オグリの里
佐藤騎手、ジャパンジョッキーズCで個人総合V    インタビュー「一発屋と言われたくない」

2019年07月20日 17:43

ジャパンジョッキーズCで個人総合Vを飾り、喜びの佐藤友則騎手(岩手県競馬組合提供)

 「友さん、来たー! また来たー!」。15日、盛岡競馬場で行われた地方、JRA騎手によるチーム対抗戦「ジャパンジョッキーズカップ2019」で、笠松競馬のリーディング・佐藤友則騎手が2勝を挙げて、チームWESTの優勝に大きく貢献。個人総合優勝も飾って優秀騎手賞を受賞。笠松のジョッキーのレベルの高さを、全国にアピールした。

 日本競馬界のトップジョッキーが集結し、ハイレベルな戦いとなった。チームWEST(山口勲、吉村智洋、永森大智、佐藤友則)が121ポイントで圧勝。2位はチームEAST(村上忍、桑村真明、森泰斗、青柳正義)、3位はチームJRA(武豊、川田将雅、戸崎圭太、三浦皇成)だった。
 
 佐藤騎手の騎乗馬は、第1戦が10番人気、第2、第3戦がともに6番人気。厳しい戦いが予想されたが、ジョッキー戦ならではの熱いバトルで、意地とプライドを懸けてすごい騎乗を見せてくれた。

 第1戦(ダート、1200メートル)は地元の村上騎手がナルノステファニーで勝利。佐藤騎手は伏兵馬で追い込んで4着と、流れをつかんだ。第2戦(芝、1700メートル)はウインタリエンテに騎乗し、2番手から差し切り勝ち。第3戦(ダート、1600メートル)はエルノヴィオで3番手から追撃。ゴール前ではチームWEST3人による激しいたたき合いになったが、真ん中から佐藤騎手が気迫の右ムチをうならせ、内の吉村騎手を差し切り(アタマ差)、鮮やかに2連勝を決めた。

第2戦、佐藤騎手はウインタリエンテに騎乗。鮮やかに差し切って1勝目(岩手県競馬組合提供)

 5回目の大会、佐藤騎手は史上最高の総合51ポイントを獲得しての個人総合Vで、「これからもっと精進していきます。笠松の若手が続いてくれたら、うれしいですね」と。表彰式でも「やったよ」と喜びを爆発させ、賞金(個人50万円、チーム100万円)や副賞もゲットでき、最高の一日になった。

 人気薄の騎乗馬で圧倒的なパフォーマンスを見せ、全国の競馬関係者、ファンらに存在感を示した佐藤騎手。個人総合Vの喜びの声と、笠松競馬の看板を背負って挑み続けるジョッキー戦に懸ける熱い思いを聞いた。 

笠松に戻り、ジョッキー戦に懸ける思いなども語ってくれた佐藤騎手


 ―武豊騎手や戸崎圭太騎手らJRA勢も参戦したジョッキー戦で、個人総合Vを飾った気分はいかがですか。
 
 「個人戦もあリましたが、ちょっとでも上の着順で、チーム戦に貢献できればいいなと。いつも以上に騎乗馬の走りを研究して準備。人気のない馬での騎乗が多かったが、いい結果を残せて、個人、チームともダブルで優勝できて良かったです」

 ―1勝目を飾った第2戦はどうでしたか。2番手からの競馬になりましたね。

 「うまく先行してくれた。ゲートから1歩目を出て、これはいけるなと。前に逃げ馬(テルキーネス、桑村騎手)を置いて競馬がしやすかった。相手は1頭(1番人気ニシノゲンセキ、村上騎手)と思い、追い出しを我慢して、抜け出すことができた」

 ―最終第3戦はチームWESTが上位を独占。真ん中を伸びてきましたが、ゴールの瞬間、勝ったと思いましたか。

第3戦をエルノヴィオ(中央)で制し、個人総合Vを決めた佐藤騎手(岩手県競馬組合提供)

 「勝ったのは分かった(アタマ差)。チームと個人で『来たぞ』『両方取ったぞ』と、自分とチームメートを指さしながら、3着・永森騎手、2着・吉村騎手と喜び合った。競馬の対抗戦は、なかなかないので、チームWESTとして優勝できてうれしかった」

 ―盛岡競馬場では、6月の地方競馬ジョッキーズチャンピオンシップ(ファーストステージ)でも勝っていますが、相性がいいですね。

 「盛岡では重賞も勝っているし(笠松のトウホクビジンで絆カップとシアンモア記念)、癖がなくて乗りやすい競馬場です。坂もありますが、芝でもダートでも関係なく、好きなコースです」

 ―副賞の豚1頭分相当(「いわて純情豚」)を、約束通り笠松競馬場のイベントで振る舞われるそうで、話題になっていますが。
 
 「豚肉のほかに、お米40キロ(『銀河のしずく』)もゲットできた。笠松競馬場でのファンサービスとして、『豚丼』にでもして無料で還元したいです。イベントは先になりそうですが、吉田勝利・県馬主会副会長が何とかしてくれるでしょう。秋まつりか笠松グランプリとかで振る舞えたらいい。競馬場へ豚を食べに来て、レースも見てもらって、笠松をアピールしたいです」

 ―地方競馬、JRAのリーディングらすごいメンバーの中で、「日本一」といえる素晴らしいパフォーマンスを見せられましたね。

 「これまで努力が足りなかったが、今回は『やってやるぞ』という気持ちが強かった。個人総合Vは、すごくうれしかったです。でも、まだまだ足りないところを反省しないとね。馬乗りは一生勉強で、自分が乗れているとは思わない。常に努力して、何か足りないところをスキルアップさせていきたいです」

 ―考え方を変えて、トレーニング方法を見直されたそうですね。

ジャパンジョッキーズCの表彰式。チームWESTが優勝した(岩手県競馬組合提供)

 「2年半前から、体幹トレーニングやメンテナンス、ランニングなどを取り入れています。京都のジムに行ったり、家でもね。きついけど体がよく動くように、やるべき事を納得してやらなきゃね。掃除だって、やらなきゃきれいにならないでしょ...。競馬場の調整ルーム内でも木馬などを置いてトレーニングに励んでいます。年齢的にも(37歳)体力を考えて『1センチでも前へ進みたい』という気持ちです」

 「今回、盛岡で優勝して『爪痕』を残せたが、その後も続くかどうか。『一発屋』と言われたくないしね。今は努力が楽しいです。レース開催日と雨の日以外は、夕方のランニングを続けています。距離は5キロから10キロ超。ペースは1キロ6分を切るぐらいですが。マラソンにも出たいぐらいです」
 
 ―多忙な毎日ですが、睡眠時間はどうしていますか。

 「(レース開催日以外は)昼寝をしますし、夜にも(調教前の)午前1時頃までそれなりに睡眠を取っています。(以前から笠松の騎手にはパチンコ好きも多かったが)まあ僕は、昼間からパチンコとかはやらないし、暇があったら体を動かしていますね」

 ―ジョッキー戦への思いは。 
 
 「この2年、ジョッキー戦にはいっぱい出ましたが、なかなか結果を残せなくて、悔しい思いをしてきた。(笠松だけでなく)よそでアピールしないとね。選ばれることはうれしいが、結果を出さないとね。騎乗馬の人気は関係なく、馬が頑張ってくれて、騎手が力を引き出して、(ゴールへ)うまく導くことができたらいい」

 「僕の武器は『スタート』だからね。今回は運も良くてうまくいったが、まだまだ。人並み以上の努力をしないと、うまくならない。地方トップの吉原寛人騎手や赤岡修次騎手は、努力していますよ。(昨年、全国リーディングの)吉村騎手は気迫がすごい。(ジョッキー人生には)落とし穴はあるが、はまっても、努力して何かに気付けば、はい上がってこられる」

 ―南関東(期間限定騎乗)へは昨年に続いて挑戦されるそうですが、いつからですか。

 「10月14日から12月13日までの予定です。笠松5開催分を休むことになります。(4年連続の)笠松リーディング獲得は厳しくなるが、地元の勝利だけにこだわっていない。佐々木竹見カップを含めた3大ジョッキー戦には、来年も出たいが、まずは南関東にチャレンジしたい。もっとうまくなりたいし、結果を残したいです」

3年連続で笠松リーディングを獲得している佐藤騎手。今年もトップを快走し、看板ジョッキーとして勝利を積み重ねている


 笠松勢のジョッキー戦挑戦では、川原正一騎手が1997年の「ワールドスーパージョッキーズシリーズ」で見事に総合優勝。今回の佐藤騎手の優勝は、それに続く快挙といえよう。これまでの悔しかった思いをぶつけて、大ブレーク。オグリキャップで2勝の武騎手、ラブミーチャンで1勝の森騎手、2勝の戸崎騎手とも戦い、圧勝してくれたことは、笠松ファンも誇らしく感じたことだろう。

 優勝の祝杯は「食事の時に、ちょこちょこっとね...。浮かれていてはいけないので」と、気持ちを引き締めて笠松でのレースに集中。盛夏シリーズ初日は、なかなか勝てなかったが、最終12レース、ラブミーチャン記念2着のバレンティーノできっちりと勝利。8勝差で追う2位・筒井勇介騎手とのリーディング争いでは、9月までに差を広げておきたいところだ。

 騎手としては、30代半ばからの成長力にたくましさを感じる。5年前までは、毎年70勝前後でリーディングも5位ぐらいだった。騎乗技術が優れていても、欲がなかったのか。「突き抜けるような迫力」にはやや欠ける中堅ジョッキーのイメージだった。そんな佐藤騎手だが、ここ4年は100勝以上を挙げて、3年連続の笠松リーディングを獲得。所属厩舎の井上孝彦調教師のほか、同世代の尾島徹調教師らのサポートもあって勝ち星を伸ばしている。ジョッキー戦では「一発屋」ではなく、表彰台の常連を目指してほしいし、これからも「チームKASAMATSU」のエースとして、ファンと共有できる夢に向かって突っ走ってほしい。