オグリの里
JBC、カツゲキキトキトら地方勢健闘

2018年11月09日 17:39

JBCクラシックに挑んだ名古屋のカツゲキキトキトと大畑雅章騎手

 GⅠレースのファンファーレを連続3回も聞くことができて、詰め掛けた競馬ファンには、たまらない一日となった。JRAの競馬場では初めてのJBC競走3レースが京都で開催され、慌ただしさはあったが、大いに盛り上がった。地方勢は名古屋のカツゲキキトキトら計11頭が参戦し、健闘を見せた。笠松競馬場での出走経験がある地方馬も多く、その奮闘ぶりを振り返った。

 JBCスプリントでは、船橋のキタサンミカヅキに森泰斗騎手が騎乗し、3着に食い込んだ。メインのJBCクラシックでは、大畑雅章騎手で挑んだカツゲキキトキトは12着に終わったが、初のJRAコースで持てる力は出し切った。JBCレディスクラシックでは
、初代ラブミーチャン記念優勝馬のジュエルクイーン(大井)が地方馬最先着の9着に踏ん張った。

ケイティブレイブが優勝を飾ったJBCクラシックのゴール前。カツゲキキトキト(右端)は12着だったが、力を出し切った

 【JBCクラシック】優勝ケイティブレイブ(福永祐一騎手)

 地方馬は3頭が挑戦。8月の笠松・くろゆり賞を勝ったカツゲキキトキトは、東京記念2着、白山大賞典3着から挑み、地方馬最先着を狙った。

愛馬カツゲキキトキトと初めてのJRAでのレースを終え、ホッとした様子の大畑騎手

 笠松で単勝1.1倍の断トツ人気だった東海の大将も、京都では単勝300倍超の15番人気。GⅠレースともなれば、ファン心理が「地方と中央の格差」としてはっきりと数字に表れ、複雑な気持ちになる。

 前半、中団後ろにつけたカツゲキキトキトは、ペースが上がった3、4コーナーでは後方に置かれた。「できればもう少し前につけたかった。道中のペースは速かったが、あの位置から最後はじわじわと差を詰めてくれて、よく頑張ってくれました。チャンスがあったら、また挑戦したいです」と大畑騎手。

 自分の競馬に徹したカツゲキキトキト。最後はJRA強豪のアポロケンタッキーやテイエムジンソクを追い抜いて先着した。中央との交流重賞では、大差負けするケースも多い地方馬だが、勝ったケイティブレイブから1.6秒差なら、よく踏ん張ったのでは。笠松出身の東海地区最強馬として、意地を見せてくれた。ダート界の王者ゴールドドリームが勝った6月の大井・帝王賞(GⅠ)でも7着とまずまずの走りを見せており、大舞台での経験を今後に生かしたい。

 兵庫のタガノゴールドは、JRAからの転入馬ではあるが、9着で地方勢の最先着を果たした。16番人気の低評価だったが、笠松の重賞ハンターでもある下原理騎手が好騎乗を見せた。「大井の帝王」的場文男騎手の騎乗で注目された浦和・シュテルングランツは、積極的なレースで盛り上げたが、16着に沈んだ。「3番手を取れたが、最後は力の差を感じた」と的場騎手。62歳での騎乗で、JRA史上最年長騎乗記録を更新し、「パドックでの声援がすごくて、目頭が熱かった」と感激。

JBCスプリントに挑んだ岩手のラブバレットと山本聡哉騎手

ラブバレットで10着だった山本騎手を迎える菅原勲調教師。愛馬で笠松グランプリ4連覇を目指す

 【JBCスプリント】優勝グレイスフルリープ(クリストフ・ルメール騎手)

 笠松グランプリ3連覇中の岩手・ラブバレットは、主戦の山本聡哉騎手で挑戦した。4コーナーを3、4番手で回ったが、末脚は鈍って10着どまり。ゴール後には、菅原勲調教師が出迎え、健闘をたたえた。「いつもより強気のレースをしようと思っていた。内の速い馬に行かせて、道中は4番手から。直線半ばで苦しくなったが、そこまではいい形で運べて、ドキドキしました」と山本騎手。14番人気だったが、優勝馬から0.9秒差なら好走といえるだろう。

 ラブバレットはこの後、順調なら11月22日の笠松グランプリに参戦する。レース間隔は短くなるが、「4連覇はなかなかないことで、狙ってみたい」という菅原調教師。出走すれば、偉業達成の可能性は高い。

グレイスフルリープが優勝したJBCスプリントのゴール前。森泰斗騎手が騎乗した船橋・キタサンミカヅキ(右)が3着に食い込んだ

 地方馬最先着となった3着キタサンミカヅキ。森騎手は「軽いダートが応えたし、いつもより進みが悪かった。それでも最後はいい脚だった。深いダートなら、このメンバーでもやれそうです」と、この日3レースに挑んだ地方馬のうちただ1頭、馬券圏内に絡んだ。

 岐阜県出身・寺島良調教師の管理馬キングズガード(JRA)は6着。いつも通り最後方からラスト600メートルをメンバー最速で追い上げたが、差し届かず。ペースが速くなって良い展開になったが「勝負どころで包まれて外に出せずに、さばき切れませんでした」と藤岡佑介騎手。展開がはまれば一発のあるタイプで、昨夏のプロキオンS以来となる重賞Vを期待したい。

 浦和のノブワイルドは、馬主が人気バンドTUBEの前田亘輝さんで、パドックでもファンが注目していたが、3番手から後退して、16着だった。

JBCレディスクラシックに挑んだジュエルクイーン(岩田康誠騎手)。地方馬最先着の9着だった

 【JBCレディスクラシック】(優勝アンジュデジール、横山典弘騎手)

 笠松2歳重賞のラブミーチャン記念への出走経験がある牝馬2頭が挑戦した。14年の初代優勝馬ジュエルクイーンには、JRAの岩田康誠騎手が騎乗し、地方馬最先着の9着でまずまずの結果。15年のラブミーチャン記念4着だった高知のディアマルコ(佐原秀泰騎手)は15着に終わった。

 これまでJRA勢が優勢の中、地方所属馬としてJBC初優勝を飾ったのは、何と笠松競馬出身の芦毛馬フジノウェーブ。大井移籍後の07年・JBCスプリントで、御神本訓史騎手が好騎乗。内でじっと脚をためて最後の直線で外に出すと、躍動感あふれる白い馬体が突き抜け、安藤勝己騎手騎乗のプリサイスマシーンを鮮やかに差し切った。

 フジノウェーブは、1年間在籍した笠松時代には柴田高志厩舎で7戦2勝。安藤光彰騎手を主戦に、JRA認定レースを勝利し、阪神競馬場でも3着と好走した。大井・黒潮盃6着を最後に南関東へ移籍。JBCスプリントでは7番人気だったが、快挙を達成した。地方のダート王に君臨したフリオーソやアジュディミツオー(ともに船橋)でさえ、JBCクラシック2着が最高だった。「笠松発・芦毛伝説」の1頭として、出世馬フジノウェーブの偉業をたたえたい。

 笠松勢のJBC挑戦は、ラブミーチャンのスプリント4着が最高である。7年前の大井競馬場。父サウスヴィグラスに続く父子制覇を目指し、逃げ粘っての惜敗(1馬身半差)は大善戦だった。翌年は川崎で9着。その後も金沢のJBCスプリントを目指したが、笠松での追い切り中に右前脚を骨折し、引退した。当時4連勝中で、出走できていたら、優勝のチャンスもあったことだろう。

 JBCクラシックでは、03年にミツアキタービン(東川公則騎手)が5着、05年にクインオブクイン(浜口楠彦騎手)が7着、08年にはマルヨフェニックス(尾島徹騎手)が7着と好走した。

 昨年のレディスクラシックでは、大井のララベル(真島大輔騎手)が優勝。10年ぶりに地方馬が勝ち、盛り上がった。地方馬によるJBC制覇は、フジノウェーブとララベル2頭のみで、クラシック制覇はまだない。8歳、9歳の高齢馬も活躍できる息の長いダート路線。まだ5歳のカツゲキキトキトには、年明けの中京・東海Sや、浦和でのJBCにもチャレンジして、成長した姿を見せてほしい。