「君の名は。」聖地では見られない 県内映画館8館のみに − 岐阜新聞 Web
「君の名は。」聖地では見られない 県内映画館8館のみに
2016年10月08日09:17
写真:「君の名は。」聖地では見られない 県内映画館8館のみに
県内にあった映画館とまちのにぎわいを伝える企画展。近藤良一館長は「みんなが一緒に映画を楽しんだ時代だった」と語る=羽島市竹鼻町、市歴史民俗資料館・映画資料館

 岐阜市や飛騨市、大垣市と、岐阜県内の風景が登場する映画が次々に公開され、舞台を訪れる“聖地巡礼”などの波及効果が広がる一方、県内で映画館の減少が続いている。羽島市歴史民俗資料館・映画資料館(同市竹鼻町)の調査によると、シネマコンプレックス(複合映画館)も1館と数えた場合、2000年と比べておよそ半分の8館に減った。ここ10年間で飛騨地域など映画館のない空白地帯もできており、新作映画を楽しめる環境に地域格差が生じている。

 アニメ映画「君の名は。」の舞台のモデルになった飛騨市。主人公たちが訪れたJR飛騨古川駅や市図書館などに、公開から1カ月以上が経過した今も県外から多くのファンが訪れている。ただ、市内には映画館がない。市図書館職員の村田萌さん(29)は、「若い人は富山県など遠くの映画館にも見に行けるが、高齢の利用者からは『見に行きたいけれど足がないわ』という声も多く聞く」と、もどかしさを口にする。

 映画資料館では、岐阜新聞の広告欄や業界誌などを基に県内の映画館数の推移を調べ、各館の往時の外観写真とともに伝える企画展を12月18日まで開催。東映や日活などの製作会社ができた1950年代に急増、60年代には150館以上があったという。

 業界で統廃合が進み80年代までに30館ほどに激減するものの、映画館が県内各地に点在していたことを地図や年表で紹介。90年代に入りシネマコンプレックスが主流になり、人口規模の大きな地域に集中するようになった、映画館を巡る時代の移ろいを示している。

 飛騨地域では、2014年に高山旭座(高山市三福寺町)が閉館したのを最後に姿を消した。映画資料館の近藤良一館長(64)は「映画館で見るという体験も作品鑑賞の大切な要素の一つ。失われてしまうのは惜しい」と語る。

 岐阜経済大の菊本舞准教授(43)=地域経済論=は「図書館や廃校舎といった既存の施設を活用した鑑賞会など、住民の交流やまちを回遊するきっかけを生んだ映画館の代わりになるような方法が必要」と話した。