患者の動作、正確解析 岐阜大、システム開発 − 岐阜新聞 Web
患者の動作、正確解析 岐阜大、システム開発
2018年01月18日09:09
写真:患者の動作、正確解析 岐阜大、システム開発
開発したシステムを実演する松丸直樹さん。肘の内側に付けたマーカーの動きを手前の赤外線カメラで撮影する=岐阜市大学西、岐阜薬科大

◆筋力低下の難病「SMA」治療に

 岐阜大大学院連合創薬医療情報研究科の研究グループは17日、全身の筋力が低下する難病「脊髄性筋萎縮症(SMA)」の患者の体の動きをパソコンを使って3次元で正確に解析するシステムを開発したと発表した。薬の服用効果を分析できるようになるなど、治療に役立つ成果。同様のシステムの開発は世界初といい、論文が22日に日本小児神経学会の英文誌に掲載される。

 パソコンで人の動きを記録したり、描画したりする「モーションキャプチャ」と呼ばれる技術を応用し、独自の3次元解析プログラムを開発した。複数の赤外線カメラを並べた場所で、マーカーと呼ばれる球形の小さな印を手首などに取り付けると、カメラが印を捉え、その動きを解析する。動きの滑らかさを正確に解析できるのが特長で、誤差は0.1ミリ程度という。

 従来の解析には、マーカーを20個前後取り付けたり、高額で大がかりな機器が必要だったりしたが、新たに開発したシステムは一つのマーカーでも解析できるため、実用性が飛躍的に高まった。

 SMAをはじめとした神経疾患の患者に対する利用を想定している。患者が薬を服用する前と後とで、体の動きのわずかな違いも可視化できるようになるため、薬の臨床試験への応用や、研究者間でのデータの共有などが期待できる。

 また、このシステムを応用すると、赤外線カメラがなくても、米アップルの腕時計型端末「アップルウオッチ」を着用した人の動きも解析できる。端末に内蔵されている加速度センサーなどを活用して解析する。高齢者の体の動きがどの程度衰えているかや、スポーツや舞踊での動きを解析するなど、さまざまな利用法がありそうだ。

 開発したのは、加藤善一郎教授(52)と、同研究科博士課程の大学院生松丸直樹さん(43)。加藤教授は「神経難病患者の体の動きの解析は、20年来取り組んできた課題の一つ。治療を前進させるための大きな一歩を踏み出せた」と話している。