オグリの里
カツゲキキトキト、平成最後のオグリキャップ記念V

2019年04月26日 21:10

オグリキャップ記念優勝馬カツゲキキトキトと喜びの大畑雅章騎手(右)ら関係者

 ありがとうオグリキャップ、頑張ったカツゲキキトキト。

 平成最後のオグリキャップ記念(SPⅠ、地方全国交流)が、笠松競馬場で行われた。東海公営の絶対王者で笠松競馬出身のカツゲキキトキト(牡6歳、錦見勇夫厩舎)は、大畑雅章騎手の鮮やかな手綱さばきに応えて好位から抜け出し、2年ぶり2度目の優勝を飾った。

 名馬オグリキャップの功績をたたえる記念レースは28回目を迎えた。コースを2周する2500メートルの長距離戦に全国からスタミナ自慢が参戦。過去3年の優勝馬グルームアイランド(金沢)、カツゲキキトキト(名古屋)、エンパイアペガサス(岩手)が勢ぞろい。優勝賞金が1000万円に倍増された効果もあって、好メンバーとなった。

最後の直線、カツゲキキトキトを追うメイショウオオゼキ

 青空が広がり、ピーンと張り詰めた空気の中、ファンファーレが鳴り響くと、ゴール前では「みんな頑張れー」と温かいファンの声援が飛んだ。経営難による競馬場廃止のピンチを何度も救ってくれたオグリキャップへの感謝の気持ちが込められていたようにも感じられた。

 レースは、川崎の伏兵・ガヤルド(岡村健司騎手)が先手を奪い、2番人気カツゲキキトキトが絶好位の2番手をキープ。重馬場だったが、例年よりもスローペース。一団となって2周目に入ると、3コーナーでカツゲキキトキトが一気に先頭へ。最後の直線では、インを突いた兵庫の9歳馬メイショウオオゼキ(笹田知宏騎手)が追いすがったが、カツゲキキトキトがアタマ差で踏ん張り、歓喜のゴール。名古屋の10歳馬メモリージルバ(友森翔太郎騎手)が3着に突っ込んだ。

1着でゴールするカツゲキキトキトと大畑騎手

 JRA重賞2勝馬で単勝1.6倍と人気を集めた佐賀・グレイトパール(鮫島克也騎手)と、昨年大勝した岩手・エンパイアペガサス(菅原俊吏騎手)は伸び切れず、同着の4着に終わった。長距離輸送がこたえたのか、切れ味を欠いた。笠松勢には相手が悪く、デジタルフラッシュ(藤原幹生騎手)の7着が最高だった。

 優勝したカツゲキキトキトは、もともと笠松でデビュー戦を勝ち、名古屋に移籍後に大ブレーク。地方重賞19個目のタイトルとなった。優勝セレモニーでは、ウイナーズサークル近くに詰め掛けた大勢のファンの前で、輝くカツゲキキトキトの雄姿が披露された。

ファンの前で雄姿を披露するカツゲキキトキト

 「あー、危なかった」と叫びながらも、ホッとした表情の大畑騎手。「休み明けでしたが、2番手で良い位置を取ることができた」。残り100メートルからメイショウオオゼキの猛追を受け、「まさか内側から来るとは思わなかったので、ヒヤッとしました。一瞬かわされるかと思ったが、相手が迫ってきて反応が良くなった。ゴールでは何とか勝ってるなあと」。オグリキャップ記念はカツゲキキトキトとのコンビで、一昨年に続いて2度目の制覇。地方重賞を勝ちまくり、「本当にすごい馬ですね。久々の2500メートルできつかったが、これからも一戦一戦大事に騎乗していきたいです」と笑顔だった。

 悲願のダートグレード制覇に向けては「弱い相手だと見下ろして走り、相手なりで頑張るタイプ。ダートグレードを勝てるといいですが、無事で元気に走ってくれることが第一」。錦見調教師は「次は5月に名古屋の平場レースを使う予定で、木之前葵騎手を乗せます。その後は6月の園田重賞・六甲盃を目指したい」と意欲を示した。

 馬主の野々垣陽介さんは、昨年亡くなられた父・正義さんの遺影を胸に抱えて表彰式へ。一昨年の優勝では正義さんが栄誉を受け、カツゲキキトキトを引き継いだ陽介さんは「父が見守ってくれて、きょうも勝たせてくれました。感謝しかないです。地元の馬主なんで、キトキトを見に来てくれる人も多い。笠松でデビューし、いろんなご縁でつながることができて良かったです」と話し、笠松ファンの後押しも感じているようだった。

予想会で大勢のファンを楽しませた安藤勝己さん

 この日は、笠松時代のオグリキャップの主戦騎手だった安藤勝己さんも来場。恒例となった特設ステージでの予想会では、大勢のファンが熱い視線を注いだ。◎グレイトパール、○カツゲキキトキト、▲メイショウオオゼキで、結果的に本命は外してしまったが、パドック解説でも、キトキトについて「東海地区の帝王ですね。中央との交流重賞でも掲示板(5着以内)には来てるし、久々がどう出るかですね」と注目していた。

 28日に京都で行われる天皇賞・春の予想も披露。現役時代には、2005年、オグリキャップの笠松里帰りセレモニーで対面した2日後、13番人気スズカマンボで制覇。ここでもオグリパワーが乗り移ったのか、神懸かり的な好騎乗を見せてくれた。3200メートル戦で「馬とけんかしているとスタミナがなくなるから、『ぶっ放せ」という感じで、手がしびれるくらいに乗っていた」と、ぶっちゃけトークは全開モードに突入。◎エタリオウ、○ユーキャンスマイル、▲フィエールマン、△グローリーヴェイズ。「エタリオウは最強の1勝馬で、負けることも想定して、3連単なら2着付けがいいかも」とファンを笑わせた。表彰式では、大畑騎手に花束を贈り、「優勝おめでとう」と祝福した。

安藤勝己さんから花束を受け、握手を交わす大畑騎手

 「ありがとうオグリキャップ」の協賛レースやファンへのプレゼントなども行われ、盛り上がった笠松競馬。この日の馬券販売額は昨年を1億9000万円も上回る5億4800万円。広報関係者らの努力もあって「5億円超え」を達成できた。オグリキャップ記念1レースでも1億6100万円と予想以上の数字だった。また今シリーズ、3連単では57万円、99万円と穴党ファンには狙いがいのある高額配当も続出。人気薄の馬に乗ったジョッキーが手腕を発揮したということで、楽しみが増えてきた。
 
 オグリキャップ記念は、地方馬限定の全国交流としても十分に楽しめるが、かつてはJRA馬も参戦したダートグレード(GⅡ)だった。いつまでも「全国の地方競馬で、唯一ダートグレードがない競馬場」では寂しいし、ちょっと恥ずかしい。「名馬、名手の里」としてかつての輝きを取り戻すためにも、オグリキャップ記念のダートグレード復活、スターホースの出現をファンは待ち望んでいる。

平成最後のオグリキャップ記念を無事に終え、笠松競馬の繁栄を願う関係者

 オグリキャップは、昭和から平成へと時代をまたいで有馬記念を2度制覇。9年前に天国へと旅立ったが、日本一のスターホースとして輝き続け、笠松競馬の永続を見守り続けている。オグリキャップが出現していなかったら、笠松競馬場は間違いなく廃止になっていただろう。

 競馬場正門近くでは、オグリキャップ像がいつも来場者を出迎えてきた。笠松競馬の守り神として、苦難の時代を支えてくれたスーパーホース。令和の新時代になっても、永遠のヒーロー・オグリキャップの熱い走りは、「笠松発のサクセスストーリー」としていつまでも語り継がれていくことだろう。