移動編集局 中濃編
関の刃物、世界市場へ 若手経営者、内製化や独自製品に活路
中濃 未来を切り開く

2017年11月06日 11:26

刃物を買い求める来場者でにぎわった、第50回刃物まつり。包丁などが所狭しと並んでいた=10月7日、関市本町

刃物を買い求める来場者でにぎわった、第50回刃物まつり。包丁などが所狭しと並んでいた=10月7日、関市本町

 包丁、ナイフ、かみそりなど、多くの製品で全国トップのシェアを誇る「刃物のまち」、関市。世界で「刃物の3S」とは、ドイツのゾーリンゲン、英国のシェフィールドと日本の関。高品質でその名は世界にとどろくが、全国的な少子高齢化や国内市場の縮小などの新たな壁が立ちはだかる。関市の刃物産業の経営者は、近年40代の後継者への代替わりが続いており、先代とは違うビジネスモデルの確立に、若手経営者は挑んでいる。

 研磨機に向かって一心不乱にブレードを研ぐ従業員。関市下有知にある丸章工業は、はさみやナイフ、包丁などを製造する社員30人超の中堅メーカー。刃物を製造する工程は元来分業で行われ、かつてこうした研磨作業は他の業者に外注するケースが多かったが、ここ約20年で社内で行う事例が増えた。「海外を含め、自社ブランドのよく切れる高付加価値商品で勝負している」と、長谷川智広社長(42)は語る。

 全工程を自社で行う内製化の背景には、小規模事業者の高齢化や後継者不足がある。関市では、4~9人の事業所数が急激に減少。1980年から2014年までに3分の1に減った。それらの事業所が、中堅や大手の製品の仕上げの研磨工程などを担ってきたが、難しくなっている。

 格安な中国製品などの攻勢により、高付加価値商品の開発がメーカーの命運を左右するようにもなった。自社で研磨作業を担うことが、品質向上にもつながる。長谷川社長は「全工程を同水準にするには、目の届く内製化が必要。和食ブームで海外での包丁の人気は高く、高価格でも売れる。もはや国内は市場の一つという認識」と覚悟を示す。

 大手の下請けをメインとする業者も挑戦する。プレス加工のツカダ(関市小瀬)はこの秋、二つ目の自社独自製品の極薄名刺入れを開発した。塚田浩生社長(42)は「大ロットの注文は中国に委託されるケースが増えた。従来の技術を生かして自主開発することが、社員のやる気につながる」と強調する。インターネットを使って資金を募るクラウドファンディングの活用も特徴。「全国や海外とのつながりができた」と海外も視野に入れた市場開拓へ意気込む。

【関市の刃物産業】 鎌倉末期から南北朝時代に日本刀作りが始まり、室町~戦国時代に多くの刀鍛冶が集結、刀産地として栄えた。江戸時代以降は家庭用刃物生産が発達した。関市によると、2014年の刃物製造品出荷額は約369億円で、12年の約307億円から回復。輸出額は約106億円で、前年より増加している。国内出荷額のシェアは包丁47%、ナイフ類53%など。関市の従業者数約1万5400人のうち、刃物関係従事者は約2350人(4人以上の事業所対象)。