岐阜酒好物語

マルスウイスキー

2018年09月17日 07:00

マルスウイスキー「岩井トラディション」

マルスウイスキー「岩井トラディション」

 ドラマの「マッサン」は記憶に新しく、国内のウイスキーブームに火をつけたきっかけになりました。物語は、亀山政春(ニッカウイスキー創業者 竹鶴政孝氏)が日本に帰郷したところから始まるのですが、外国へ渡航する部分は省かれております。

 その鍵を握るのが岩井喜一郎という方です。竹鶴氏は、摂津酒造で働いていたときに上司であった岩井氏に英国へ送り出されたそうです。そして竹鶴氏は、戻ってから書き留めた造り方をまとめ、「ウイスキー実習報告書」を蒸留技術を持っていた岩井氏に手渡しました。

 後に、大阪帝国大学の講師となった岩井氏は、教え子の本坊蔵吉氏に誘われ、昭和20年に本坊酒造の顧問に就任し、報告書を元にウイスキー部門の工場設計と指導をしておりましたが、昭和41年に永眠されたそうです。

 ドラマの後から、スーパーなどでも目にすることが多くなった「マルスウイスキー」は、岩井氏が誕生に尽力した本坊酒造の洋酒ブランドです。昭和35年の製造から9年で、業績が芳しくなくなり、本坊酒造はウイスキー製造から手を引いておりましたが、これまでの山梨から長野へ移り、「マルス信州蒸留所」として、昭和60年に再び稼働しました。

 平成4年には、需要低迷から休止を余儀なくされますが、保管していた樽(たる)のウイスキーを発売することにし、平成8年に、シングルモルト「モルテージ駒ケ根10年」を発売。

 その後、再々稼働を始めたのは平成23年。休止から19年の月日が流れて復活した蒸留所です。

 ジャパニーズウイスキー創世の一翼を担った「マルスウイスキー」。一度、味わってみてはいかがでしょう。

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大上 信彦

(おおうえ・のぶひこ)
 岐阜・柳ケ瀬で、「Cafe&Bar Wizard」を経営し、カクテルの大会入賞経験もあり、ご当地キャラカクテルなども作っているバーテンダーでもあり、カルチャースクールで手品の講師も務めるプロマジシャンとしても活動中。