オグリの里
田口貫太君、JRA競馬学校入学「武豊騎手に憧れ」
両親は元笠松競馬騎手、3年後デビュー目指す

2020年04月24日 21:33

JRA競馬学校に入校し、3年後の騎手デビューを目指す田口貫太君

 無観客開催が続いているが、この春、笠松競馬関係では深沢杏花騎手のデビュー、初勝利のほかにも、うれしいニュースがいっぱいあった。

 両親がともに元笠松競馬騎手という田口貫太君(16)が4月7日、JRA競馬学校の騎手課程39期生・入学式を迎えた。応募者125人のうち合格者は8人(男5人、女3人)で、難関を見事に突破。未来のスタージョッキーを目指してワクワク、学校生活のスタートを切った。3年間、同期生と厳しい訓練に挑む。

 父は現調教師の田口輝彦さん。騎手時代に288勝を挙げ、調教師に転身後、名馬ミツアキタービンを育てた。母は笠松競馬初の女性ジョッキーとして120勝を挙げた広美さん(旧姓中島)。笠松など3場で開かれた国際レース「インターナショナル・クイーンジョッキーズ」で総合3位。大井のレースでは見事1着になるなど活躍。輝彦さんと結婚後、出産(01年)とともに騎手を引退した。
 

ジョッキー時代の田口輝彦さんと中島広美さん(笠松競馬提供)

 「父や母は、騎乗する時のレース展開などいろいろと教えてくれます」と貫太君。好きなジョッキーを聞くと「武豊さん」と元気な声が返ってきた。オグリキャップのラストランなどで騎乗。笠松とのつながりが深い武豊騎手ももう51歳だが、16歳若者の憧れの存在であるのは、さすがレジェンド。調教師の息子として小さい頃から競走馬に親しんできた貫太君。ジョッキーを目指すきっかけは、3年前の日本ダービーを見て、かっこいいと感じたことから。2着になったスワーヴリチャードの走りに魅了され、18年の大阪杯(M・デムーロ騎手)を勝ったレースも観戦。将来はJRAのジョッキーになりたいという夢を膨らませた。
 
 JRA競馬学校の受験では、1回目は不合格だったため、昨年4月から12月まで、滋賀県長浜市の三田馬事公苑で訓練。住み込みで馬の世話をしながら、乗馬経験をみっちりと積んで騎乗技術を磨いてきた。

 入学式には両親も同席。輝彦さんは「JRA競馬学校に入るだけでも僕らを超えている。3年後が楽しみ」と成長を期待。ジョッキー時代には安藤勝己さんと一緒に騎乗できたり、楽しい思い出が多かったという広美さんも、大きなけがをしないで、騎手になる夢の実現を願っている。少年野球の岐阜ボーイズ小学部からは「卒団生が難関をクリア。貫ちゃんおめでとう。夢への第一歩。お互い頑張ろう」とエールも送られた。
 
 「競馬学校では、3年後に立派なジョッキーになれるように努力したいです」。両親が愛馬と駆け抜けた笠松の地で闘志を燃やしていた貫太君。「不安もあるが、楽しみが大きいです。日本ダービーと凱旋門賞で勝ちたい」と夢はでっかい。テレビ番組で紹介されたり、笠松では入学を祝う協賛レースも開かれ、注目されている。

田口調教師(左端)管理のニューホープが昨年の東海ゴールドカップを制覇。貫太君も笑顔を見せていた

 父の厩舎には、リーディング・筒井勇介騎手が所属しており、有力馬も多い。かつて管理したミツアキタービンでは、中京メイン・香嵐渓特別(03年)でJRA初出走、初勝利の快挙を達成。騎乗した東川公則騎手の引退デーには、厩舎の期待馬ニューホープがマーチカップを制覇。東海ゴールドカップVに続いて、優勝馬の口取りなどセレモニーには貫太君も一緒に並び、うれしそうだった。
 
 両親がジョッキーという遺伝子を受け継いで「良血のサラブレッド」ともいえる貫太君だが、競馬学校では過酷な訓練が続き、全員が卒業できるとは限らない。これまで、三浦皇成騎手の24期生は入学7人のうち卒業3人。29期生は入学8人で卒業4人と、途中で挫折して夢を諦める生徒も多いのが現実。
 
 入学したばかりの39期生は、8人のうち3人が女性で注目度が高く、同期生に負けたくない。厳しい訓練にくじけることなく立ち向かって、けがなどなく、じっくりと騎乗技術を磨いてほしい。3年後、晴れてJRAジョッキーとしてデビューを果たせたら、いつかきっと、武豊騎手と同じレースで対戦する日が訪れることだろう。地方・JRA交流戦では、笠松競馬場でも騎乗し、当日のエキストラ騎乗では父の調教馬に乗ることもあるだろう。

 ■笠松名牝エーシンクールディの娘スマイルカナ、桜花賞3着

桜花賞3着・スマイルカナの母は笠松名牝エーシンクールディ。2012年の笠松グランプリではラブミーチャンを倒し、連覇を達成した(笠松競馬提供)

 JRAの桜花賞(阪神)は、松山弘平騎手が騎乗したデアリングタクトが差し切りV。3着に入ったスマイルカナは、笠松競馬で活躍した名牝エーシンクールディの娘で、父はディープインパクト。柴田大知騎手の騎乗で快調に逃げ、残り200メートルからはレシステンシア(武豊騎手)と、勝ったデアリングタクトにかわされたが、持てる力を出し切った。

 エーシンクールディは芦毛馬で、中央オープンクラスから笠松に移籍(伊藤強一厩舎)。11、12年の笠松グランプリを連覇するなど地方重賞を8勝。主戦は名古屋の岡部誠騎手で、初戦・サマーカップでは「鉄の女」トウホクビジンに4馬身差圧勝。引退レースとなった12年の笠松グランプリでは、ラブミーチャン(浜口楠彦騎手)との快速女王対決で、笠松競馬史を飾る名勝負を演じた。出遅れたラブミーチャンは4コーナーで先頭に立ったが、迫るエーシンクールディとデッドヒート。ゴール寸前で鋭く伸びたエーシンクールディが鮮やかに差し切った。ラストランにもなって、岡部騎手は「寂しいですが、繁殖牝馬として育てた子が、また笠松で走ってくれるでしょう」と期待を込めた。

 スマイルカナも芦毛馬で、エーシンクールディの子としては中央のレースに初出走。新馬戦を勝ち、フェアリーS(GⅢ)を逃げ切って重賞初V。9番人気だった桜花賞では逃げ宣言通り、見せ場十分の内容で踏ん張った。無観客ではあったが、インターネット上では「お母さんが笠松で走っていた」と一部のファンの注目を集めていた。

 1着デアリングタクト、2着レシステンシアという強豪相手に食い下がったレース内容は、玉砕覚悟の単純な逃げ馬ではないことを証明。出走権を得てチャレンジするオークス(5月24日・東京)でも十分に戦えるのでは。距離は2400メートルに延びるが、しぶとさを発揮。馬場状態と展開次第ではチャンスがありそうだ。

 ■水野翔騎手が南関東で大暴れ 船橋、浦和でデビュー戦勝ち
 

水野翔騎手は南関東での期間限定騎乗に挑戦。船橋、浦和ではデビュー戦を勝った

 神奈川県出身の水野翔騎手は、4月1日から南関東4場での期間限定騎乗にチャレンジ(6月19日まで船橋・渡辺薫厩舎)。厳しい戦いが予想されたが、マカオ、ドバイでも戦ってきたこの男にプレッシャーはなかった。本人が好きな言葉である「疾風迅雷」通りの大暴れ。船橋デビュー戦となった3Rを7番人気サクラブチャンで差し切り勝ち。7Rでは逃げ切って1日2勝。翌日には9番人気馬で圧勝し、鮮烈なスタートダッシュを決めた。 
 
 続く大井で2着2回。川崎ではスイスイと逃げ切り、2勝を挙げた。20日には浦和デビュー戦も制し、南関東でこれまで82戦して6勝、2着10回(4月24日現在)と好成績。引退会見で東川騎手が「南関東や高知などへの遠征で、笠松の騎手は上手だねと言われることもあった。若い騎手がもっと技術を磨いてくれたら」と話していたが、水野騎手も地方競馬ファンに「笠松」の名をアピール。ホッカイドウ競馬在籍時からのファンも多く、「水野騎手、やるねえ」と。その活躍ぶりは南関東関係者の注目を浴び、目標の10勝以上達成に向けて騎乗機会も増えそうだ。

昨年のオグリキャップ記念はカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)が、内のメイショウオオゼキをアタマ差で下し制覇した

 22日には浦和重賞・しらさぎ賞にウインメディウムで挑戦。隣では全国重賞を転戦する笠松のナラ(牝4歳、湯前良人厩舎)もゲートイン。元笠松騎手で、ニュースターガールでライデンリーダー記念など重賞4勝を飾った阪上忠匡騎手(川崎)が騎乗していた。結果はともに完敗だったが、笠松つながりの交流もあり、ライブ映像でファンを楽しませてくれた。

 当面は無観客開催が続く笠松競馬では、30日にオグリキャップ記念(12頭、2500メートル)が行われる。昨年はカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)が競り勝ったが、今年は遠征馬が少なく、南関東から1頭(大井の3頭は回避)兵庫から1頭が出走予定。笠松勢ではニューホープが有力で、地元馬の意地を見せるか。マーチカップのように後方から末脚爆発なら勝機十分。注目の一戦となる。