オグリの里
笠松競馬でも12頭立て、「迫力感じた」

2019年09月13日 19:04

笠松競馬でも待望の12頭立てレースがスタート。外枠には11、12番の馬もゲートインし、好ダッシュを見せていた

 「2頭増えただけで、そんなに変わらないと思っていたが、正面から走ってくる姿に迫力を感じた」。ファンの熱視線を浴びながら、待望の12頭立てレースが11日、笠松競馬でもスタート! 幅員20メートルでコーナーがきつい小回りコース。これまでフルゲート10頭立てだったが、装い一新。先行争いが激化し、追い込み馬が台頭する白熱したレースが繰り広げられた。

 残暑が厳しく、この日も最高気温35度で猛暑日となった岐阜地方。笠松競馬初の12頭立ては、第6レース(C級14組)の1400メートル戦で実施。11番・ビーナスリング(大原浩司騎手)が2番人気、12番・マユノドリーム(大塚研司騎手)は3番人気でゲートイン。

マカオ遠征を終えて復帰した水野翔騎手(左)。渡辺竜也騎手とともに12頭立てレースに騎乗した

 今年もリーディングトップを走る笹野博司調教師は「1コーナーでの攻防が勝敗を分けそう」と注目していたが、外枠のビーナスリングを含む3頭が前へ。先頭に立った1番人気キチロクアユノ(藤原幹生騎手)が向正面から快調に逃げていたが、ゴール前で息切れ。伏兵のジューンジョイ(森島貴之騎手)が豪快に差し切り、見応えのある好レースになった。先行馬が圧倒的に有利といわれる笠松で、12頭化による新たなレース展開が今後も楽しめそうだ。着順表示板には、4着に「12」が点灯し新鮮だった。

 騎乗した渡辺竜也騎手は「最前列よりも2列目の騎手の方が、最初の直線では気を使っていたようです」と。マカオ遠征から笠松に復帰したばかりの水野翔騎手は「(内らち沿いに密集して)ぎゅうぎゅうだったマカオに比べたら、すかすかでしたよ」と12頭化も大丈夫そう。「でも、慣れてくると(レース運びに)遊びが加わってちょっと怖いかなあ」とも。先行して2番手だった渡辺騎手のオーラムーンは失速し、11着に終わった。

 スタート地点近くで、12頭立てレースを初観戦した来場者に感想を聞いた。 

笠松では、これまでなかった11、12番枠からゲートを飛び出す2頭

 「レースをより身近に見ることができた。うれしいのは11番、12番のゲートが埋まっている感じで、その2頭が無事にゴールするかどうか、厩務員さんらも心配そうに見守っていた」 

 「5枠、6枠にも2頭ずつゲートインし新鮮でしたし、これまでなかった枠連の5-5や6-6の馬券も買えるようになった。ジョッキーは、かぶる帽子の色(5枠=黄色、6枠=緑色)を間違えないかとも...。レース直前の輪乗りは、ちょっと窮屈そうに見えました」 

 「スタートしてから各馬の距離感や隊列が決まりますが、外から内への切れ込み具合など、展開がいつもとちょっと違った。間隔が詰まっていて、いろんな所で『違和感』もあって面白かった。各ジョッキーのレース展開の読みや、ファンの予想も面白くなりそうですね」

 最初はC級での「試運転」のようなレースだったが、今後観戦したい12頭立てのレースも聞いてみた。

 「同じような能力でタイム差がない混戦レースや、力上位のクラスでも見てみたい。前走1着馬ばかり集めたレースとかでね。あとは1900メートル戦でも見たい。隊列に興味があり、コーナーの回り方とか、広がり方とか...。大外一気などまくる展開で、今まで見たことがないレースを期待しています」

第6レースでゴールする各馬。大塚研司騎手が騎乗した12番・マユノドリーム(左から2頭目)は4着だった

 まずは「ファンとの距離がより近くなり、間近で走っている姿が見られた」と好評だった。2日間で1レースずつ行われた12頭立て。落馬事故などもなく、無難なスタートが切れて良かった。11、12番のゼッケンを着けた外枠の各馬も、最初の直線ではコース中央へと切れ込んで、思い切った位置取りを見せていた。外らちからは離れていて、余裕があった。

 地方競馬では現在、全国13カ所で平地競走が行われているが、12頭立てができなかったのは笠松競馬だけだった。2017年11月、JRAから無償で譲り受けた12頭立て発走ゲートと、大型ビジョンの着順表示システムの整備が完了し、ようやく運用を開始。「レースの迫力が増し、競走の魅力も高まる。来場者の増加につなげたい」とアピール。最初のコーナーまでの直線距離が比較的長い1400メートル、1900メートル、2500メートルのレースで随時実施していく。
 
 今回の12頭化は、地方競馬の「3歳秋のチャンピオンシップ」シリーズなどに対応するためで、笠松にもその波が押し寄せた。2016年に新設された西日本地区6県の各競馬場持ち回りによる「西日本ダービー」(3歳、1900メートル)が来秋、笠松競馬場で開催されることに伴うもの。地元デビューの生え抜き馬だけが出走でき、各地2頭ずつ(変更可)計12頭の出走を予定。今年の第4回西日本ダービーは9月16日、高知で開催され、笠松からは「ぎふ清流カップ」を勝ったフォアフロント(井上孝彦厩舎)に佐藤友則騎手が騎乗。ビーコンプリート(同)には、高知遠征中の東川公則騎手が騎乗する。

12頭立てレースが行われた第6レースが確定。着順表示板には、4着に12番の数字が点灯した

 また笠松では、レースによっては出走登録馬が多く、抽選休みになることもあり、馬主から12頭立て実施の要望もあった。今後は、各重賞レースや3日間開催のシリーズに実施を予定。この日の最終12Rでは「笠松競馬開設85周年記念特別」も行われ、笠松競馬の長い歴史に「12頭立てスタート」の新たな1ページが加わった。

 JRAとの交流レースや全国交流重賞では出走登録馬も多く、将来のダートグレード競走復活に向けて、12頭立てはファンにとってもうれしいことだ。4月のオグリキャップ記念は2500メートル戦で、12頭立てが可能だ。これまでの10頭立てでは、ダートグレード復帰は厳しかっただろうが、12頭立てなら、名古屋や金沢などと同条件で、ファンの期待にも応えられる。

 今後注意すべき点は、やはり最初のコーナーでの先行争いだ。各馬が密集状態でコーナーに突っ込み、位置取りを争えば、接触による落馬事故など危険も隣り合わせである。地方競馬の「スーパースプリントシリーズ」として、一昨年まで名古屋で実施されていた「でら馬スプリント」は開催が休止された。歴戦のオープン級がスピードを競って激突し、一斉に第3コーナーに勢いよく突っ込むため、落馬するシーンもあったからだ。ラブミーチャンが3連覇したレースでもあり、笠松にも開催の打診があったが、調教師らの意見を聞いて、危険だとして開催を断念。昨年からは金沢で「日本海スプリント」として実施されている。

 馬券販売では、V字回復で6年連続の黒字化を果たしている笠松競馬だが、インターネット販売での手数料は高い。競馬場用地の借地料の問題でも厳しさが続いており、経営面での苦しい台所は相変わらず。このところは、下級クラスなどのレースでの出走枠を減らすことで、出走手当を削減し、重賞レースの賞金アップに回したりしてきた。馬主さんに強い馬を預けてもらうためでもある。次開催から年末に向けては4日、5日間開催が続き、出走馬の確保も必要になる。名古屋からの出走馬を増やすなどして、開催日には12頭立てを最低1レースは実施して、多頭数での迫力あるレースを期待するファンの声に応えていきたい。