用アリーナができるまで、練習場として羽島郡笠松町などの体育館を転々とした。「頑張ってと声を掛けてくれる人も増えた。岐阜の人は温かくて、応援が力になっている」と2人も自然と岐阜になじんでいった。

 同じ道を歩み、どんな時も一緒に乗り越えてきた2人。最後に待ち受けていた試練が、広田の大けがだった。「コートに立てないんじゃないかと思った」と広田自身が感じるほどで、通常は手術が必要な靱帯の断裂。しかし、2人は「五輪出場」を優先した。福島は「けがをしたことはしょうがない。広田にはできる範囲で動いてもらって、あとは自分がカバーする」と腹を決めた。

 手探りの状態で始まった大会。屈強なサポーターで膝を固めた広田は、痛そうな表情一つ見せずにシャトルを追い、福島は広田の負担を少しでも減らすべく、コートを前後左右に動き回った。「本当に(プレーできて)幸せだった」と広田。福島も「ここまでやれたことは大きなこと。広田がよく頑張ってくれた」と笑顔を浮かべる。メダル獲得には届かなかったものの、2人の絶対に諦めない気持ちがあふれた連係プレーは、金メダル以上の輝きを放っていた。

カテゴリ: スポーツ