オグリの里
ストーミーワンダー嵐のV、カツゲキキトキト倒す

2019年08月17日 19:48

ストーミーワンダーで「くろゆり賞」を制覇し、重賞2勝目を飾った渡辺竜也騎手

 一瞬にして嵐となった笠松競馬場。渡辺竜也騎手騎乗の地元馬・ストーミーワンダー(牡5歳、笹野博司厩舎)が、東海の総大将・カツゲキキトキト(牡6歳、錦見勇夫厩舎)を倒して重賞Vを奪取した。 
 
 15日行われた地方全国交流の笠松重賞「くろゆり賞」(1600メートル、SPⅠ)。大井、兵庫から1頭ずつ、名古屋勢2頭、笠松勢6頭が参戦。昨年の優勝馬で今年のオグリキャップ記念も制したカツゲキキトキトが、単勝1.5倍で1番人気。元JRAオープン馬の大井・ハヤブサマカオー、今年に入って笠松重賞3勝と成長著しいストーミーワンダーが続いた。1着賞金が昨年までの300万円から500万円に増額されたこともあって、ハイレベルな一戦となった。

 お盆開催の最終日、くろゆり賞前の第10レースでは「岐阜美少女図鑑カップしろゆり賞」も行われ、騎手会長を務めている吉井友彦騎手がヤマニンフェイトに騎乗して勝利。この時点では、ウイナーズサークルでインタビューができ、「強風は騎乗に影響があります。雨が降っていないのは幸いで、最後までこのままならいいですね」と願っていたが、結果的に「嵐と笠松勢の勝利を呼ぶ男」になった。

渡辺騎手の好騎乗でストーミーワンダー(左)がカツゲキキトキトらを圧倒した

 台風10号の影響で朝から強風が吹き荒れ、メインは豪雨で、過酷なレースとなった。ゲートオープンから波乱の幕開け。V候補の一角・ハヤブサマカオーがつまずいて佐藤友則騎手が落馬し、空馬となった。大畑雅章騎手騎乗のカツゲキキトキトのダッシュがよく、空馬の変則的な動きに戸惑いながらも先手をキープ。4番手追走のストーミーワンダーは、3コーナー手前から抜群の手応え。内を突いてカツゲキキトキトを一気に抜き去る強い競馬。最後の直線でも追いすがるカツゲキキトキトに1馬身半、園田のペリステライトに3馬身差をつけての完勝となった。

 ゴールの瞬間、渡辺騎手はガッツポーズではなく、左手でストーミーワンダーの馬体をポンとたたいて「よく走ってくれた」と喜びを表現。6月の飛山濃水杯では、自身の重賞初勝利をプレゼントしてくれた愛馬であり、今回も馬名の通り「嵐のような驚き」の走りを見せて、重賞2勝目ゲットに貢献してくれた。天候状況からも「ストーミーワンダーの出番かな」と感じていたが、地元馬1着、笠松出身馬2着で、馬券も馬連、馬単を少々ゲットできた。

ストーミーワンダーのくろゆり賞Vを喜ぶ関係者(笠松競馬提供)

 風雨が強まり、ウイナーズサークルでの「お立ち台」は残念ながら中止になり、表彰式は室内で行われた。渡辺騎手の好騎乗が光ったレースで、前を行く空馬が内へ入り、最後の直線でも併せ馬のような形で追いまくった。一瞬チラリと後続馬の位置を確認しながら、気を抜かずにゴールへ。渡辺騎手は「キトキトと並んで、いけるなあと。早めでも手応えがあり、向正面で勝てると思いました。1600メートルに強くて、これで7連勝ですね」と笑顔。打倒キトキトに燃えていたという。

表彰式で笑顔の渡辺騎手と笹野博司調教師(右)

 笹野調教師は「爪を悪くしてから(かえって)引っかからずに距離をこなすようになった。シフトチェンジしてきています。次走は未定です。(JRA勢とのダートグレード競走である)浦和・オーバルスプリント(9月12日)にも登録していますが、もともと夏場は強くないので、9月は休ませたいですね」。前走・金沢スプリントCに騎乗して勝った佐藤騎手が今回も攻め馬をしてくれており、「佐藤さんのおかげです」と、渡辺騎手、笹野調教師ともに感謝を忘れなかった。ウイナーズサークルの近くでは、待っていてくれたファンが「おめでとう」と渡辺騎手を出迎え。柵越しにサインを求めながら、重賞Vを祝福していた。

 3カ月ぶりに出走したカツゲキキトキトは空馬にペースを乱され、第3コーナーからの伸び脚を欠いた。ダートグレード以外では、一昨年のくろゆり賞惜敗(ヴェリイブライトにハナ差負け)以降は、名古屋・笠松で連勝街道。これまで重賞V19だったが、デビューの地・笠松でまさかの敗戦で、20勝目は持ち越された。

ゲート近くで輪乗りをする渡辺騎手とストーミーワンダー

 ストーミーワンダーは、東海の絶対王者に君臨しているカツゲキキトキトを倒す「金星」ともいえる勝利。これで今年は白銀争覇、飛山濃水杯、金沢スプリントCに続いて重賞4勝目。好位につけて、3コーナーから差し脚を長く使うロングスパートが得意だ。JRAでデビュー後、笠松に移籍し、9連勝を飾ったことがある期待馬で、地元のスターホースに成長。カツゲキキトキトを破ったことで、今後は全国のダートグレードなど重賞戦線でも十分に戦えそうだ。地方では23戦15勝と、勝率の高さも頼もしい。まだ5歳でもあり、レジェンドハンター(1999年)、ラブミーチャン(2009年)ら笠松から10年周期で出現し、ブレークした名馬に並ぶ可能性を秘めた一頭である。秋以降の走りに注目していきたい。

「岐阜美少女図鑑カップしろゆり賞」を勝ち、ファンと交流する吉井友彦騎手

 多くのイベントで盛り上がったお盆開催の笠松競馬。最終日のもう一つの驚きは、馬券の販売額が6億4600万円だったこと。3日目の2億7500万円から2倍以上になったが、これも台風10号の影響で、園田競馬が開催中止となったことが大きかった。大井、門別はナイターで、午前中からの開催は笠松だけで、インターネット販売が威力を発揮。過去20年間でも2番目の記録で、1位はオグリキャップ記念が行われた18年前の6億8000万円。当時は入場者も1万7000人だった。それにしても今回の6億円超えはすごい。改めて屋外レースである競馬は、風雨など天候の影響が大きいことを実感させられた。また、佐藤騎手が盛岡「ジャパンジョッキーズC」で個人総合Vを飾って、笠松競馬のレベルの高さを全国にアピールしてくれたことも大きかったのでは...。次の開催は岐阜金賞(8月29日)が行われる高原シリーズである。