オグリの里
ぶらり笠松競馬場

2019年09月07日 11:52

笠松競馬場で、レース前の人馬や誘導馬に声援を送るファン

 最近では、インターネットで馬券を買うファンが増えているが、やはり競馬場に出掛けて「見て、聞いて、風を感じながら」レースをライブで満喫したいものだ。応援している競走馬が目の前で勝ってくれた快感は、来場者にしか味わえない。

 20代の頃、先輩に笠松競馬場へ初めて連れていかれた。道路沿いの有料駐車場が繁盛していて、場内は熱気ムンムン。競馬場に来るしか、馬券が買えないような昭和の時代。送迎バスが名古屋、多治見方面からもファンを運び、大盛況だった。

ファンがスタンドを埋め尽くし、年末の大一番として盛り上がる東海ゴールドカップ

 笠松、名古屋の競馬専門紙といえば、現在では「競馬エース」と「競馬東海」の2紙がある。最近ではネット新聞としても購入できるようになったせいか、競馬場内やコンビニ店での販売は縮小傾向にあり、とても残念だ。かつての笠松では、西側の大駐車場から競馬場へ向かう途中にも売店があって、よく利用した。東門前でも販売していたが店じまい。笠松ファンに親しまれたおばちゃんの姿は見られなくなった。

 かつて、笠松競馬場には入場できないほどのファンが押し寄せた。これまでの馬券販売額の記録は、1980年度の445億円が最高で、昨年度の約2倍も売れていた。1年間の入場者は135万人を超えたというから、1日平均1万人以上という驚きの数字だった。79年末の東海ゴールドカップでは入場者が3万人を超え、1日の馬券販売額は10億円を突破した。

 仕事が夜勤だった頃は、昼前からメインレースまで観戦できたが、冬場はよく雪が降って馬場はドロドロと荒れていた。スタンドには暖房設備などなく、かなり冷え込んだ。観戦場所は競走馬の動きが激しくなる第4コーナー寄りの西スタンドか、中央スタンド上部のドリンクコーナー近くだった。ファンにはゴール前など、それぞれお気に入りの観戦場所があり、顔なじみになることも多かった。

第4コーナーでの熱い攻防が観戦できる西スタンド前。「踊る笠松おじさん」はこの辺りでファンを楽しませていた

 笠松ならではの「名物おじさん」といえるユニークな来場者もいた。よく観戦していた第4コーナー近くで、面白い動きをして、スタンドに詰め掛けたファンを楽しませていた。フルゲートでも10頭の笠松では、⑦枠と⑧枠に2頭ずつ入ることが多かった。いつもビニール袋を手にした、おじさんは「笠松名物の⑦-⑧がまた出た」などと大声で叫びながら踊りだし、コースに向かってダッシュを繰り返していた。

 変なおじさんのパフォーマンスは、返し馬に向かう競走馬と騎手を応援していたのだろうか。そんな姿にオールドファンからは、「おーい、いいかげん踊るのをやめろや」などと、親しみを込めた声も飛んでいた。古き良き昭和の笠松競馬場の、ほのぼのとしたワンシーンではあった。今なら、ネット上で動画が流され、「踊る笠松おじさん」などと呼ばれて人気者なって、競馬場をアピールしてくれただろう...。

 9月に入っても30度超えの日が多く、残暑が厳しい。笠松競馬の高原シリーズ後半戦は11日から3日間。12日には、オグリキャップやライデンリーダーも勝った2歳馬重賞「秋風ジュニア」が行われる。競走馬でもジョッキーでも、「こいつは強くなる」と見込んで応援するニューフェースがどんどん成長していく姿は、競馬ファンの喜びの一つである。今年のデビュー馬はレベルが高そうで、新馬800メートル戦で47秒5というコースレコードが出た。笹野厩舎の牝馬ボルドープリュネで、渡辺竜也騎手が騎乗し、逃げ切り勝ち。競馬場に足を運んで、疾走する若駒たちに声援を送ってほしい。