県内看護系短大、進む「四年制化」 私立3校計画 − 岐阜新聞 Web
県内看護系短大、進む「四年制化」 私立3校計画
2017年11月23日09:39
写真:県内看護系短大、進む「四年制化」 私立3校計画
看護学科の単科大「岐阜保健大学」の開設を計画する岐阜保健短大=岐阜市東鶉

◆学生獲得や教員確保に課題

 看護系学科を持つ岐阜県内の私立短期大学全3校が、単科大学への移行など看護教育の四年制化を進めている。専門性の高い看護師養成を求める社会の要請があるためだ。ただ、全国では四大化が進み、学生の獲得や教員の確保が課題に浮上し、開設後間もなく定員割れに陥る大学も出ている。大学関係者からは「全ての短大を四年制大学にするのは無理があるのではないか」と疑問の声も上がっている。

 超高齢社会を迎え、チーム医療における看護師の重要性も高まる中、日本看護協会は四年制化を後押ししている。文部科学省によると4月現在、全国の看護系私立短大は17校で、うち3校は岐阜県にある。

 豊田学園(岐阜市)は岐阜保健短大の看護学科を2019年に廃止し、看護学部の単科大「岐阜保健大」を開学する。誠広学園(同市)は平成医療短大看護学科の数年以内の四大化を検討している。大垣総合学園(大垣市)は大垣女子短大の看護学科を19年に廃止し、岐阜経済大に学部として開設する計画。3短大が四大化すると、県内の私立大学看護学部・学科は8校になる。岐阜保健短大の河田紀子学長は「受験生や保護者に高学歴志向が強まっており、四大化は時代の流れ」と話す。

 これまで大学の看護学部は、就職口に困らないなどの理由で受験生に人気があったが、四大化が全国的に進み、勢いに陰りが見え始めている。

写真:県内看護系短大、進む「四年制化」 私立3校計画
 

 文科省の調査によると、前年度、2年以内に看護学部を新設した全国の私立大3校で看護学部の定員充足率が70%を割った。大学経営に詳しい教育研究者の小川洋さんによると、大幅な定員割れは05年に現行制度となってから初めて。

 定員割れは都市部周辺が顕著で、山梨県の健康科学大は16年の開設初年度から定員割れとなった。同大の上野幸男看護学部事務長は「知名度が低く、国公立大が集中する東京に受験生を吸い取られた」と危機感を抱く。

 岐阜県でも本年度、私立大5校のうち2校で入学者数が定員を下回った。大垣女子短大の曽根孝仁学長も「定員が埋まるかはぎりぎりのところ」と先行きを楽観視しない。

 さらに、大学にとって、学部設置に必要な教授の確保も大きな課題。四大化が進み、「全国で教員の争奪戦が起こっている」(田口幸太郎・誠広学園常務理事)という。

 文科省調査で専門委員を務める県立看護大看護学部長の北山三津子教授は「教員が不足し、受験生の奪い合いにもなっている。そもそも全ての短大を四大化することは現実的なのか」と国や協会の方針に疑問を投げ掛け、小川さんも「(四大化より)既存の学部・学科のリストラクチャリングの方が必要」と話す。

 差別化を図るためには、新しい高等教育機関「専門職大学」「専門職短大」に転化したり、地域に根差した看護活動をアピールしたりすべきと識者らは指摘する。