岐阜市の土地、名義が違う − 岐阜新聞 Web
岐阜市の土地、名義が違う
2017年09月05日08:30
写真:岐阜市の土地、名義が違う
1950年ごろの復興市営住宅の様子。下の通りは鷺山本通り=岐阜市鷺山(岐阜市史より)

◆67年間、所有権移転の登記手続きせず

 岐阜市が市有地として管理する鷺山地区の土地の一部が、67年にわたって所有権移転の登記手続きがなされていなかったことが4日、分かった。市が戦後間もなくに購入し復興市営住宅を建てた鷺山地区の土地で、約4万6000平方メートルの範囲に含まれる。戦後の混乱の中で手続きが取られていなかったとみられる。市は、権利関係の整理をするため、土地相続人の一部を相手に所有権移転の登記手続きを求める訴えを近く起こす。

 市住宅課によると、対象の土地は、かつてこの土地の近くを流れていた川の河川敷で更地だったが、市が1950年8月に購入。約400戸の戦後復興市営住宅を建てた。岐阜空襲で市街地は焼け、市内では大量の住宅が必要になっていたという。その際、売買手続きはしたものの、一部土地で所有権移転の登記手続きがなされなかった。同課担当者は「戦後の混乱の中、住宅を建てることが最優先で、登記手続きは後回しになったのではないか」と推測する。

 現在は市が土地のみを管理しているが、住民からは「住宅建て替え時に融資を受ける際、土地の名義が市ではないために支障が出る」などの声が上がっているという。

 2011年、国の地籍整理の補助制度ができたことなどから、市は名義変更のための調査を開始。約4万6千平方メートルのうち約6千平方メートルを調べたところ、登記手続きをしていない所有者6人は既に死亡し、計108人の相続人がいることが分かった。市は全員に所有権移転の承諾を求める文書を昨年12月と今年3月に送付し、85人から承諾が得られたという。

 一定期間土地を占有すれば取得できる「時効取得」に基づく訴訟を起こすことで登記手続きができることから、市は、約780平方メートルの土地に対して相続人23人を相手に訴えを起こす。

 市は今後、残る約4万平方メートルの土地についても調査を進めるが、土地は広大で、相続人も数百人規模とみられることから、手続きを終えるのにはかなりの時間がかかりそうだ。