オグリの里
岐阜金賞、サムライドライブ惜敗

2018年10月27日 16:38

ラスト100メートルで、サムライドライブ(左)に並びかけるクリノヒビキ

 ゴールまでの「あと100メートル」が長かった。3歳重賞「岐阜金賞」(SPⅠ、1900メートル)で、笠松デビューを果たした名古屋の女傑サムライドライブ(角田輝也厩舎)。リーディングトップの丸野勝虎騎手が手綱を取り、華麗に逃げたが、最後は兵庫のクリノヒビキ(橋本忠明厩舎)の追い込みに屈し、2着に惜敗した。

 岐阜金賞は、東海地区クラシックロード最後の1冠。昨年はドリームズライン(大畑雅章騎手)が24年ぶり、史上4頭目となる「東海3冠馬」に輝いた。今年は、駿蹄賞など重賞8勝のサムライドライブが、笠松のファンの前で雄姿を初披露。単勝1.5倍と圧倒的人気を集めた。

岐阜金賞のゴール前。兵庫のクリノヒビキが名古屋のサムライドライブを差し切って優勝を飾った

 好ダッシュから先手を奪ったサムライドライブ。吉原寛人騎手騎乗のアルファーティハ(金沢)に競りかけられながらも、マイペースで逃げて4コーナーを回った。最後の直線では、赤岡修次騎手(高知)のゴーサインに応えたクリノヒビキの追撃を受けて、クビ差で敗れた。

 兵庫勢の層の厚さを見せつけられたが、ラスト100メートルでは、クリノヒビキがサムライドライブに並びかけ、2頭の一騎打ちとなった。いったん抜かれたサムライドライブが、ゴール手前では一瞬差し返そうとするシーンもあり、見応え十分だった。

 3着にはハーキマーダイヤ(金沢)が突っ込み、佐藤友則騎手のオータムヘイロー(兵庫)は4着。笠松勢ではエマブルーム(伊藤強一厩舎)の5着が最高だった。

 笠松は初コースだったサムライドライブ。丸野騎手は「入れ込むこともなく、意外と落ち着いていた。ゲートではハエが多くて蹴りまくっていて、スタートでちょっと滑った。気のいい馬ですんなりと先頭に立ち、いいペースで逃げられたが、後続馬に少しつつかれた。3、4コーナーで突き放せずに、勝った馬に来られて、最後の直線では止まったなあという感じがした」と淡々と振り返った。ハエはゲートのほか装鞍所付近でも多くて、出走前の人馬を困らせているそうだ。

笠松に初登場したサムライドライブ(丸野勝虎騎手)

 角田調教師は「勝ちたかったが、とても残念です。今開催の笠松は、逃げ馬が残れない馬場状態でした。距離適性の面で、ラスト100メートルが長くて、甘くなってしまった。古馬との戦いでは、もっと厳しいレースが待っている」。初めての輸送競馬となったが、「体重はマイナス3キロ(446キロ)でそんなに減らず、パドックでも気分良く歩いてくれて、メンタル面で落ち着きが出てきた。輸送面で一つの課題をクリアした。また笠松に来たときには、もっといい面を見せられるよう頑張っていきたい」と意欲を示した。

 サムライドライブはこれまで12戦11勝。6月の東海ダービーで笠松・ビップレイジングに敗れた(2着)だけで抜群の成績だが、ホームの名古屋競馬場でしか走ったことがない「内弁慶」だった。今回は金沢での西日本ダービー(2000メートル)挑戦も視野に入れていたが、課題である「遠征競馬と距離延長」を考慮して、陣営は岐阜金賞の方を選択した。敗れはしたが、アウェーとなる長距離輸送でのレースにめどが立ち、全国の重賞戦線挑戦をにらんで「大きな収穫」ともいえる一戦になった。

 東海ダービーに続いて、1900メートル戦はこれで2戦2敗(ともに逃げ切れずに2着)。完勝した「駿蹄賞」や「秋の鞍」のように1800メートル戦ならベストパフォーマンスを発揮できるが、岐阜金賞の敗因はやはり「あと100メートル」の距離の壁にあった。今後は、1600~1800メートル戦に狙いを定めれば、古馬相手でもスピードを生かしたレース運びで十分に勝負できる。次走は1700メートルの「兵庫クイーンカップ」が目標となる。長距離輸送となる園田遠征。笠松での経験を生かして、どんなレースを見せてくれるか、成長が楽しみだ。

岐阜金賞を制覇したクリノヒビキ(左) 岐阜金賞をクリノヒビキで勝利。会心のレースに笑顔を見せる赤岡修次騎手

 岐阜金賞Vのクリノヒビキは、前走の「園田オータムトロフィー」に続いて重賞2連勝。ともに赤岡騎手が好位からの差し切りを決めた。勝利騎手インタビューでは「4コーナーでサムライドライブも伸びていましたが、直線に入ってクリノヒビキはすごい脚を使ってくれた。抜いてから遊ぶ面があるので、最後までしっかりと走らせました。今後も各地で活躍できる馬で楽しみです」と会心のレース運びを喜んだ。41歳、地方競馬通算3500勝超えでトップジョッキーの赤岡騎手。この日も笠松コースの特性と馬場状態をつかみ切り、3戦3勝と絶好調で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。笠松グランプリなどでまたぜひ来場してほしい。

 東海ダービー馬のビップレイジングは休養中で、岐阜金賞には出走できなかった。笠松でのリベンジが注目されたサムライドライブだったが、直接対決は持ち越しとなった。ビップレイジングは笠松・笹野博司厩舎所属だが、デビューは門別。この日、遠くは北海道から来場したファンの姿もあり、残念がる声が聞かれた。地元ファンにとっても、東海ダービー馬不在は寂しいことで、やはり競走馬は、けがなどがなくコンスタントにレースに出られることが一番だ。

 金沢競馬場で行われた西日本ダービーでは、岡部誠騎手騎乗の兵庫・コーナスフロリダが大差勝ち。「ぎふ清流カップ」優勝馬の名古屋・ウォーターループが2着に食い込んだ。笠松勢はライトスラッガー(吉井友彦騎手)が8着、マルヨバリオス(島崎和也騎手)は11着に終わった。「ダービー」という冠名の付いたレースがない笠松競馬だが、6県交流で生え抜き馬の育成を図る西日本ダービーは、2年後に笠松でも開催される。

8月の笠松・くろゆり賞を勝ったカツゲキキトキト(左)は、JBCクラシックに挑戦する

 京都競馬場では、11月4日にJRAの競馬場では初めてとなる「JBC競走」3レース(GⅠ)が開催される。地方競馬発のダート競馬の祭典で、地方馬が数多く参戦する。JBCクラシックでは名古屋の大将・カツゲキキトキトが優先出走馬に選定された。8月の笠松・くろゆり賞を勝った後、東京記念2着、白山大賞典(GⅢ)3着と好調をキープ。JRA勢はケイティブレイブら強豪ぞろい。カツゲキキトキトは、まず地方馬最先着を狙い、東海地区最強馬としての存在感を示したい。

 JBCスプリントには笠松グランプリ3連覇中の岩手・ラブバレットが参戦。JBCレディスクラシックには、かつてラブミーチャン記念で好走したジュエルクイーン(大井)とディアマルコ(高知)も優先出走。厳しい戦いになりそうだが、応援する地方競馬ファンのためにも積極的な走りを見せて、「中央勢撃破の夢」を未来へとつなげてほしい。