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障害理解、6割「実感ない」 東京パラ・障害者や家族らアンケート 



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 共生社会の実現を理念に掲げる東京パラリンピックが、24日に開幕する。岐阜新聞社では大会を前に、岐阜県内の障害者とその家族、支援者ら計100人にパラ大会への期待や、共生が進んでいるかを問うアンケートを実施した。「障害への理解やバリアフリー化が進んでいるか」について61人が「実感はない」「実感はあまりない」と答えるなど、共生社会の実現には課題が残る一方で、「大会の開催が障害への理解につながるか」については、計74人が「とてもそう思う」「少しそう思う」と回答するなど、パラ大会の自国開催が障害者らの期待を集めている現状が明らかになった。

◆課題は「心のバリアフリー」

 アンケートは今月1~15日、県内の障害者スポーツ団体や福祉施設を通じて、障害者や家族、支援者ら100人に対してインターネットなどで行った。

 障害への周囲の理解については、「公共交通機関や公共施設ではバリアフリーが整ったが、心のバリアフリーはまだ浸透していない」(岐阜市20代男性)、「偏見や差別は、むしろ深刻になった」(50代女性)など、当事者側から見ると、障害への理解がいまだに進んでいない事実が浮き彫りとなった。

◆パラスポーツ認知に期待/聴覚、精神障害は蚊帳の外

 パラ大会は22競技539種目が行われ、史上最多の選手4400人の参加が見込まれるが、聴覚と精神障害者向けの種目がないなど、全ての障害を網羅してはいない。こういった背景からか、74人がパラ大会に期待する一方で「開催が障害の理解につながると思うか」との問いには、計26人が「思わない」「あまりそうは思わない」と回答。理由には「聴覚、精神障害は蚊帳の外」(岐阜市81歳男性)、「『不公平の中の不公平』を助長するだけ」(50代女性)といった厳しい声も寄せられた。

 一方で、パラ大会は「一般の人が障害について知る機会になる」(恵那市40代男性)、「大会を成功させてパラスポーツの認知度が上がってほしい」(岐阜市40歳女性)といった意見も多かった。「(障害者スポーツに対する)真の理解が進んでほしい」や「共生社会の幕開けとなって」と期待の声も多く寄せられた。

◆差別解消の契機に 障害者の3割、生きづらさ

 東京パラリンピックへの期待や周囲の障害への理解、差別を受けた体験などについて、岐阜新聞社が県内の障害者ら100人に行ったアンケートでは、「障害を理由に最近差別を受けたり感じたりしたことがあるか」について、8人が「とてもある」、26人が「少しある」と回答するなど、3割以上の当事者が何らかの生きづらさを感じていた。県は「第3期県障がい者総合支援プラン」に基づき、施設の充実や雇用の促進などを進めているが、当事者側からは、パラ大会を契機としたさらなる共生社会実現の推進が求められている。

◆笑われるのが日常「共生社会は程遠い」

 「外出すればじろじろ見られ、笑われたり罵声を浴びせられたりするのは日常。それでも我慢し、粛々と生きてきた」と明かしてくれたのは、身体障害を持つ50代女性。「パラリンピックの開催より、普通の、当たり前の生活を先に考えてほしい」と訴える。

 他にも「共生社会の実現」からは程遠いような悩みが寄せられた。子どもに障害がある大垣市の40代女性は「学校関係者から、入学前の相談や進級時の面談で差別的な発言、対応を受けた」、「職場で障害を理由に甘えていると言われた。できないことを理解してほしい」(加茂郡坂祝町40代女性)などの声もあった。

 県は岐阜市の鷺山・早田地区を「ぎふ清流福祉エリア」と名付け、教育、就労などの支援施設を一括整備した。昨年までに、障害者用のプールや体育館、相談センターなど計10施設も完成。アンケートでは「県の友愛アリーナ、友愛プールは素晴らしい」(関市40代女性)、「公共施設でのバリアフリーやユニバーサルデザインが増えた」(岐阜市40代男性)と前向きに受け止める声もあった。

◆競技、感動が目的ではない

 実名で体験談を寄せてくれた人も多くいた。高校1年の時に交通事故で左腕が使えなくなった男性(51)=岐阜市早田=は、水泳の全国大会で優勝した経験を持つ。「私たちは、障害者のことを健常者に理解してもらおうとスポーツをやっている訳ではないと理解してもらいたい」と、パラ大会イコール感動、という図式に当てはめてほしくないとくぎを刺す。男性が水泳を始めたのは、健康増進のため。「障害の状態や、どのように工夫して体を使っているかを理解し、その上で応援してもらえるとうれしい」とした。

カテゴリ: スポーツ 社会