オグリの里
ストーミーワンダー復調、7カ月ぶり勝利
得意の1600メートル戦9連勝

2020年05月16日 10:11

昨年、重賞5勝を飾ったストーミーワンダー。かがり火特別を勝ち、復調気配だ(笠松競馬提供)

 笠松の大将・ストーミーワンダー(牡6歳、笹野博司厩舎)が8日、笠松競馬メイン・かがり火特別(A2、1600メートル)で7カ月ぶりの勝利を挙げ、復調をアピールした。得意の1600メートル戦では9連勝。気温上昇とともに「夏馬」がエンジン全開。騎乗した渡辺竜也騎手も「久しぶりのレースでしたが、勝ててホッとしています」と一安心。東海地区や全国の重賞戦線でも勝利を挙げ、完全復活を目指したい。

 昨年は笠松の白銀争覇、飛山濃水杯、くろゆり賞、金沢スプリントカップ、園田の姫山菊花賞を制覇。重賞5勝の大活躍で、笠松競馬の4歳以上最優秀馬に輝いた。くろゆり賞で名古屋のカツゲキキトキト、姫山菊花賞では園田のタガノゴールドといった地区最強馬を次々と撃破。ラブミーチャン以来となる笠松のスターホースとして「10年ぶりの超大物」にも指名。全国レベルでの飛躍を期待したが、笠松グランプリなど3戦は4、4、5着に終わってしまった。

 重賞を勝ちまくった反動だったのか、年明けから捻挫など脚部不安を抱えて順調さを欠いた。放牧明けで3カ月ぶりの実戦になったが、直前の動きは上々で笹野調教師も「しっかりと負荷をかけた。いい仕上がりで好発進を」と期待。8戦8勝と距離適性がある1600メートルを復帰戦に選び、必勝態勢で臨んだ。

 A2クラスだったが、久々の一戦で評価は下がり、単勝2番人気。中央3勝クラスから転入し、前走を初ダートで圧勝した4歳・ニホンピロヘンソン(川嶋弘吉厩舎)が1番人気になった。2番手から楽な手応えで4コーナーを回ったストーミーワンダーは、最後の直線でも力強い脚さばきでニホンピロヘンソンの追撃を完封した。

姫山菊花賞をストーミーワンダーで勝った渡辺竜也騎手

 脚元がしっかりすれば、もっと強くなるストーミーワンダー。5日の兵庫大賞典を圧勝したタガノゴールド(重賞8勝)を倒しているのだから、潜在能力は相当なものだ。昨秋の姫山菊花賞Vでは、ナイター競馬で見せた圧巻の走りが印象深かった。園田競馬場では初観戦だったが、親切に案内してくれた広報さんに取材目的を聞かれ「笠松の馬が4番人気で、勝つかもしれないから」と答えた。笠松と同じように昭和の雰囲気も残っている検量室前の取材エリアでうろうろしていると、2年連続兵庫リーディングの吉村智洋騎手が明るくあいさつしてくれ「園田って、いい所だな」と好印象を持った。

 レースはストーミーワンダーが3コーナーからロングスパートを決め、圧勝という最高の結果。渡辺騎手、笹野調教師、厩務員に笑顔があふれた。顔見知りでもある競馬ライターさんには「来たかいがありましたね」と声を掛けてもらい、「勝つと思っていましたよ」と声が弾んだ。中央、地方競馬ともに無観客レースが続いているが、やはりライブで観戦できる喜びは、こういった臨場感を味わえることなのだろう。「笠松にストーミーワンダーあり」を全国にアピールできたのだった。

園田での重賞Vを喜び合う渡辺騎手と笹野博司調教師

 レベルが高い園田で勝った渡辺騎手は「遠征でいい結果を収められた。全国区でいろんな所へ、この馬で勝ちにいけるといいです」と意欲。その後は勝てないレースが続いたが、ほとんどの馬は1年間フルに活躍することは難しいのだから、「充電期間だった」と割り切って、夢の続きへ再起動。昨年新設され、22日に行われる飛山濃水杯で連覇を目指してもらいたい。日程的にはやや厳しいが、昨夏の金沢遠征では、日本海スプリント4着から中1週で金沢スプリントカップを圧勝。レース間隔を詰めても好結果を残せるタイプだ。渡辺騎手は前開催最終日、負傷のため騎乗変更になっていたが、早く復帰できるといい。

 「中央発、地方競馬」でのサクセスストーリーを歩むストーミーワンダー。2年半前、3歳戦で完敗続きだった中央から笠松の笹野厩舎に移籍。C31組で7着と惨敗し、どん底スタートとなったが、厩舎スタッフの手厚いサポートがあって大変身。藤原幹生騎手の騎乗で9連勝し、オープンまで駆け上がり、どんどん強くなった。佐藤友則騎手で重賞2勝、自厩舎の渡辺騎手で重賞3勝。ファンの多い馬でまだ6歳。さらなる成長が期待されている。

 笠松競馬場では6月下旬から約1カ月半、馬場改修が行われるため、レースは開催されない。くろゆり賞は再開後の8月13日で、ストーミーワンダーが連覇を目指すことだろう。毎年、盛況でイベントも盛りだくさんのお盆開催。競馬場にファンの歓声が戻っていればいいが...。

■兵庫のイケメン・鴨宮騎手、今年の笠松重賞2勝

笠松・ゴールドジュニアをガミラスジャクソンで勝った鴨宮祥行騎手

 今年の笠松重賞は6レース行われた。ウインター争覇でキタノナシラ(大畑雅章騎手)、マーチカップでニューホープ(丸野勝虎騎手)が勝ったが、地元騎手での重賞Vはまだない。1人で2勝しているのが、兵庫のイケメンジョッキーとして知られる鴨宮祥行騎手(26)だ。1月の白銀争覇をエイシンエンジョイで優勝。「ついにレイをかけることができました」と笠松オリジナルの祝福に感激。続くゴールドジュニアでは、10番人気のガミラスジャクソンで制覇。笠松重賞V2の快挙に、勝利インタビューでは「好きです笠松競馬」と歓喜を表現していた。エイシンエンジョイは飛山濃水杯にも出走予定で、昨年のサマーカップは下原理騎手で優勝しているが、コース相性抜群の鴨宮騎手が「笠松重賞ハンター」として参戦するかも。19日に出馬表が発表され、下原騎手の騎乗が決まった。ストーミーワンダーには渡辺騎手が騎乗する。

笠松重賞を連勝した鴨宮騎手(右)と長江慶悟騎手候補生(中央)、関本玲花騎手

 笠松では「目立たないように頑張っていきます」と控えめだった鴨宮騎手。ゴールドジュニアV後には、馬具の手入れなどで、期間限定騎乗中の関本玲花騎手らと楽しそうに言葉を交わす姿もあった。鴨宮騎手と関本騎手は今月、テレビ番組「炎の体育会TV」にも次世代ジョッキー軍として出演し奮闘。美人ジョッキーのミカエル・ミシェル騎手(フランス)とのコンビでは、鴨宮騎手が「名脇役ぶり」も発揮していた。

 関本騎手は5月16日が20歳の誕生日でもあり、11日・笠松5Rでは協賛レース「関本玲花騎手また来てね!賞」も開催された。「成長した姿をまた笠松で見たい」というファン一同の願いが込められ、大塚研司騎手騎乗のハイカラコマチが圧勝した。無観客レースが続いて現地観戦はできないが、画面越しに人馬や家族らへの思いをメッセージ付きでアピールできる。こういった形での熱い応援も競馬の楽しみ方の一つだ。

昨年のラブミーチャン記念を勝った川原正一騎手。名牝の縫いぐるみを手にうれしそうだ

 笠松で開催される北陸・東海・近畿の交流重賞では、実力上位の兵庫勢が参戦し、優勝をさらっていくケースも多い。笠松から兵庫に移籍した川原正一騎手(61)は、園田で地方通算5500勝を達成。史上4人目の偉業で「まだまだ騎手をやっていきたい。乗せてもらえる馬を一頭一頭無事に走らせて勝利に導くことが僕の仕事なので、頑張ります」と健在ぶりを示した。昨秋はテーオーブルベリー(北海道)でラブミーチャン記念を制覇(2着ニュータウンガール)。古巣でファンとの交流も楽しんでいた。テーオーブルベリーは大井に移籍したが、14日の園田・のじぎく賞では、再び川原騎手の手綱で参戦。後方から最後の直線で急襲し、鮮やかな差し切りV。さすがは川原騎手で、鋭い切れ味を引き出す仕事人ぶりを発揮。笠松時代に2856勝、園田では2650勝目となった。

 笠松・ゴールドジュニアはオグリキャップやラブミーチャンも勝った出世レース。「JRA皐月賞ステップ競走」(地区代表馬選定)としても行われ、鴨宮騎手で勝ったガミラスジャクソンは、皐月賞トライアルのスプリングS(中山)に挑戦。10着に終わったが、園田の厩舎スタッフのやる気が感じられたし、鴨宮騎手は貴重な経験ができた。飛山濃水杯は「JRAスプリンターズSステップ競走」でもあり、優勝馬はトライアルに挑戦できる。笠松勢のJRA重賞戦線への挑戦は遠ざかっているが、ライデンリーダーたちが切り開いてきたドリームロードでもある。

 夏場に強い牝馬では、東海ダービー制覇を目指す3歳馬ニュータウンガールがスターホース候補。牡馬のストーミーワンダーは東海地区最強馬としての活躍が期待され、この2頭で今年の笠松競馬をけん引。新たに東川公則調教師も加わり、ミツアキタービンのように中央との交流重賞にもチャレンジできる馬たちを育てていきたい。