オグリの里
ニュータウンガール駿蹄賞V、まず1冠
東海ダービーへ視界良好、佐藤友則騎手闘志

2020年05月09日 12:25

佐藤友則騎手が騎乗した笠松のニュータウンガールが、駿蹄賞を1着でゴールイン(名古屋競馬提供)

 東海ダービー制覇へ視界良好。笠松のニュータウンガール(牝3歳、井上孝彦厩舎)が1日、東海地区クラシック3冠レース初戦の名古屋・駿蹄賞(SPⅠ、1800メートル)をあっさりと制覇した。重賞4連勝となり、同世代では無敵の強さ。騎乗した佐藤友則騎手(38)にとっても、東海ダービー初Vのビッグチャンスが巡ってきた。

 単勝1.3倍の1番人気。「勝って当然」と思われたレースだったが、佐藤騎手の素晴らしい騎乗で、愛馬ニュータウンガールを勝利に導いた。逃げた岡部誠騎手騎乗のエイシンハルニレ(角田輝也厩舎)をぴったりとマークし、いつもより前の2番手からの競馬。4コーナーでも手綱を持ったままで、追い出しをじっと我慢。残り200メートルでようやく気合を入れると、きっちりと抜け出し、最後は2馬身差をつけてゴール。エイシンハルニレが2着、さらに3馬身差でエムエスオープン(竹下直人厩舎)が3着に食い込んだ。

ニュータウンガールで東海ダービー制覇に燃える佐藤騎手
(名古屋競馬提供)

 佐藤騎手にとっては、13年のゴールドブラザー以来2度目の駿蹄賞Vとなった。過去の東海ダービーでは、ゴールドブラザーと昨年のフォアフロントで3着が最高だが、今年こそ「ダービージョッキー」の仲間入りが果たせそうな勢いだ。

 ニュータウンガールはスズカコーズウェイ産駒。門別で2戦後、笠松に移籍。ラブミーチャン記念は2着だったが、ジュニアキングV(準重賞)から快進撃。ライデンリーダー記念、梅桜賞、スプリングカップに続く重賞制覇となった。名古屋では3連勝で、馬場との相性の良さも抜群だ。

 前走のスプリングカップから2カ月。優勝インタビューで佐藤騎手は「予定通りの調教ができ、返し馬でもすごくいい出来で自信があった。東海ダービーという目標があり、距離は1400でも1900でも関係なく、乗りやすい馬なので大丈夫です」。2番手からの追走となったが「出たなりの位置取りで、4コーナーでも手応えが良かった。最後で気を抜かないように乗りました」とレースを振り返った。

ニュータウンガールで駿蹄賞を制覇し、喜び合う関係者(名古屋競馬提供)

 東海ダービーに向けては「騎手を20年やってきて、初めてダービーを取れそうな馬に出会えた。この馬が一番強いという自信を持ちながらも、チャレンジャーとして過信はしない。何とか無事にここまで来たので、ダービーまでたどり着けたらチャンスがある」と、6月9日の本番に向けて闘志満々。2年前には、藤原幹生騎手がビップレイジングで東海ダービーを制覇。優勝馬の口取りでは佐藤騎手も並んで祝福していたが「次は俺」の思いが強かっただろう。日本ダービーと同じで、この地区のホースマンにとって最も欲しいタイトルであり、ジョッキー人生でも最高のレースにできるといい。

 期待馬を管理する井上調教師も、楽に2番手からエイシンハルニレを追走し、完勝したレース内容に手応え十分。あと1カ月、けがなどなく万全の状態で東海ダービーへ向かい、無事にゲートインできれば、結果はついてくるだろう。岐阜金賞へと続く3冠レース。ファンたちも「競馬が上手な馬で、東海3冠へ前進した。全国でも活躍できるのでは」と期待を膨らませている。

 佐藤騎手は4日、交流重賞・かきつばた記念(GⅢ)ではリアンヴェリテ(JRA)に騎乗して4着だった。ニュータウンガールとのコンビでは、兵庫、南関東勢とも互角以上に戦えそうだし、将来的には交流重賞でJRA勢への挑戦が期待される好素質馬だ。

 ■水野翔騎手は東京ダービー、関東オークス挑戦権ゲット

昨夏、マカオで重賞Vを飾り「南関東でも騎乗したい」と意欲を見せていた水野翔騎手

 南関東では、船橋所属で期間限定騎乗(6月19日まで)に挑んでいる水野翔騎手(23)が好調をキープ。4場(船橋、浦和、大井、川崎)を一巡し、馬場傾向をつかんだ。メインなど終盤のレースに強く、これまでの騎乗馬で、東京ダービーや関東オークスへの挑戦権をゲットする活躍を見せている。

 大井の東京ダービートライアル(3歳オープン)では、3番人気のブリッグオドーン(大井)に騎乗。4コーナーを5番手で回り、最後の直線で大外に持ち出すと豪快に突き抜け、2馬身半差をつけて1着でゴール。位置取りや道中もいい感じで、最後の直線で他馬に並ぶとグイッと伸びてくれ、勝利を確信したという。東京ダービー(6月3日・大井)への優先出走権を獲得し、引き続き手綱を取る予定だ。

 騎乗したブリッグオドーンは大井デビュー馬で、昨年8月以来の勝利となった。東京ダービー切符となるうれしい勝利をつかんだ水野騎手。「ダービー」と名が付いたレースへの騎乗は初めてとなるが、積極的なレース運びで、関係者や応援するファンをアッと驚かせてほしい。東京ダービーといえば、通算7300勝超え(中央含め)のレジェンド・的場文男騎手が、37回挑んで2着10回と、まだ勝っていないレース。初めてチャレンジする水野騎手は、上位人気が予想されるブリッグオドーンとのコンビで、大仕事をやってくれるかも...。笠松の若手ジョッキーが、全国区で注目を浴びることになりそうだ。

 大井の東京プリンセス賞(牝3歳、SⅠ)では、12番人気のリヴェールブリス(船橋)に騎乗。4コーナーを6番手で回ると、鋭く追い上げて2着。関東オークス(6月10日・川崎)への優先出走権を獲得した。ダービーに続いて、こちらも水野騎手の騎乗が決まれば、楽しみな1頭になる。

 ■深沢杏花騎手、豪快な追い込みでデビュー4勝目

4月にデビューした深沢杏花騎手。追い込みでも勝利を挙げ、5月の好スタートを切った

 地元・笠松では、オグリキャップ記念シリーズ後半戦が7、8、11日の変則日程での開催となった。7日のレースで驚かされたのは、深沢杏花騎手(18)が4Rで豪快な追い込みを決めてデビュー4勝目を飾ったこと。4番人気のサノレオン(牡3歳)で後方から大外を回り、ゴール手前では横一戦となって5頭をごぼう抜き。2着以下には向山牧、吉井友彦、佐藤友則、筒井勇介、岡部誠騎手とリーディング経験者が続いただけに、先輩への大きなアピールにもなった。

 続く5Rでは自厩舎のビーナスリング(牝5歳)に騎乗。逃げ切るかと思われたが、「新人ジョッキーに連勝はさせられない」とばかりに、大本命馬(単勝1.1倍)に騎乗した渡辺竜也騎手が、ゴール寸前で何とか差し切った。深沢騎手は7Rでも自厩舎のシオジスター(牝4歳)で先手を奪い、最後は筒井勇介騎手の騎乗馬に敗れたが、ナイスファイトを続けていた。この日は1勝、2着2回。インターネットなどの画面越しでレースを楽しむファンにとって、ノーマークにはできない存在になってきた。

 初勝利インタビューでは「先行馬は前に行かせて、後ろからの馬は最後の追い込みをしっかりと。でも、なかなか結果を出せなかった」と振り返っていたが、初V後の騎乗ぶりはどんどん良くなっている。新人女性騎手には負担重量軽減(マイナス4キロ)の有利さがあるし、地道に攻め馬をこなして信頼を得ており、騎乗依頼は多い。既に名古屋でも2レースを経験。笠松では1日10レース乗る日もある。4月の緊張感から解放されて、5月は好スタートを切った。これからも騎乗馬の持ち味を生かして「逃げて、追って」。男性陣を慌てさせる思い切った騎乗で、笠松競馬を盛り上げてくれそうだ。