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【民意は訴える】④多文化共生
迫られる多言語対応 外国人労働者、増加の一途

2019年07月16日 00:00

  • 外国人市民らが熱心に学ぶ日本語能力試験の対策講座=美濃加茂市太田町

◆「指導者養成図るべき」

 美濃加茂市内で美濃加茂国際交流協会が開く日本語能力試験の対策講座。7月の試験を直前に控え、フィリピン出身のマクリエン・ロメリズさん(22)は熱心に日本語の学習に励んでいた。来日したのは1年前。「言葉や文化が全然違う。生活にまだ慣れていない」。就職や円滑なコミュニティー形成のために日本語教育の重要性はますます高まっている。

 美濃加茂市の外国人市民は約5千人。人口に占める割合8・9%は全国の都市で最も高い。国別ではブラジル、フィリピンで8割を超え、いずれも独自のコミュニティーを築き上げている。子どもたちは市の手厚い支援で日本語を学び、家庭では母語を話す。日本語を話さなくても生活に支障は多くない。

 それでも日本語能力試験は就職に直結するため、同講座の希望者は多く、募集開始から数日で定員が埋まる。日本語教師の羽山千尋さんは「看護師や教師などそれぞれの夢を実現したいんだと思う」と指摘する。

 外国人市民は、リーマン・ショックやソニー子会社の工場閉鎖で激減した時期もあったが、30年で20倍に増加した。今では戸建て住宅を建てた人や、消防団に入団して地域活動に熱心な人もいる。

 一方、市が今年実施したアンケート調査によると、外国人世帯の自治会加入率は1%未満。日本語を話さなくても生活できる外国人市民と、外国語が話せず消極的な日本人との接点は少ないことがうかがえる。

 古井地区の可知進一自治会長(41)は「外国人市民が地域に入って日本人と共生するには、やはり言葉。コミュニケーションが一番重要」と指摘。太田地区の福田隆一自治会長(71)は「外国人住民と仲良くやりたいが、接点はほとんどない。外国人に自治会に入ってほしくないと思う人もいるのでは」と難しさを口にする。地域での多文化共生の浸透は、なお半ばなのが実情のようだ。

 4月に施行された改正入管難民法により、今後さらに外国人労働者の増加が予想される。市内への影響は約1年後とみられるが、今後さらに住民の多言語化が進むのは避けられない。市は本年度、外国人が理解できる「優しい日本語」を提唱し、マニュアルづくりに着手した。美濃加茂国際交流協会の安藤志郎会長(72)は「国は在住外国人の日本語教育の充実や、不足する日本語教師の養成をもっと図るべき。日本語が話せない在住外国人が高齢化し介護が必要になった時、新たな問題も生まれてくる」と訴える。

(山田孝二)


【記者のひとこと】

 美濃加茂市では、あらゆる生活のシーンで外国人市民がいるのが当たり前。一方で、心のどこかで拒否感を抱く日本人がいるのも実情のようだ。新たな在留資格で入国する外国人は日本語を一定程度話せる人たち。現在いる日本語が話せない外国人市民が将来、置き去りにされないか目配りが必要だ。

 率直に言って、近所付き合いは日本人同士でも希薄になっているのに、外国人と日本人の間に求めるのは難易度が高い。外国人を人手不足解消のための労働力を担うお客さんではなく、同じまちで共に生活するパートナーと位置付ける美濃加茂市ゆえの課題だ。

 とはいえ、働きながら日本語上達に懸命に努力する外国人の姿には、元気をもらった。


【課題への直言】

大野泰正候補(自民) 適正な在留管理や行政・生活情報の多言語化で受け入れ環境を整備

梅村慎一候補(立憲民主) 地域の皆さんの協力が不可欠。課題の共有と議論を積極的に行う