オグリの里
オグリ孫のストリートキャップが引退

2018年03月16日 21:20

オグリキャップ孫のストリートキャップ。中央で3勝を挙げたが、脚元のけがで引退が決まった

 オグリキャップの孫として、中央競馬で活躍していたストリートキャップ(牡6歳、斎藤誠厩舎)が、レース中の捻挫のため、残念ながら競走馬生活から引退することが決まった。オグリ一族の数少ない一頭として、ファンがとても多い馬だった。早くけがを治して、新たなステージでまた元気な姿を見せてほしいものだ。

 ストリートキャップは、オグリキャップ最後の産駒ミンナノアイドル(牝11歳、芦毛)の長男。2014年にデビューし、31戦して3勝を挙げる活躍を見せてくれた。引退後は、けがの治療や乗馬として訓練を受けるため「サンクスホースプロジェクト」へ無償譲渡される予定。「引退馬をみんなで支えていこう」というプロジェクトで、「ストリートキャップを応援していきたい」という会員(40口)が募集される。

 故障が発生したのは2月24日の中山12R(ダート、1000万下)で、競走中止となった。中団やや後ろを進んでいた最後の直線、ストリートキャップが左前脚をかばったため、大野拓弥騎手がゴール前150メートル付近で競走をストップさせた。脚部不安からの復帰2戦目で、久々のダートコース(2度目)に挑んだが、アクシデントが起きてしまった。骨折などによる最悪の事態も頭をよぎって大変心配したが、何とか無事だった。

「オグリの夢、再び」と願い、ストリートキャップを応援した横断幕

 ストリートキャップの引退は、一口馬主クラブ「ローレルクラブ」の出資会員に報告された。斎藤調教師は「大野騎手の判断で、競走を止めて左前球節の捻挫で済んだ。大事に至らずホッとした。2度目の捻挫で、現役を続けるよりは、このタイミングで今後を考えることが最善かと思って」と、引退させることを決断したという。

 今後については、芦毛であることからJRAでの誘導馬への道を模索したが、「治療に時間と経費をかけられないと断られた」という。引退馬を受け入れて、乗馬用に再調教を行う「サンクスホースプロジェクト」からは快い返事を頂き一安心。斎藤調教師は「もっと活躍できる場をつくれず、残念でなりません。夢の続きは弟に託して頂ければ幸いです」とこれまでのファンのサポートに感謝した。ストリートキャップは、既に去勢手術を受けて「せん馬」になったようで、登録抹消後はプロジェクトをサポートする岡山乗馬倶楽部へ移動し、脚元の療養や乗馬トレーニングを受ける。

昨年の桜花賞デー、阪神競馬場で出走したストリートキャップには福永祐一騎手が騎乗した

 競走馬生活を終え、今後は違った形で大勢のファンの支援が必要になる。乗馬クラブでは、サポート会員の共有馬となりそうだが、何と言っても「オグリキャップの孫」である。馬体はますます白くなるだろうから、誘導馬として再び競馬場に戻る道があってもいいのではないか。JRAが駄目なら、選択肢の一つとして地方競馬はどうか。何年先でもいいし、タイミング次第となるだろうが、それが祖父が育った笠松競馬なら最高だが...。笠松には「パクじぃ」の後継馬2頭が活躍中ではあるが、一日乗馬体験など、どんな形でもいいので、ファンと触れ合える日がいつか実現できるといい。

母馬ミンナノアイドルに寄り添う次男。ストリートキャップの弟で、JRAデビューを目指している(パカパカ工房提供)

 ストリートキャップの生まれ故郷は、北海道新冠町の佐藤牧場。オグリ一族の最大の理解者が牧場代表の佐藤信広さんだ。「デビュー時から夢を見させてくれた。いつも応援団の方々に支えられて、やってこれた。オグリやストリートキャップの夢の続きは、(1歳になった)弟に託したい。たくさんの応援ありがとうございました」と感謝。これからも「オグリキャップの血を絶やしてはならない」と、ミンナノアイドルとともにキャップの血統を受け継ぎ、守り抜いていく決意だ。

 昨年、5年ぶりに誕生したミンナノアイドルの次男(父ゴールドアリュール)も芦毛で、1歳になった。ストリートキャップの弟であり、母馬や牧場スタッフの愛情に包まれて、すくすくと成長。来年の夏以降に競走馬としてJRAでデビューする予定で、「一口馬主」やファンの期待は大きく、将来のスターホースを目指すことになる。

 オグリキャップの孫のもう1頭。大井競馬で活躍していたオーロシスネも、デビュー時から患っていた屈腱炎の悪化のため、昨年11月に引退したという。キョウワスピカ産駒で、4歳デビューと遅咲きだったが、強烈な末脚を発揮し、4戦4勝の好成績を残した。地方から中央へと活躍を続けることを、ファンも夢見ていたが、けがには勝てなかった。引退後は、兄ギンゲイが暮らしていた埼玉の乗馬クラブで脚の治療と休養に専念しているという。

 オーロシスネの兄ギンゲイ(キョウワスピカ産駒)は昨年10月に亡くなったという。オグリキャップの孫として注目を浴び、中央時代に4勝。GⅠの朝日杯FSにも出走した(16着)。地方競馬に移籍後は北海道、高知で10歳まで現役だった。レース中のアクシデントで左目を失明しながらも走り続け、高知でのラストランを勝利で飾った。

急死したサウスヴィグラスの代表的産駒であるラブミーチャンと次男

 注目馬の悲報が続いている。ラブミーチャンの父でもあったサウスヴィグラスは3月4日、療養中に急死した。22歳だった。現役時代には引退レースで03年のJBCスプリント(GⅠ)を制覇するなど重賞8勝。主戦は柴田善臣騎手だった。種牡馬入り後の活躍は目覚ましく、4度の地方競馬リーディングサイアーを獲得し、ダートで多くの重賞馬を出した。

 代表産駒にはラブミーチャンのほか、「NARグランプリ2017」年度代表馬ヒガシウィルウィン(船橋)や15年JBCスプリントを勝ったコーリンベリー(JRAから大井移籍)らがいる。笠松でも多くのサウスヴィグラス産駒が走り、勝利を量産してきた。ラブミーチャンがGⅠの全日本2歳優駿(09年)を制覇し、NAR年度代表馬に2度(09年、12年)輝いたことは、短距離ダートでのスピードと切れ味に優れた父サウスヴィグラスの種牡馬としての評価を大いに高めたといえよう。

 夢の続きは、次世代へと受け継がれていく。今後は、ストリートキャップの弟や未出走のサウスヴィグラス産駒たちが、地方や中央でデビューの日を迎えることだろう。3月25日に中京競馬場で行われるGⅠレース・高松宮記念には、オグリキャップのひ孫ラインミーティア(西田雄一郎騎手)も出走予定。昨夏の新潟・アイビスSDの覇者で、キャップの血統から中央重賞を初制覇し、サマースプリント王にも輝いた。近走は2桁着順が続き、高松宮記念では単勝万馬券になるかもしれないが、「がんばれ馬券」で応援したくなる一頭である。