オグリの里
ラブミーチャン次男、好タイムで合格

2018年03月30日 08:54

門別競馬場で2歳馬能力検査が行われ、好時計で快走したラブミージュニア(左)=ホッカイドウ競馬提供

 笠松のファンも注目する期待馬が、北の大地で好発進。北海道の門別競馬場で3月15日、2歳馬の能力検査(競走能力・発走調教検査)がスタート。GⅠ馬ラブミーチャン産駒の次男ラブミージュニア(栗毛)が、この日走った72頭のうち2番目となる好タイムで駆け抜け、合格した。ホッカイドウ競馬は4月18日に開幕し、2歳馬たちはJRA認定スーパーフレッシュチャレンジ競走(1200メートル)などで初勝利を目指す。

 ラブミージュニアは、父もGⅠ馬のゴールドアリュールで、リーディング2年連続2位の角川秀樹厩舎に所属。能力検査では、昨年105勝を挙げて2年連続リーディングに輝いた桑村真明騎手が騎乗した。

 距離800メートルで馬場状態は「やや重」。ラブミージュニアのスタートはまずまずで4、5番手を追走し、4コーナーを回ると反応良く加速。馬群を割るようにして先頭に並びかけ、50秒5でゴールした。同厩舎のイグナシオドーロが1番時計の50秒4で、強力なライバルになりそうだ。ゴール後、ラブミージュニアは内らちに衝突し、騎手を振り落とす幼さも見せていた。

母ラブミーチャンに寄り添う次男ラブミージュニア。谷岡牧場ですくすくと成長した

 笠松育ちのラブミーチャンは2013年秋の引退以来、谷岡牧場(北海道新ひだか町)で繁殖馬生活を送っている。母親としても成績優秀で、生まれた3頭は2男1女。サクラローレル、サクラチヨノオーなど数々のGⅠ馬を育ててきた「サクラ軍団」の名門牧場で、のんびりと暮らしながら、子育てに奮闘してきた。

 ラブミージュニアは、母の父サウスヴィグラスの血を引いて、「筋肉がすごい付き方をしている。母馬と同様にムキムキしており、パワーがあって馬力が強いタイプ。いたずら好きで、やんちゃですね」と牧場スタッフが話していたのが印象的。放牧地でも母馬に寄り添いながら、しなやかで元気いっぱいの動きを見せてくれ、「これは走りそうだなあ」と期待できる雰囲気があった。ラブミーチャンの馬体重は510キロ前後あったが、ラブミージュニアも能力検査では484キロと、母親譲りの豊かな馬体も魅力的だ。父ゴールドアリュールは堅実に走って大物も出す血統。まずは短距離のレースで活躍できそうだ。

長男ラブミーボーイは、JRAでのデビューを目指している

 ラブミーチャンの子では、長男で3歳になったラブミーボーイ(父ゴールドアリュール)がJRA(栗東・村山明厩舎)に所属し、デビューを目指している。1歳の頃から馬体にひ弱さがあり、遅咲きとはなるが、まずはレースで元気な姿を見せてほしい。中央が駄目なら、母ラブミーチャンのように笠松のダートでデビューする手もある。「再生工場」とも呼ばれる名門厩舎で鍛えられて、たくましく育つ可能性は十分にある。

 昨年には長女も誕生。父は高松宮記念優勝馬コパノリチャードで、来年のデビューを目指している。昨年末に引退して種牡馬となったコパノリッキーは、GⅠで11勝を飾った最多記録ホルダー。馬主はいずれもDr.コパ(小林祥晃)さんでもあり、宣言通りにラブミーチャンとコパノリッキーの子の誕生を楽しみに待ちたい。

 ラブミーチャンといえば、笠松の快速娘として地方馬のスーパースプリントシリーズでも大活躍した。11年の第1回から、北陸・東海地区トライアルの「名古屋でら馬スプリント」、ファイナルの「習志野きらっとスプリント」を3連覇。超短距離戦の最速女王に君臨した。その圧倒的な強さで「ラブミーチャンのために創設されたようなシリーズ」とまで言われた。

 だが、今年はちょっとした異変があった。名古屋のご当地レースらしくて気に入っていた「でら馬スプリント」が休止になったのだ。昨年もハイジャ(井上孝彦厩舎)が優勝しており、笠松のスプリンターが得意としたレースだっただけに、とても残念である。

 距離800メートルで、3~4コーナーをワンターンする電撃戦。レースに慣れていない2歳馬と違って、歴戦のオープン級がスピードを競って激突。一斉に第3コーナーに勢いよく突っ込むため、落馬事故などの危険性をはらむレースでもある。

昨年の名古屋でら馬スプリントでは、笠松のハイジャ(佐藤友則騎手)が1着でゴールした(名古屋競馬提供)

 5番人気ハイジャが勝った昨年のレース映像を見直してみると、アクシデントが起きていた。1番人気のレディエントブルーが、3コーナーでの先陣争いで狭いスペースに突っ込み、騎乗していた大畑雅章騎手が振り落とされるようにして落馬していたのだ(無事でした)。「直線は短く、オープン馬のスピードに対してレース自体の魅力もどうなのか」と名古屋競馬。直線が長くなる弥富移転も見据えて、レース廃止ではなく休止の予定という。

 名古屋がレース返上なら、笠松か金沢でやるしかなく、「笠松でどうですか」という開催の打診もあったそうだが、オープンクラスによる800メートル戦はやはり厳しいようだ。小回りでコーナリングがきつい笠松では、3コーナーに向かって下り坂もあって、密集状態では事故が起こりやすい。調教師ら関係者からも「やめてほしい」との声があったという。結局、今年からは金沢での開催が決まった。新設重賞「日本海スーパースプリント」として7月1日に実施される。

 昨年8月以降、レベルが高いホッカイドウ競馬では、伸び悩んでいた2歳馬が、他の地方競馬へ移籍するケースが目立った。笠松へは、井上厩舎にチェゴ(ラブミーチャン記念、ライデンリーダー記念V)、笹野博司厩舎にビップレイジング(秋風ジュニア、ジュニアクラウンV)が移籍して圧勝した。

桜並木をバックにレースが行われる笠松競馬=昨年4月

 ホッカイドウの3歳馬ハッピーグリンは、東京のセントポーリア賞に挑み、JRA勢を撃破。皐月賞トライアルのスプリングSでは8着に敗れたが、次走は日本ダービートライアルのプリンシパルS(5月5日・東京)に挑戦予定。地方所属のままクラシック出走を目指しており、北海道ではコスモバルクの再来となるか。地方競馬全体を盛り上げてくれる1頭で、注目していきたい。  笠松競馬の新年度開催は4月3日から4日間。今年は桜の開花が早かったが、白熱したレースとともに、堤防道路沿いから舞う桜吹雪も楽しめそうだ。「今年はどんな大物が登場するのか」とワクワク感もある2歳新馬戦は、笠松でも5月末にもスタートする。JRAのレース参戦も視野に入れて、まずは賞金が高い認定レースを勝つことが目標となる。未知の魅力あふれる若駒たちのフレッシュな戦いは、ファンの心も熱くする。