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旧いとう旅館「まちづくりに生かして」女将の遺言 活用へ運営事業者募る



 岐阜市の古い町並みが残る川原町界わいにある「旧いとう旅館」を保存活用するため、市は10日から民間事業者向けの現地見学会を実施する。皇室や政府関係者、著名文化人が宿泊した由緒ある建物は6年前に市に寄贈され、観光面での活用策を探ってきた。既存の建物を残すことを前提に事業者に具体的な活用や運営方法を提案してもらい、観光地としての魅力向上に努める。

 見学会は古民家活用や建築、観光業者などを想定しており、30日まで予定する。市職員の案内で建物内部を見て回り、保存状態を確認する。参加者から事業規模や地域貢献策の聞き取りを計画している。

 長良川河畔に面した元浜町にある旅館は築70年以上の歴史を持ち、金華山や岐阜公園、鵜飼観覧船事務所などの名所に近い。高松宮ご夫妻が宿泊されたこともある。

 2014年に旅館を長く切り盛りしていた女将(おかみ)が亡くなり、「汗水垂らし精いっぱい働いた努力の結晶。岐阜市の歴史ある街づくりのために生かしてもらえれば」としたためた遺言が残された。相続した遺族が遺志をくみ取り、建物の維持、改修費と合わせて市に寄せた。

 建物の屋根の補修や草刈りなど維持、管理を担ってきた市は、外部有識者会議や市民意見募集、全国の古民家の事例調査などで活用策を模索していた。「伝統文化や岐阜の食を体験できる場にしてほしい」などの意見が出ていた。

 本年度中に民間事業者から提案を募るプロポーザルを実施して業者を選定し、来年度以降に業者による補修、管理が進められる。市ぎふ魅力づくり推進課の担当者は「寄贈者の思いを踏まえながら、地元や市民にも親しまれる場となるように取り組んでいきたい」と話した。

 旧いとう旅館】 1946(昭和21)年築。瓦ぶきの木造2階建てで、延べ床面積は約500平方メートル。長良川や岐阜城を眺望でき、昭和の風情を感じさせる。映画監督の今村昌平氏や、岐阜市が舞台の小説「白い魔魚」を執筆した作家舟橋聖一氏、鈴木善幸元首相、大手総合商社「伊藤忠商事」の2代伊藤忠兵衛氏らが滞在した。

カテゴリ: くらし・文化 動画