オグリの里
水野翔騎手、東京ダービー4着
「南関突破」の快進撃で勝利量産

2020年06月06日 15:05

笠松をはじめ、国内外で活躍している水野翔騎手。南関東にも遠征し、好騎乗を見せている

 逃げて良し、追って良し。水野翔騎手(23)が遠征先の南関東(船橋所属)で好騎乗。インターネット投票などで画面越しに応援するファンを喜ばせている。遠征競馬に強く、積極的なレース運びで「南関突破」の快進撃。勝利数を16勝(5日現在)に伸ばしている。

 3日、大井競馬場で行われた第66回東京ダービー(2000メートル)ではブリッグオドーン(牡3歳、大井)に騎乗し、4着に突っ込んだ。水野騎手にとって「ダービー」と名が付くレースは初挑戦だったが健闘。追い込みに徹して1、2番人気馬に先着し、掲示板を確保した。

 4月から南関東での期間限定騎乗にチャレンジ(6月19日まで)。2日の最終レースでは、とても届きそうもない位置から、スルスルと馬群を縫ってゴールではきっちりと差し切り。浦和に続いて大井でも1日2勝を積み重ねた。地方競馬ではレベルも賞金も一番高い南関東だが、ジョッキー数が多く、笠松のようには騎乗機会に恵まれない厳しい環境。そんな中、特に終盤のレースで勝負強さを発揮する水野騎手の騎乗ぶりが評価され、厩舎サイドの信頼を獲得。「乗れてるジョッキー」としてファンの注目を浴び、本人のモットーでもある「疾風迅雷」の戦いに挑んでいる。

笠松での初重賞Vが期待されている水野騎手

 ブリッグオドーンとのコンビでは、東京ダービートライアルで豪快に突き抜けて勝利。ダービー切符を獲得し、本番では6番人気。後方2、3番手からの競馬で4コーナーを回ると、直線半ばでは前を追って、モンゲートラオ騎乗の的場文男騎手(63)と激しいたたき合い。勝ったエメリミット(船橋)には2馬身半及ばなかったが、メンバー最速タイ38秒7(ラスト3ハロン)の切れ味は際立っていた。
 
 「パドックから返し馬まで、ずっと気の悪さを出していたのが影響したと思う」と水野騎手。道中、もう少し前につけたかったのだろうが、見せ場たっぷりの競馬だった。東京ダービー38回目の挑戦(2着10回)で、8着に終わった的場騎手は「最後だと思って臨んだが、ダービーでは勝てないようになっているのかなあ」と、初Vの夢は来年に持ち越した。優勝馬のエメリミットは9番人気の伏兵だったが、後方から迫ったマンガン(川崎)との競り合いを制した。山口達弥騎手は、ダービー初騎乗でうれしい重賞初Vとなった。

昨秋、名古屋で勝利を飾った水野騎手。厩舎スタッフが待つ1着の枠場に入る気分は最高だ

 水野騎手は名古屋競馬でも厩舎サイドの信頼が厚く、今年は9勝を挙げる好成績。昨夏はマカオで重賞Vを飾ったほか、今冬にはドバイにも遠征するなど海外経験は2度。「彼は地元より遠征の方が調子がいいね。活躍は厩舎にとっても刺激にもなる」という笹野博司調教師。若手ジョッキーを旅に出す理解があってのことで、心が広くて素晴らしい。水野騎手はこれからもホーム・笠松を起点に、国内外遠征での挑戦が続きそうだが、まずは笠松で重賞Vを達成したい。

 4月の大井・東京プリンセス賞(牝3歳、SⅠ)では、水野騎手が12番人気のリヴェールブリス(船橋)に騎乗し、鋭く追い上げて2着。関東オークス(6月10日・川崎)への優先出走権を獲得し、挑戦が期待されたが出走せず。牝馬でただ一頭、東京ダービーに挑戦したものの、レース前に競走除外(本田正重騎手)になった。水野騎手は関東オークスでは、前走騎乗(若葉OP6着)したミナミン(川崎)で、JRAのセランなど強豪に挑む。

 4日の園田重賞・六甲盃では、川崎からの遠征馬で5番人気のアッキー(牝7歳)が中田貴士騎手で勝利。「聞いたことがある馬名だなあ」と思っていたら、前走・川崎でのレースでは水野騎手が騎乗し、逃げ切りVを飾っていた。六甲盃では兵庫最強馬のタガノゴールドが2着、オグリキャップ記念を勝ったマイフォルテが3着。アッキーに水野騎手が乗っていたら、国内重賞初Vとなっていたかも...。

 北海道スプリントカップ(門別、GⅢ)では、22歳の落合玄太騎手(北海道)が地元のメイショウアイアン(10歳、田中淳司厩舎)で、中央のマテラスカイを倒してダートグレードを初制覇する快挙。地方競馬も負けていない。笠松の若手騎手もチャンスをつかんで、中央との交流重賞にチャレンジしてほしい。

■ニュータウンガール(佐藤友則騎手)東海ダービー挑戦

名古屋の駿蹄賞をニュータウンガールに騎乗し、1着でゴールする佐藤友則騎手。東海ダービー制覇に燃えている(名古屋競馬提供)

 9日の東海ダービー(名古屋)には、デビュー20年の佐藤友則騎手(38)が挑戦する。5月の駿蹄賞を完勝し、重賞4連勝を飾ったニュータウンガール(牝3歳、井上孝彦厩舎)で悲願達成を目指す。

 今年で50回目の節目を迎える東海ダービー。JRA馬が参戦したダートグレード時代(1997~2004年)もあり、これまでの優勝馬は笠松16頭、名古屋25頭、金沢1頭、JRA7頭。栄光のダービージョッキーは、笠松現役ではエレーヌで筒井勇介騎手、ビップレイジングで藤原幹生騎手の2人だけ。今年挑戦するニュータウンガールは、名古屋重賞を3連勝中で抜けた存在。コースとの相性も抜群で、不動の本命馬になりそうだ。

 笠松での1週前追い切りでは、同じ井上厩舎のスターキャデラック(牡4歳)と併せ馬。流す程度だったが好馬力で駆け抜けたという。「前走の良さからも勝てる仕上げにある」という佐藤騎手。昨年末のライデンリーダー記念も勝っているニュータウンガール。騎乗した向山牧騎手は「俺が落ちなければ、勝つよ」とまで豪語していたそうだが、佐藤騎手にも馬の力を信じて冷静に乗ってほしい。「勝って当然」とみられているが、油断は禁物。3、4コーナーから最後の直線、ゴールへの佐藤騎手の手綱さばきが注目される。

 ところで、併せ馬を務めたスターキャデラックは、元金沢所属馬で大井を経て笠松に移籍してきた。吉原寛人騎手とのコンビで、「マイマイ結婚おめでとう」3歳A1競走では、岐阜金賞Vのニューホープ(現笠松)にも勝っている。1番人気になった石川ダービーでは2着だった。

■地元重賞を勝てない笠松の騎手、東川公則調教師は初勝利

ぎふ清流カップ、残り100メートルを切って先頭を奪った兵庫のコスモピオニールが優勝。笠松勢はダルマワンサ2着、ドラゴンウォリアー3着

 3歳重賞のぎふ清流カップ(SPⅠ、1400メートル)は4日、笠松競馬場で行われ、兵庫のコスモピオニール(牡3歳、田村彰啓厩舎)が後方から差し切りV。笠松勢は筒井騎手騎乗で早めに動いたダルマワンサ(牡3歳、田口輝彦厩舎)が2着、1番人気のドラゴンウォリアー(牡3歳、田口厩舎)は3着に終わった。笠松重賞は今年に入って8レースが行われた。地元馬はウインター争覇とマーチカップを勝っているが、笠松のジョッキーが騎乗しての勝利はまだない。兵庫勢が4勝、名古屋勢が4勝。19日にはクイーンカップが行われるが、このままでは「笠松なら重賞を勝てる」と兵庫など他地区の騎手らになめられてしまう。有力馬にはやはり地元騎手の騎乗が望ましく、何とか意地を見せてほしい。

東川慎騎手とのコンビで、うれしい初勝利を飾った東川公則調教師(笠松競馬提供)

 5日の笠松第1Rでは、騎手引退後、新たなホースマン人生をスタートさせた東川公則調教師が、デビュー2戦目でうれしい初勝利を飾った。息子の東川慎騎手が、JRAから移籍したばかりのジョーアドヴァンス(牡3歳)に騎乗。ゴール前でグイッと一伸びし、接戦を制した。3日の調教師デビュー戦ではアイ(牝5歳)で4着だったが、この日は慎騎手が力強い競馬で、父に初勝利をプレゼントした。

 地方通算2786勝を挙げた名手も調教師としては、文字通り「ゼロ」からのスタート。騎乗経験がある南関東や高知などからの移籍馬もあり、持ち前の明るさとこれまで培ってきた人脈で、笠松での管理馬を一頭一頭増やしていきたい。「ミツアキタービンのように中央の舞台でも活躍できる馬を育てたい」。大きな夢に向かって、父子のチャレンジは始まったばかりだ。

 東川調教師は「初勝利は息子の慎と達成したいと思っていて、馬主さんにも感謝したいです。今度は僕が強い馬をつくる番。騎乗する慎も育てて自信をつけてもらうことが僕の役目。中身の濃い調教師人生にしたいし、仕事を全うしたいです」と話している。

 笠松競馬では、6月中(7日間)の第5Rを「新型コロナ対策医療従事者支援レース」として、売得金の1%相当額を岐阜県の新型コロナ感染症対策窓口に寄付する。第5Rは昼休みに投票しやすい時間帯でもある。次回開催(15日、17~19日)のクイーンカップシリーズでも実施される。