オグリの里
オグリ孫のストリートキャップ、金沢で誘導馬へ

2018年11月02日 17:09

引退後、ファンの後押しを受けて誘導馬を目指すことになったストリートキャップ(TCC FANS提供)

 オグリキャップの孫として注目され、中央競馬で活躍して今春引退したストリートキャップ(6歳、芦毛)が、金沢競馬の誘導馬デビューを目指している。トレーニングはまだ準備段階だが、晴れて合格すれば、新たなステージで元気な姿を見せてくれそうだ。

 とても愛らしくて人気者。オグリ一族の数少ない一頭として、現役時代から引退後も多くのファンに支えらている。「おじいちゃんが育った笠松競馬場で誘導馬に」というオグリキャップファンの願いは届かなかったが、金沢競馬場なら比較的近くて一安心だ。北陸・東海地区の連携で人馬の交流を深めており、実現すれば、重賞レースなどで笠松からの出張馬を誘導することもあるだろう。

 母はオグリキャップ最後の産駒ミンナノアイドル(牝11歳、芦毛)で、父はGⅠ馬ゴールドアリュール。ストリートキャップの馬名には「オグリキャップの道を受け継いでほしい」という願いが込められ、2014年にJRAデビュー。笠松出身の柴山雄一騎手らが騎乗。好位からの差し切りで3勝を挙げる活躍を見せ、さらなる飛躍が期待されたが、今年2月、中山競馬場でのレース中に左前脚の捻挫で競走を中止し、そのまま引退した。

「オグリの夢、再び」と、ストリートキャップを応援したファンの横断幕

 その後は「引退した競走馬をみんなで支えていこう」というサンクスホースプロジェクトに参加。連携する引退馬ファンクラブ「TCC FANS」の一口会員らのサポートを受けている。プロジェクトには武豊騎手、福永祐一騎手をはじめ多くの競馬関係者が賛同。乗馬などで人を癒やす馬たちのセカンドキャリアに支援を呼び掛けている。

 ストリートキャップは会員数53.5口(10月末現在)で、TCCでも1番人気の存在だそうだ。母の馬名の通り「ミンナのアイドル」としてファンの後押しが大きい。「オグリの夢、再び」とパドックでの横断幕にあったように、現役引退後も愛馬へのサポートを惜しまないファンの存在は本当にありがたい。

 当初、JRA誘導馬への道も期待されたが、「治療に時間と経費をかけられない」と断られた。美浦トレセンから岡山の牧場(吉備高原サラブリトレーニング)へ移動し、脚元の療養や乗馬トレーニングを続けていた。10月14日、金沢競馬場に隣接する金沢乗馬倶楽部へ移動。新天地で「第二の馬生」として、誘導馬を目指すことになった。

 引退時には「JRAが駄目なら、地方競馬で誘導馬に」と、「オグリの里」で提言したことがあった。TCC事務局によると、笠松競馬へは真っ先に「ストリートキャップを誘導馬にどうですか」と打診したそうだが、笠松では誘導馬を長年務めた「パクじぃ」(ハクリュウボーイ)の後継馬として、エクスペルテとウイニー(ポニー)が活躍中。オグリの孫としての集客力は見込めたが、残念ながらタイミングが合わなかった。もし3頭目としてデビューできていたら、出番は少なくても、全国のファンの注目を浴び、来場者も増えたことだろう。

現役時代には、JRAで3勝を挙げる活躍を見せたストリートキャップ

 金沢乗馬倶楽部に預託されたストリートキャップは、脚元のけがも大丈夫そうで、環境に慣れて落ち着かせる軽い運動から始めた。普段はおとなしいが、他馬の動きや周りの音に敏感で、元気過ぎる一面もあり、誘導馬を目指しての訓練はこれから。現時点では厳しさもあるが、レースの非開催日にコースに出るなどして、物見をせず、動じずにちゃんと歩けるかなど誘導馬としての素養がチェックされ、しっかりとトレーニングを積んでいく。金沢乗馬倶楽部のスタッフからは「まだ6歳と若いので、落ち着けば誘導馬に向けて、いけると思います。少しずつ良くしていきたい」と頼もしい言葉も聞かれた。すぐには難しいだろうが、半年か1年後には誘導馬デビューを果たせるといい。

 TCC事務局では「ありがたい話です。芦毛馬は人気があり、会員も新たな活躍の場をつくってほしいと願っていた。誘導馬として送り出すのは初めてのことで、引退馬のモデルケースとして期待は大きい」と活躍を願っている。引退馬は乗馬がメインとなるが、誘導馬やホースセラピーとしても活用の幅が広がっていくという。

金沢乗馬倶楽部に移動したストリートキャップ(左)。笠松所属馬だったオグリホットと対面した(TCC FANS提供)

 金沢乗馬倶楽部には、桜花賞馬オグリローマンの子で、笠松の元オープン馬オグリホット(15歳、芦毛)もいる。かつては誘導馬も務めていたが、現在は背中のけがなどで休養中という。06年に盛岡・ウイナーカップを尾島徹騎手で重賞制覇。笠松ライディングスクールの乗馬を経て、金沢に移籍した。ストリートキャップの到着後には、オグリキャップの「おいと孫」である2頭のツーショットも披露された。競走馬としての役目を終えたストリートキャップは優しい顔つきで、ファンからは「オグリキャップの雰囲気がいい感じに伝わっている。鼻面が大きくて上向きなところが似ている」という。

 金沢競馬には現在、先輩の誘導馬ドリームシグナルがいて活躍中。JRAのシンザン記念を優勝した実力馬だが、意外にも栗毛馬であることから、芦毛馬のストリートキャップに白羽の矢が立った。やはり誘導馬には、年齢とともに白さが増す芦毛馬の方がふさわしいということだ。

笠松競馬場内で結婚式が行われ、山﨑真輝元騎手が誘導馬のエクスペルテにまたがって登場。「白馬に乗った王子様」になって新婦に
愛を誓った(左)  ウイニーは、来場した園児たちに顔をなでられたりして、ふれあいを深めた

 誘導馬の仕事は、レースに出走する競走馬をパドックやコースで先導すること。笠松の場合は、パドックが内馬場にあるため、装鞍所から長い距離を歩くため重労働でもある。それでも、ファンとふれあう時間が十分にあり、カメラを構える親子連れらの前では、世話役の塚本幸典さんが立ち止まらせて交流することもしばしば。場内では、馬とのふれあいで来場する園児たちの姿も見られる。また、園田競馬・笠松競馬合同の「誘導馬カレンダー2019」には、ファンが撮影したエクスペルテとウイニーの2頭も登場する。人気者の2頭は、これからも笠松で末永く活躍してくれそうだ。

ストリートキャップの弟で1歳になった「ミンナノアイドル17」は来年にもJRAでデビューする(「ローレルクラブ」提供)

 ストリートキャップの生まれ故郷は、北海道新冠町の佐藤牧場。昨年、5年ぶりに誕生したミンナノアイドルの次男(父ゴールドアリュール)も芦毛で1歳になった。兄と同じ斎藤誠厩舎に入厩予定で、来年のJRAデビューを目指している。今年は牧場待望の長女(父モーリス)も誕生。競走馬としての活躍とともに、将来は繁殖牝馬として、牧場に戻ってきて、オグリ一族の血統を継承していくことだろう。一口馬主クラブ「ローレルクラブ」でサポート会員を募集している。

 佐藤牧場で誕生したオグリの孫たちは3頭になった。長男のストリートキャップが誘導馬になれば、金沢のレースのライブ映像などでも雄姿を見ることができ、地方競馬の楽しみがまた一つ増える。誘導馬デビューが待ち遠しい。