ふるさとへの便り
西欧、アジア文化混在
フィリピン

2018年05月31日 10:02

首都中心部の、スペイン統治時代の拠点となった城塞内に立つマニラ大聖堂=フィリピン・マニラ

 フィリピンってどんな国? 日本から最も近い東南アジアの国であり、歴史的にも深い関わりを持つ長年の友好国。セブ島など観光スポットが多く、語学留学先としても人気。人によっていろいろなイメージがあると思うが、意外とその文化は知られていないのではないか。

 フィリピンの文化は約320年に及ぶスペインによる支配とその後のアメリカ支配に加え、中国からの移民の影響を受けたいわば「混在文化」と言える。例えば、国語であるフィリピノ語は土着の言語からなるが、スペイン語からの借用語も多く、曜日や時間など日常会話の中でもスペイン語が使われている。

 一方、アメリカによる言語政策により英語も公用語となり、国民の多くは英語でのコミュニケーションができる。道路標識や看板、公的書類やビジネス文書などは全て英語が使用されている。多くのフィリピン人がアメリカやカナダなどの英語圏をはじめとした海外で出稼ぎ労働者として活躍できるのは、この英語力によるものであり、近年の高成長の原動力となっている。

 食文化についても、代表料理の多くがスペイン料理と中国料理をアレンジしたものであり、フィリピン独自の伝統料理を挙げることは難しいと言われている。また、食事と食事の間に1日2回軽食を取る「ミリエンダ(スペイン語でおやつ)」という習慣もスペインの影響によるものだが、現在では自国の文化として根付いている。日本にフィリピン料理のレストランが少なく、あまりなじみがないのは、この独自性のなさが一因となっているのかもしれない。

 そのほか、政治体制や法律、ライフスタイルの中にも各国の習慣や言語、様式などの影響を垣間見ることができる。他のアジアではあまり見られないフィリピン人のおおらかで陽気なラテン系の気質もまた、スペイン支配の名残なのかもしれない。

 フィリピンは近年安定して高い経済成長を遂げており、2017年の国民1人当たりの名目GDP(国内総生産)は、家電など耐久消費財の普及が加速するか否かのボーダーラインとされる3千米ドルに迫る2976米ドルであり、文化の中心であるマニラ首都圏に限れば8千米ドルを超える高い水準にある。

 高い英語力を持ち、これまでも多様な文化を受け入れることで西欧とアジアが混在する独特な文化を形成してきたフィリピンだが、可処分所得の増加や、インターネットの普及による情報へのアクセスの改善などを背景として、フィリピンが今後どのような文化を創り発信するのか、経済成長とともに注目している。皆さんもぜひフィリピンにお越しいただき、この独特な文化を楽しんでみてはどうか。きっとフィリピンの新たなイメージを持つことができると思う。

20180531100608-328cb518.jpg石田修平(いしだ・しゅうへい)さん 大垣共立銀行マニラ駐在員事務所長。1999年入行。愛知県内の営業店、人事部、東京事務所、海外事業推進部を経て2017年5月から現職。取引先の海外進出支援などを行う。名古屋市出身。42歳。


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