オグリの里
西日本ダービー、笠松のフォアフロント2着
生え抜き3歳、スターホースへ

2019年10月05日 11:49

佐藤友則騎手の騎乗で東海ダービー3着だったフォアフロント。西日本ダービーにも挑戦し、2着と好走した

 全国の重賞戦線で、今年は笠松勢の活躍が目立っている。地方競馬の「3歳秋のチャンピオンシップ」シリーズは大詰めを迎えたが、9月16日に高知競馬場で行われた第4回西日本ダービー(3歳、1900メートル)では、笠松のフォアフロント(井上孝彦厩舎)が、佐藤友則騎手の好騎乗で2着と力を発揮してくれた。

 このレース、笠松勢としては初めての3着以内で意地を見せた。フォアフロントは生え抜き3歳馬で、地元期待のスターホースに育ってきた。来年の西日本ダービーは、12頭立てが可能になった笠松競馬場で開催されることが決まっており、笠松勢初制覇に向けて、次開催のジュニアクラウンなどで、現2歳馬の成長も楽しみだ。

 交流重賞5勝のラブミーチャン引退後は、北陸・東海・近畿地区や全国交流の重賞戦線で劣勢だったが、今年は元日に行われた名古屋・湾岸ニュースターカップでの笠松勢ワンツーから、いい流れが続いている。笠松の大将・5歳馬ストーミーワンダーの重賞5勝(笠松3勝、金沢1勝、園田1勝)をはじめ、フォアフロントやサウスグラストップが地元重賞を制覇。他地区でも十分に戦えるようになった。

 西日本ダービーは、地元デビューの生え抜き馬限定レース。西日本地区6県の各競馬場持ち回りで、これまで園田、佐賀、金沢、高知で開催された。最近では、各地方競馬やJRA間で転入、転出を繰り返す競走馬も多いが、やはりデビュー戦から長期間預かり、強い馬に育て上げることは、厩舎の大きな目標であり、地元ファンも応援のしがいがある。東海ダービーは名古屋競馬場限定で開催され、笠松には「ダービー」と名の付いたレースはないだけに、初開催となる来年の西日本ダービーは大いに盛り上がりそうだ。

ぎふ清流カップを制覇したのは、佐藤騎手とフォアフロントの笠松生え抜きコンビ

 フォアフロントは、湾岸ニュースターカップで2着、ぎふ清流カップで重賞初制覇。東海ダービー3着、金沢のMRO金賞2着と、着実に成長を遂げて西日本ダービーに挑戦した。勝ったのは、地元高知の倉兼育康騎手が騎乗したアルネゴー。黒潮皐月賞を制しており、末脚の破壊力が抜群。地の利を生かして勝負どころの3~4コーナーから大外一気の豪脚で突き抜けた。勝ち馬には1馬身及ばなかったフォアフロントだが、4コーナーで他馬に接触される不利がなければ、「ゴール前はもっと際どかったのでは」と思える惜敗だった。 

 あと一歩届かずに「ダービージョッキー」の栄誉を逃した佐藤騎手。「また悔しい2着でした。兵庫のテツを終始マークして決まったと思ったら、育さん(倉兼騎手)の馬すごい脚でしたね。4コーナーの内から、(リリコに)寄られてぶつかりはしましたが、それがなくてもアルネゴーには完敗でした。納得のレースでした」と淡々。

 「ぶつけられても頑張ってくれたフォアフロントに感謝です。この馬を担当している厩務員さんが、乗りやすくしっかり仕上げてくれた。勝ちたかったが...」とも。残り100メートルぐらいから鋭く伸びて2着に食い込んだフォアフロントの勝負根性と、厩舎スタッフの素晴らしいサポートは、次への大きなステップとなったことだろう。笠松からは同じ井上厩舎のビーコンプリートも参戦し、高知遠征中だった東川公則騎手が騎乗したが、12番人気で9着に終わった。

岐阜金賞を勝ったニューホープと佐藤騎手

 西日本ダービーと同じ日、盛岡では不来方賞が行われた。8月末の3歳重賞・岐阜金賞を佐藤騎手騎乗で勝ったニューホープが出走。元笠松所属馬で、金沢を経由して岩手に復帰。不来方賞では山本聡哉騎手が騎乗し、ハナ差の2着と惜しかった。1番人気のパンプキンズを競り落として、勝利を手中にしたかと思われたが、大井からの移籍馬ヤマショウブラックの急襲に屈した。

 その悔しさから、ニューホープは3歳秋のチャンピオンシップ最終決戦となる「ダービーグランプリ」(10月6日)に挑戦し、山本騎手がリベンジに燃えて再度騎乗。昨年は、岐阜金賞Vのクリノヒビキ(兵庫)がダービーグランプリ2着に食い込んでいる。笠松勢ではトミシノポルンガ(1992年)、ルイボスゴールド(95年)が栄冠をつかんでいる。

 ニューホープで悲願の笠松重賞初Vを達成した吉田勝利オーナー(県馬主会副会長)によると、「12月初めにもニューホープを笠松に戻す予定」という。北海道で休養中のフォアフロントとは、年末の東海ゴールドカップで対戦させて、盛り上げようかという話も浮上しているそうだ。実現すれば地元初対決となり、ストーミーワンダーを含めて重賞ウイナーによる熱いバトルが大みそかに繰り広げられるかも...。

 笠松の4歳牝馬では、AGI名古屋城カップで強い勝ち方を見せたヴィクトアリー(笹野博司厩舎)に注目。渡辺竜也騎手が2番手から逃げ馬をきっちりと差し切り、突き放す完勝劇。JRAから笠松に移籍後、2着を挟んで破竹の6連勝で、どこまで成長するか楽しみな1頭である。

コパノキッキングで重賞初Vを飾ったJRAの藤田菜七子騎手(NAR提供)

 大井の東京盃(交流GⅡ)を、1番人気コパノキッキングで華麗に逃げ切ったのは、JRAの藤田菜七子騎手で、自身初めての重賞制覇(挑戦24戦目)となった。東京盃といえば、7年前にラブミーチャン(浜口楠彦騎手)が制したレース。ともにDr.コパこと小林祥晃オーナーの持ち馬で、相性が良い東京盃での祈りが通じたようだ。小学生の頃、オグリキャップの馬運車を見たことが騎手になるきっかけにもなった藤田騎手。今年3月に笠松に初参戦し、ラブミーチャンのパワーも注入しての東京盃Vとなったようだ。

 JRA、地方を含めた女性ジョッキー初の交流重賞Vで「(勝てて)ホッとしました。すごくうれしいです。大井の直線がこんなに長く感じたのは初めてです」と喜びを表現。ファンからの「菜七子、おめでとう」の声に笑顔で応えていた。次走はJBCスプリント(交流GⅠ)が視野に入っており、ラブミーチャンが4着、9着で果たせなかったJBC制覇の夢を実現してもらいたい。

秋風ジュニアを勝ったダルマワンサと山本聡哉騎手

 笠松競馬の次回開催「飛騨シリーズ」は8日から4日間。2歳馬によるJRA認定競走・ジュニアクラウンが10日に行われ、秋風ジュニアVのダルマワンサ、3着のボルドープリュネら笠松所属馬10頭が対決する。

 12日にはJRAなどの場外発売とともに「笠松競馬2019秋まつり」も開かれる。左肩甲骨の骨折にも動じず、攻め馬を開始し、南関東に2カ月間遠征する佐藤騎手がトークショーに参加。チャリティーオークションや秋華賞予想会をはじめ、家族で楽しめるイベントも盛りだくさん。競馬場の新たな活用法として、清流ビジョンで上映会を開くなどして、地域活性化につなげていきたい。