夫婦二人三脚 奄美大島で水生昆虫の新種発見 − 岐阜新聞 Web
夫婦二人三脚 奄美大島で水生昆虫の新種発見
2018年01月19日08:54
写真:夫婦二人三脚 奄美大島で水生昆虫の新種発見
発見した新種「アマミヨコミゾドロムシ」の拡大写真を示す上手雄貴、奈美さん夫妻。二人三脚での研究が実った=岐阜新聞本社

 鹿児島県の奄美大島の川で、名古屋市職員の上手雄貴さん(39)=岐阜市市橋=が水生昆虫のヨコミゾドロムシ属の新種を発見した。上手さんは昆虫採集や研究の趣味が高じて12種類の新種を発見するなど、昆虫研究者や愛好家の間では有名な公務員。仕事の傍ら、妻で岐阜県職員の奈美さん(41)と国内の離島や海外を二人三脚で巡り、新種の発見などに力を注いでいる。

 新たに発見したのは、黒色で体長が2ミリほどの小さな昆虫。「アマミヨコミゾドロムシ」と名付けて昨年12月の日本甲虫学会誌に論文が掲載された。

 上手さんは名古屋市衛生研究所に勤務し、蚊やダニなど害虫の分析業務を担当。職場の理解もあり、休暇を利用して研究を続けている。奄美大島には学生時代から通っている。

 発見したのは昨年3月。龍郷町の小川で、水草の根元にいた32匹を採集した。上手さんは脚の長さなどから一見して新種と分かったといい、「すごい発見かもしれないと思い、気絶するほどうれしかった」と振り返る。

 発見を支えたのは奈美さん。上手さんと出会うまで昆虫とは縁遠かったが、研究旅行には必ず帯同し、採集用具の準備などをサポートしている。「採集や研究をしている夫は生き生きとしており、論文などに名前が残るすごいことを続けている。サポートできる喜びを感じる」と奈美さん。上手さんも「苦労ばかり掛けており、感謝しかない。最高のパートナー」と言う。

 今回の新種発見は、学術的価値も高い。同属はこれまで国内では本州や四国、九州にヨコミゾドロムシ(絶滅危惧2類)の1種類のみが分布しているとみられていた。アマミの形態は国内や韓国、台湾に分布する同属より中国南部の種に近く、奄美大島が大陸から分離した後に近縁の種が絶滅した「生きる化石」とも言われる遺存固有種ではないかと考察されている。