オグリの里
「深沢杏花騎手」4月デビュー
笠松競馬で20年ぶりの女性ジョッキー

2020年03月19日 22:05

騎手試験に合格した深沢杏花さん。勝負服も決まり、4月からの笠松競馬でデビューする(笠松競馬提供)

 まぶしいダイヤモンド柄の勝負服姿で、笠松競馬場のゴールを力強く駆け抜けたい―。昨年7月から半年間、笠松実習に励んだ深沢杏花騎手候補生(18)が、晴れて騎手免許試験に合格した(4月1日付で交付)。地方競馬全国協会(NAR)から発表され、笠松・湯前良人厩舎に所属し、1日からの地元開催でデビュー予定だ。笠松競馬では中島広美さん(1992~2000年在籍)以来20年ぶりの女性ジョッキーとなる。

 深沢さんは地方競馬教養センター(栃木県)の第99期生で、兵庫県出身の18歳。競走実習をクリアして騎手課程を修了し、「1年目は30勝以上したいです。将来的には笠松のリーディングを」と夢は大きく、頼もしい。中学時代には部活動の水泳で鍛えており、体幹は強く、アスリートとしての身体能力も高い印象だ。笠松での期間限定騎乗で5勝(名古屋を含めて)を飾った関本玲花騎手(岩手)からバトンを受け継ぐ形で、笠松競馬場でのゲートインを迎える。

笠松での競馬場実習で調教などに励んだ深沢さん

 笠松での実習生としては、夏場の暑い時期から競馬場内での厳しい訓練を着実にこなして、騎乗技術を磨いてきた。連日、午前1時に起床。「最初は早起きがつらかった」そうだが、競馬場に来れば、スイッチオン。2時から8時頃まで、20頭ほどの攻め馬にびっしりと励んでいた。優しくアドバイスをしてくれる先輩騎手たちから、騎乗スタイルなどを学びながら、コーナーがきつい笠松特有のコースで、周回をじっくりと繰り返していた。レース開催日には、乗り終わった騎手たちの馬具の手入れなど、装鞍所での業務をサポート。ジョッキーになる夢に向かって頑張ってきた。

先輩の木之前葵騎手(右)と深沢さん

 「バジガク」の愛称で知られる東関東馬事高等学院(千葉県)の出身でもあり、先輩には名古屋の木之前葵騎手がいる。「憧れの存在で、葵さんのようなジョッキーが目標」でもある深沢さん。笠松での実習中には、木之前騎手から騎乗の仕方などいろいろなアドバイスを受けた。「笠松と名古屋は交流もあり、(先輩としても)応援しています。レースで一緒に騎乗できることが楽しみで、頑張ってほしいですね」とエールも送られていた。

 先行馬有利な笠松コースだが、深沢さんは逃げ切りよりも、最後の直線で差し切る競馬に魅力を感じている。「ステッキを持ち替えながら、きれいに追えるようになりたいです。笠松に戻ったら、まずは初勝利を目指したい」と、デビューの日が待ち遠しそうだった。

地方競馬教養センター第99期生として、騎手試験に合格した8人(NAR提供)

 第99期生の修了者は8人。川崎所属の池谷匠翔(たくと)君(18)は、元体操選手でタレントの池谷直樹さんの長男。自分でも「跳び箱なら13段は飛べます」というスポーツマン。名古屋所属の細川智史君(20)は、昨年リーディングの角田輝也厩舎に所属する。既にそれそれがレースで着用する勝負服のデザインも決まっている。深沢さんはディズニー映画をイメージした「白・赤ダイヤモンド」を基調にしており、キラキラ感があり、よく似合っている。笠松では吉井友彦騎手会長が「青ダイヤモンド」の勝負服でもあり、レースでは、いつか2人のワンツーが見られるかも...。

 合格した女性ジョッキーはもう一人。山口県出身で浦和所属の北島希望(のぞみ)さん(18)で、南関東のレースに参戦する。新人2人は、来年のレディスヴィクトリーラウンド(LVR)にも挑戦できる。高知の別府真衣騎手が復帰し、ミカエル・ミシェル騎手がまた参戦すれば、女性ジョッキーだけでの華やかなレースが実現する。これまで、女性陣が所属する各競馬場でレースが行われており、深沢さんは「笠松でも開催されれば盛り上がりますね。すごく楽しみ」と実現を期待。近い将来、笠松ラウンドや、関本騎手の地元で岩手ラウンドも開催され、闘志を燃やすことだろう。

昨年、デビューした日に初勝利を飾った東川慎騎手

 東川慎騎手(19)は昨年、笠松の新人として鮮烈デビュー。新年度初日のメイン「淡墨桜特別」でバレンティーノ(尾島徹厩舎)に騎乗。差し切りを決めて、いきなり初勝利を飾った。今年は深沢さんが笠松に戻ってきて、ジョッキーとしての第一歩を踏み出す。お世話になる湯前厩舎は、3月の笠松開催でも出走馬が多く、全国重賞を転戦するナラ(牝4歳)のような実力馬も所属している。4月からは東川公則騎手が調教師に転身し、水野翔騎手は南関東での期間限定騎乗(6月19日まで船橋・渡辺薫厩舎)にチャレンジ。松本剛志騎手は負傷療養中で、騎手不足となり、深沢さんが騎乗するチャンスは増えそうだ。

 深沢さんのデビューは、順調なら4月1日になりそうだ。自厩舎の湯前厩舎はもちろん、「できれば初勝利をプレゼントしたい」という馬主さんから、どんな有力馬が用意されているのか。騎手にとっての初勝利は、この世界での大きな自信になるし、「1勝目は○○という馬でした」とその馬名がずっと語り継がれることにもなる。実習時代の騎乗ぶりや競馬に取り組む姿勢からも、地元関係者に信頼されており、豊かな将来性を感じさせるものがあった。まずは新人女性ジョッキーに与えられる「負担重量4キロ減」の有利さも生かして、真っ先にゴールインしたい。