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「ハイパー核」相次ぎ発見 岐阜大・仲沢教授に「仁科賞」



 岐阜大(岐阜市柳戸)教育学部の仲沢和馬シニア教授(63)が、物理学で日本最高の栄誉とされる仁科記念賞を受賞した。岐阜大教授陣の受賞は初めてで、仲沢教授は「励ましてもらったと思い、これからも研究にまい進したい」と喜びを語った。

 仲沢教授が受賞した業績は「原子核乾板を用いたダブルストレンジネス原子核の研究」。通常の原子核は陽子と中性子で構成されるが、仲沢教授は「ハイペロン」と呼ばれる粒子からなる原子核「ハイパー核」の研究に30年以上携わってきた。これまでに世界で発見された44例のうち43例を発見している。

 2001年にヘリウム原子核にハイペロンの一つ「ラムダ粒子」が二つ入った「ダブルラムダハイパー核」を発見、18年にもラムダ粒子が二つ入ったベリリウム原子核を見付け、それぞれの事象を「長良イベント」「美濃イベント」と命名した。原子核の違いでラムダ粒子間の結合エネルギーが変化することを世界で初めて観測したほか、15年には同じくハイペロンの一つ「グザイ粒子」が窒素原子核に閉じ込められたグザイ原子核の世界初の検出に成功し「木曽イベント」と名付けた。

 ラムダ粒子やグザイ粒子は、ブラックホールと同様に謎の多い「中性子星」に大量に存在すると考えられているが、100億分の1秒で消えてしまうため、観測が難しい。仲沢教授は特異な「K中間子」のビームをダイヤモンドの塊に1000億回ほど当てて乳液を塗りつけた写真乾板にぶつけるという独自の手法を確立し、ハイパー核の生成・崩壊の痕跡を見つけてきた。

 後進の育成にも熱心に取り組む仲沢教授は近年、ミャンマーに年3、4回ほど訪れ、ヤンゴン大などで約100人規模の物理実験の研修を実施。県内でも子どもたちに物理への興味を持ってもらおうと、小中高生を対象にした物理実験を毎年開いている。

 「今後2年程度で、新たに1000のハイパー核の発見が目標。早速、今までにない原子核の内部構造が分かる事象『伊吹イベント』を年内に発表する」と話す仲沢教授。最近の学生や若い研究者に対しては「10年以上先の自分を見据えて、目の前の課題解決に取り組んでほしい」とエールを送る。

 仁科記念賞は、原子物理学者の故仁科芳雄博士(1890~1951年)の功績を記念して1955年に創設。昨年までに191人が受賞しており、受賞者からは、江崎玲於奈、小柴昌俊、小林誠、益川敏英、中村修二、梶田隆章の6氏のノーベル物理学賞受賞者を輩出している。

カテゴリ: 動画 科学



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