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共生、理解の輪広がれ「社会で活躍の場を増やして」「重度、精神障害にも関心を」 



  • 陸上競技の練習に励む「岐阜障がい者アスリートクラブ」のメンバーら=今月8日、土岐市泉町定林寺、市総合活動センター 
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 24日に開幕する東京パラリンピック。出場予定のパラアスリート約4500人は、いずれも各国の予選を勝ち抜いたり、基準の記録をクリアしたりしたトップクラスの選手だ。しかし、その裾野には地域でスポーツに親しむ障害者や、支える関係者、家族がいる。岐阜県内パラスポーツの練習会で、自国開催の大会を見つめる関係者の思いを聞いた。

 今月8日、土岐市総合活動センター陸上競技場。「岐阜障がい者アスリートクラブ」(関市)の練習会が行われた。県内外から約50人が参加し、全員でウォーミングアップした後、種目別に分かれて短距離走や投てき種目など、それぞれが練習。夢中になって取り組む参加者に「そうそう、上手い」などと、絶え間なく明るい声が掛かる。

 同クラブは、2012年のぎふ清流大会(第12回全国障害者スポーツ大会)を見据え、選手の育成や強化、発掘をするため活動を開始した。月1~2回の練習会がメインで、県内の特別支援学校の教員らが指導。身体、知的、精神障害などを持つ約80人が所属し、初心者はもちろん、東京大会の陸上競技に出場する石田駆選手(愛院大、岐阜聖徳高出)ら65人の県強化指定選手も擁する。

 難聴の男性公務員(52)=岐阜市=は、健康維持のため参加している。「岐阜から全国へ、さらに世界へと出ていく若い人たちの活躍に刺激をもらえる」と、スポーツが生きがいの一つ。パラ大会の開幕や共生社会の推進にも期待を寄せており、「一般社会でも、彼ら(障害者)の活躍の場がもっと増えてくれたら」と願う。

 砲丸投げに取り組む岐阜盲学校専攻科1年生(18)は、一般大会で入賞した経験もある実力者。「障害者だからといってハンデはない。障害者でも実力がある人は、一般の大会にどんどん出るべき」ときっぱり。「パラ大会と五輪が分かれているのは疑問。種目にもよるが、五輪の各種目にパラ部門を設ければいいのに」と、自身が思い描く共生社会の実現に期待を寄せる。

 パラ大会が注目を集めることで、障害者福祉への理解が進むことを期待する声もある。「大会の花形選手は、主に軽度の身体障害者。重度身体障害や精神障害の人たちが置かれている状況にも目を向けてほしい」と話すのは、広汎性発達障害を持つ双子の母親(54)=大野郡白川村=。クラブの存在は「息子たちが成長できる一つの小さな社会としてはもちろん、障害児を育てる母親同士の情報交換の場としても欠かせない」と話す。

 県障害者スポーツ協会などによると、県内で障害者スポーツを支える組織は約30団体。同クラブ代表で郡上特別支援学校長の髙井繁喜さん(57)は「障害の有無やその種類、程度にかかわらず、仲間と一緒に楽しめる場、可能性を伸ばせる環境を提供し続けたい」と理想を語り、「障害者も健常者も、社会を構成する一員。障害者がやりたいことをサポートできる環境を社会として用意することが大事だ」と話した。

カテゴリ: 社会