オグリの里
新緑賞、ビップレイジング豪脚V

2018年04月07日 17:37

豪快な差し脚を発揮して、新緑賞を勝ったビップレイジング(藤原幹生騎手)

 桜吹雪が舞い散る中、笠松競馬の新年度開催がスタート。初夏の陽気にも誘われてファンが詰め掛け、熱戦が繰り広げられた。

 重賞第1弾は3歳馬による「新緑賞」。名古屋で9連勝中のサムライドライブと同世代で、東海ダービーを目指す精鋭が集結。藤原幹生騎手が騎乗した3番人気ビップレイジング(笹野博司厩舎)が豪快に差し切って1着でゴール。2着にもドリームスイーブル(丸野勝虎騎手)が入り、笹野厩舎2頭のワンツーフィニッシュ。一昨年のカツゲキキトキト(木之前葵騎手)など名古屋勢に優勝をさらわれ続けていた新緑賞で、笠松勢が7年ぶりに栄冠を奪い返した。

 3月末に開幕したプロ野球では、マツダスタジアムでの広島カープと中日ドラゴンズの試合で、応援席のドラファンから「原爆落ちろ」などと心ないやじが飛ばされ、問題になったが、笠松競馬場でもオールドファンによる強烈なやじが時々聞こえてくる。客席とコースとの距離が近いためか声を掛けやすく、騎手にもよく聞こえているようだ。インターネット投票が主流になったが、競馬場まで足を運ぶファンにとっては、応援する馬や 騎手の名前、馬番などをレース中に大声で叫ぶことが快感であり、楽しみでもある。馬券おやじたちの熱いやじは、人馬への激励の気持ちも込められており、草競馬ならではの「活気」を感じさせてくれるシーンでもある。

サムライドライブに挑んだ名古屋重賞で連続2着。新緑賞でも人気を集めたドリームスイーブル(丸野勝虎騎手)

 この日の新緑賞でも、パドックから返し馬に向かう1番人気馬ドリームスイーブルに向かって「丸野、また落ちるなよ」ときつい一言。7Rでスタート直後に落馬したことをチクリ。もちろん応援馬券を握り締めて、勝利を願ってのやじだろう。気持ちはよく分かるし、これを聞いた騎手も気を引き締めたに違いない。ローカル色豊かな競馬場での岐阜弁、名古屋弁。「笠松のやじはきつい」と聞いたことがある。下品な内容なら困りものだが、周りのファンも笑えるような節度のある楽しいやじなら歓迎だ。ジョッキーもファンの熱い声を発奮材料にし、勝利を目指してほしいものだ。

 

 

1番人気ドリームスイーブルを鮮やかに差し切ったビップレイジング

 新緑賞を勝ったビップレイジングは本当に強くなった。北海道から笠松に転厩し4勝を挙げた後、JRAへ移籍。3歳オープンで2戦し、しんがり負け続きと結果を出せなかったが、広い京都の芝(若駒S)、東京のダート(ヒヤシンスS)を経験して、馬が一回り成長。3月の笠松復帰戦を圧勝し、新緑賞では最高の結果を残した。

 レースでは、中団やや後方を進み、3コーナーからエンジン全開。最後の直線では、抜け出したドリームスイーブルを大外から一気に差し切り、1分41秒8の好タイムで勝利。ラスト3ハロン(600メートル)を36秒9と、1600メートル戦では破格の36秒台をマーク。JRA認定の秋風ジュニアとジュニアクラウンに続いて、重賞級のレースで3勝目を飾った。

本年度の笠松初重賞を制覇し、喜びの藤原幹生騎手

 会心の勝利の藤原騎手。「(JRAの経験を生かして成長しており)、いい脚を使ってくれた。名古屋のレースではちょっと入れ込むことがあったが、それを克服すれば他地区でも活躍してくれるはず」と好感触。笹野調教師も「輸送には課題がある」ということで、次走は地元の「ぎふ清流カップ」を予定し、6月の東海ダービーに向かうプラン。打倒サムライドライブに燃える笠松勢の1番手に躍り出たビップレイジング。伸び盛りの3歳馬は夏場に向けてまだまだ強くなるはず。成長力次第では、サムライドライブに追い付く可能性を秘めており、2年連続リーディングに輝いた笹野厩舎の卓越した育成力にも期待したい。

 圧倒的1番人気だったが、2着に敗れたドリームスイーブル。痛烈なやじに動揺したわけでもないだろうが、最後は同じ笹野厩舎のビップレイジングに力負け。名古屋の重賞では、サムライドライブを相手に連続2着と健闘しており、駿蹄賞などで巻き返して、東海ダービーに挑みたい。 ドリームスイーブルで初重賞制覇を期待された渡辺竜也騎手は発熱のため騎乗できなかったが、次のチャンスを生かしたい。

ビップレイジングで新緑賞を制し、笑顔の笹野博司調教師

 本年度、笠松競馬の準重賞・重賞競走は19レースに増えた。新緑賞など賞金がアップしたレースもあり、喜ばしいことだ。近年、JRAネット投票の絡みもあって、全国の地方競馬では、佐賀、岩手などで重賞扱いのレースが過剰に増やされる傾向もあった。一方、笠松では経営状況が苦しい時代に削減されたレースも数多くあり、重賞数の少なさも目立っていた。昨年までは2、3、5月には重賞競走がなかったが、本年度からは毎月最低1回は開催されることになり、ファンもハイレベルなレースを年間を通して楽しめるようになった。

 昨年度、ウインター争覇(2月)とマーチカップ(3月)が復活したのに続き、本年度は5月10日に3歳重賞「ぎふ清流カップ」(SPⅠ、北陸・東海・近畿交流)が、ご当地レースとして新設された。昨年4月に大型の「清流ビジョン」が設置されたことと、毎年5月11日に開幕する長良川の鵜飼シーズンに合わせたのものだろう。岐阜県の観光のアピールにもなり、タイムリーな重賞になりそうだ。

鮮明な画像で好評の清流ビジョン。
5月10日には新設重賞「ぎふ清流カップ」が開催される

 当日は、競馬場内で長良川鵜飼や小瀬鵜飼をアピールする清流イベントや物産展なども開いてはどうか。6年前に開かれた「ぎふ清流国体」からの流れもあって、「清流」をキーワードに岐阜、長良川、笠松などの知名度アップにつながる「初夏の風物詩」的なレースに育つといい。