オグリの里
笠松ラウンド 渡辺騎手2位、水野騎手4位

2018年06月29日 15:47

笠松ラウンドで勝利を挙げた山口以和騎手(右)と森裕太朗騎手

 梅雨の晴れ間の蒸し暑さの中、爽やかな若い力が躍動した。ホーム・笠松競馬場で、地の利を生かしたかった渡辺竜也騎手と水野翔騎手。懸命に前を追ったが、勝利には届かなかった。

 「2018ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)」の西日本地区トライアルラウンドが6月27日、笠松競馬場で開幕した。地方、中央競馬の若手騎手が熱戦を繰り広げ、年末に大井、中山で行われるファイナルラウンド進出を目指す。

 笠松ラウンドには地方から5人、JRAから5人が参戦。このうち昨年のファイナリストは、渡辺騎手とJRAの森裕太朗騎手、荻野極騎手の3人。1戦目(7R)は佐賀の山口以和騎手がティアップジャンコ(牝4歳、笹野博司厩舎)に騎乗し、2番手から抜け出してV。2戦目(9R)はJRAの森騎手がキクノコア(牡4歳、田口輝彦厩舎)で、こちらも2番手から直線で先頭に立ち、勝利した。結果的には2レースとも1番人気馬が勝ったが、やはりジョッキー戦では、騎乗馬のくじ運が大きいようだ。C級13、14組の下級レースだったが、もう少し上のクラスで実施できないか。前走1着馬が並ぶC1特別などで競えれば、横一線の混戦でさらに興味深いレースになるだろう。

地元のレースで健闘した渡辺竜也騎手(左)と水野翔騎手。レース後は笑顔を見せていた

 渡辺騎手は昨年、笠松ラウンドでいきなり勝利。今年の1戦目では「地元勢ワンツー」が期待されたが、渡辺騎手が7着、水野騎手は8着と人気に応えられず撃沈した。2戦目は共に単勝万馬券の穴馬に騎乗したが、渡辺騎手4着、水野騎手は5着と掲示板を確保。何とか地元の意地を見せてくれた。

 1戦目は、2人の自厩舎でもある笹野厩舎から3頭出しだったが、皮肉なことに、笠松初参戦の山口騎手が騎乗した人気馬が勝利した。渡辺騎手は「スタートで出遅れた。作戦的には自厩舎の3頭で、1~3番手を固めるつもりでしたが...。次のレース頑張ります」と気持ちを切り替えていた。水野騎手は「(最初の直線は)3番手からの競馬でしたが、意外と前が詰まって、ずるずるといってしまった」と悔しそうだった。

第2戦は森騎手が勝利。渡辺騎手が4着に粘り込み、水野騎手は5着に突っ込んだ

 2戦目では、最低人気の馬を4着に押し上げた渡辺騎手。「3番手から砂をかぶらず、内でじっとする感じでした。3コーナーでフワフワしたが、気合を入れたら走ってくれた。次の金沢では3着以内に入りたい。内が有利な馬場なんで、いい順位を取りたいです」と前を向いた。水野騎手は北海道所属だった昨年、4戦して2着2回と健闘した。笠松でも、駆け付けたお母さんら応援団の声援を受けて奮闘。後方からの競馬になったが「内々をタイトに回れた。他の馬が外を回っていたんで、5着には来た」と話し、次戦・金沢ではVゴールを狙う。

第1戦でゴールする山口騎手。勝利を確信して左手で歓喜のガッツポーズ

 この日のヒーローになった勝利騎手2人は、表彰セレモニーで喜びをかみしめた。ゴールの瞬間、歓喜のガッツポーズも出た山口騎手。昨年の園田ラウンドでは、悔しい4着でファイナルを逃しただけに、力がこもっていた。「昨年は勝てなかったが、やっと勝ててホッとしています。ファイナル進出を狙って頑張っていきたい」と意欲。2戦目の出走馬が取り消しとなったが、ポイントで地方騎手のトップに立ち、視界良好。はるばる佐賀から来てくれたが「1戦必勝」のゴールを鮮やかに決めて、笠松が好きになってくれたに違いない。

 昨年ファイナルでは、3位で表彰台に上がったJRAの森騎手。笠松での2戦目をきっちりと勝ち、「馬が強かった。指示通り2番手からで、3コーナーでは置かれ気味になったが、また伸びてくれた。(笠松で)いいスタートが切れ、まずは1勝できて一安心」と笑顔。このシリーズについては「チャンスを与えられた若手が、主役になって輝ける場。この機会を無駄にはせず、1勝1勝積み重ねたい」と、ファイナルでの総合Vに狙いを定めていた。

YJSトライアルラウンド笠松の騎手紹介セレモニー。地方とJRAの若手10人が参戦し、闘志を燃やしていた

 笠松ラウンドを終わって、地方騎手では渡辺騎手が2位、水野騎手は4位につけている。今年は順位の決定方法が変更され、騎乗する6~7レースのうち、上位の着順を得た4レース分の合計ポイントで決定する。西日本地区の各騎手の順位とポイントは次の通り。

【地方競馬】①山口以和(佐賀)36②渡辺竜也(笠松)18③長谷部駿弥(兵庫)17④水野翔(笠松)14⑤塚本雄大(高知)12
 【JRA】①森裕太朗(栗東)42②川又賢治(同)28③三津谷隼人(同)21④荻野極(同)19⑤富田暁(同)14

 東日本地区は第1戦の船橋ラウンドを終えて、JRAでは藤田菜七子騎手、地方競馬では山本咲希到騎手(北海道)がトップに立っている。藤田騎手は、16年ぶりのJRA女性ジョッキーとして脚光を浴びてきた。笠松ラウンドに参戦した森騎手や荻野騎手は同期で、デビュー3年目を迎えて成長著しい「菜七子世代」ともいえよう。

水野騎手の家族やファンらも応援に駆け付けた。花のプレゼントやサインなどで交流する若手ジョッキーたち

 レース前には、騎手紹介セレモニーが笠松ダートコース内で行われた。20歳前後のイケメンぞろいで、将来のリーディングを狙える逸材がそろった。あいさつでは、水野騎手ら一人一人に「頑張ってー」と女性ファンらの熱い声援が飛んでいた。昨年、ファイナルで総合8位だった渡辺騎手は「(セールスポイントは)元気なところです。またファイナルに進出して、笠松競馬をアピールしたい」と意欲。騎手たちは、受け取った花束を大勢のファンに1本1本プレゼント。水野騎手は、お母さんにも手渡すことができ、激励を受けていた。各騎手はサインにも気軽に応じてファンとの交流を深めていた。

 トライアルラウンドは始まったばかり。渡辺騎手と水野騎手は、巻き返しを狙って8月21日の金沢ラウンドに参戦する。渡辺騎手にとっては昨年勝利を挙げた相性の良い競馬場。水野騎手は待望の初勝利を飾りたい。昨年は笠松、名古屋、金沢の3人がトライアルを突破し、この地区のレベルの高さを示した。今年は名古屋勢の参戦がないだけに、笠松勢2人がそろってファイナル進出を果たせるといい。