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【民意は訴える】⑧消費税増税
若者にずしり負担増

2019年07月20日 00:00

  • 正社員を目指し、シーツを手際よく並べる男性。消費税増税には「自分たちの老後が何か変わるのか」と疑問を投げ掛ける=岐阜市内

 機械から自動で流れてくるきれいなシーツを手に取り、配送先ごとに手際よく並べる。岐阜市のクリーニング会社の工場で働くパート男性(21)=同市=は首に巻くタオルで汗をぬぐい、黙々と作業を続ける。「消費税を上げて自分たちの老後は何か変わるんでしょうか」。

 政府は10月に消費税率10%への引き上げを予定している。税率引き上げは8%になった2014年4月以来。個人消費の停滞を招いた前回の反省から、政府はキャッシュレス決済によるポイント還元などで景気対策を講じているが、地方の店舗は導入が進んでいない。若い世代には老後資金2千万円問題で将来の公的年金への不安も広がっている。

 男性は高校卒業後、就職した会社で職場の空気になじめず3カ月で退社。ハローワークに通い、面接にも臨んだが、不採用が続いた。精神的ショックで就労意欲を失った時期もあった。

 国の就労支援拠点「県若者サポートステーション」(岐阜市)に相談し、昨年12月に今の会社の職場体験に参加。仕事を覚えれば正社員の道があると聞き、すぐに面接を受けて採用された。

 財政再建や社会保障制度維持のために必要とされる消費税増税。高齢化社会で社会保障費は今後も増え、若者への負担は重くなる。果たして正社員になれるのか、定年まで働くことができるのか。「無職には戻りたくない。今は正社員になることだけを考えている」。将来の不安は尽きない。

 一方、増税対策の目玉のキャッシュレス決済によるポイント還元は、店舗の導入の動きが低調だ。地方の商店街は現金決済が根強く、キャッシュレス化が進んでいない。県商店街振興組合連合会は「後継ぎのいない高齢店主も多い。導入しないのではなく、できないというのが実情」と明かす。

 岐阜市中心市街地で店舗を営む80代の男性は「今さらキャッシュレスと言われても」と戸惑う。店は現金決済のみ。店内で扱う商品は数百円程度と小額で、クレジットカードも扱ってない。店に訪れるのは顔なじみの客ばかりで、これまで現金以外のキャッシュレス決済を客から求められたこともない。

 最近は、キャッシュレス決済業者が何度も案内に訪れている。ただ何度説明されても仕組みが分からない。「キャッシュレス決済をしなくても、今と売り上げは変わらない」と導入には後ろ向きだ。

 十六総合研究所が昨年8月に実施したキャッシュレス決済のインターネットアンケートでは、県内はクレジットカードの使用率が全国平均とほぼ変わらなかったものの、電子マネーは13・3ポイント低かった。

 十六総研の小島一憲主任研究員は「都市部に比べて地方はキャッシュレス決済比率が低い傾向にある。キャッシュレス決済の導入が店舗にとって既存顧客のつなぎ止めと新たな顧客獲得につながるということを国は丁寧に説明すべき」と指摘している。

(河合修)


【記者のひとこと】

 「商店街振興組合の中で70歳はまだまだ若手。80代でも現役で頑張っている」。岐阜市の長良橋通り沿いの商店街で、ある店主から聞いた言葉に衝撃を受けた。 キャッシュレス決済の端末を置けば、スマートフォンでも支払いできるようになるが、そもそも80代の店主はスマホを持っていないという。県都の中心市街地の商店街振興組合でも高齢化が深刻になっていることを改めて実感した。

 消費税増税に伴う軽減税率導入では、対象店舗が対応を迫られる。複数税率に対応したレジの購入費用は国の補助金があるものの、自己負担も一部発生する。購入には店を5年、10年続けることが前提条件になる。「自分が病気になったら店をやる人がいない」と話す80代の店主に、対応を促す言葉が見つからなかった。


【課題への直言】

大野泰正候補(自民)キャッシュレス基盤の構築で地域の消費・観光などが活性化される

梅村慎一候補(立憲民主)現金払いは悪じゃない。決済方法に関わらず悪影響に配慮すべき


【民意は訴える】=おわり=